○人身安全対処事案対応要綱の制定

平成28年12月19日

生子・生総・刑総・務警・総務・地総・交総・備総発甲第214号

この度、人身安全対処事案に迅速かつ的確に対応するため、別記のとおり人身安全対処事案対応要綱を制定し、平成29年1月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

別記

人身安全対処事案対応要綱

第1 趣旨

この要綱は、人身安全対処事案に対して、迅速かつ的確に対応するために必要な体制を確立するとともに、その対応に関し必要な事項を定めるものとする。

第2 定義

この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) 人身安全対処事案 恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案、特異行方不明事案、児童虐待事案、高齢者虐待事案、障害者虐待事案及び主管課が明確でなく、人の生命に急迫した危険が及ぶおそれがあり、早急に対処する必要が認められる事案をいう。

(2) 恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案 恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案への対応要領の制定(令和3年生人・生総・務住・地総・刑一・刑総発甲第159号)に定める恋愛感情等のもつれに起因する各種のトラブル又は事件のうち、被害者、被害者の親族その他関係者に危害が及ぶおそれのある事案をいう。

(3) 特異行方不明事案 行方不明者発見活動に関する規則(平成21年国家公安委員会規則第13号)第2条第2項に規定する特異行方不明者に係る事案をいう。

(4) 児童虐待事案 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待に係る事案をいう。

(5) 高齢者虐待事案 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号)第2条第4項に規定する養護者による高齢者虐待及び同条第5項に規定する養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る事案をいう。

(6) 障害者虐待事案 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)第2条第6項に規定する養護者による障害者虐待、同条第7項に規定する障害者福祉施設従事者等による障害者虐待及び同条第8項に規定する使用者による障害者虐待に係る事案をいう。

第3 人身安全対処事案の特性

人身安全対処事案は、人身の安全を早急に確保する必要が認められる事案であり、被害者、被害者の親族その他関係者(以下「被害者等」という。)に危害が加えられる危険性及び切迫性を正確に把握することが困難である一方、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高い特性を有する。

第4 基本方針

1 県民の生命及び身体を守る誇り並びに強い使命感を持って各部が連携し、警察の総力を挙げて積極的に取り組むものとする。

2 被害者等の安全確保を最優先とし、行為者が被害者等に対して危害を加える危険性又は切迫性に応じ、検挙措置等による加害行為の防止を図るものとする。

第5 対処体制の確立

1 警察署

(1) 対処責任者

ア 警察署に対処責任者を置き、警察署長をもって充てる。

イ 対処責任者は、被害者等の安全確保を最優先し、危険性及び切迫性を的確に判断して人身安全対処事案に対処するものとする。

(2) 対処補助者

ア 対処責任者は、事案態様に応じて生活安全課長、刑事課長(生活安全刑事課長を含む。)又は当番責任者等(愛知県警察処務規程(昭和51年愛知県警察本部訓令第6号)に規定する当番責任者、当直長及び統括責任者をいう。)の中から対処補助者を指定するものとする。

イ 対処補助者は、対処責任者の指揮を受け、人身安全対処事案に対処するものとする。

(3) 優先的対処要員

ア 対処責任者は、早期に組織の総合力を発揮できる体制を確立するため、人身安全対処事案に優先的に対処する要員(以下「優先的対処要員」という。)をあらかじめ指定するものとする。

イ 優先的対処要員は、対処補助者の指揮を受け、人身安全対処事案に対処するものとする。

(4) 挙署体制による事案対処

対処責任者は、人身安全対処事案に対しては、優先的対処要員に限定することなく、必要に応じて挙署体制を確立して対処するものとする。

2 警察本部

(1) 統括責任者

ア 警察本部に統括責任者を置き、刑事部参事官兼生活安全部参事官をもって充てる。

イ 統括責任者は、人身安全対処事案について、統括的な指揮、調整及び指導に当たるものとする。

(2) 初動指揮チーム

ア 人身安全対策課人身安全対策担当管理官の下に、初動指揮チームを置き、人身安全対策課、少年課、捜査第一課及び機動捜査隊の警察官をもって充てる。

イ 初動指揮チームは、人身安全対処初動指揮官の指揮の下、警察署の初動対応について、必要な指導、助言等を行うものとする。

(3) 初動支援チーム

ア 初動指揮チームの下に、初動支援チームを置き、人身安全対策課及び機動捜査隊の警察官をもって充てる。

イ 初動支援チームは、警察署の保護対策、被疑者の検挙等に対し、初期的な支援を行うものとする。

第6 対応要領

1 警察署の対応要領

(1) 相談への対応

人身安全対処事案に係る相談への対応に当たり、危険性及び切迫性の判断、事件化のための擬律判断等を的確に行うため必要がある場合には、生活安全部門を担当する警察官及び刑事部門を担当する警察官が共同で聴取を行うものとする。

(2) 速報

ア 警察署において人身安全対処事案を認知した場合には、対処責任者に速報して指揮を受けるとともに、人身安全対策課長に速報(初動指揮チーム経由。以下同じ。)するものとする。この場合において、現に被害者等から面前で相談等を受けているときは、対処責任者への速報の前後にこだわることなく、可能な限り、被害者等関係者を帰宅等させる前に人身安全対策課長に速報するものとする。

イ 対処責任者及び人身安全対策課長への速報は、人身安全対処事案であると直ちに認定できるものだけにとらわれることなく、あらゆる可能性を想定して幅広く行うものとする。

(3) 検挙措置

刑罰法令に抵触する事案については、被害者等に危害が加えられる危険性又は切迫性に応じ、第一義的に検挙措置により加害行為の防止を図るものとする。

(4) 被害者等の保護等

ア 被害者等に危害が加えられる危険性又は切迫性が高いと認められる場合には、被害者等を速やかに安全な場所へ避難させるものとする。ただし、やむを得ない事情により避難させることができないときは、保護体制を確立し、身辺警戒等の保護対策を確実に講ずるものとする。

なお、危険性又は切迫性について否定できない又は判断できない場合であっても、積極的に判断して必要な措置を講ずるものとする。

イ 被害者等の保護対策については、平素から管内の地方自治体等と連携し、対処体制を確立するものとする。

(5) 関係警察署との情報共有

対処責任者は、人身安全対処事案に関係する場所が複数の警察署の管内にわたる場合は、関係警察署と連携を密にして、確実に情報を共有するものとする。

2 警察本部の対応要領

(1) 速報の受理

ア 初動指揮チームは、警察署から1の(2)の速報を受けた場合は、事案の危険性及び切迫性を判断し、当該事案に対して講ずるべき初動措置について指導、助言等を行うものとする。

イ 速報を受けた事案のうち、特に危険性又は切迫性が高いと認められるものについては、統括責任者(人身安全対策課長経由。以下3の(1)において同じ。)に速報して指揮を受けるものとする。

(2) 初動支援チームの派遣

人身安全対処初動指揮官は、必要に応じ、人身安全対処事案に対処する警察署に初動支援チームを派遣するものとする。

(3) 警察本部執行隊の支援

統括責任者は、自動車警ら隊長、鉄道警察隊長、第一交通機動隊長、第二交通機動隊長、高速道路交通警察隊長及び機動隊長に対し、危険性又は切迫性が高い人身安全対処事案へ一時的な支援を要請するものとする。

(4) 関係警察署との連携

統括責任者は、人身安全対処事案に関係する場所が複数の警察署の管内にわたる場合は、必要に応じて関係警察署と緊密な連携を図るものとする。

3 支援要員の派遣

(1) 要請

対処責任者は、人身安全対処事案において、被害者等の保護対策の長期化、保護対象が複数存在する等により、大規模な保護体制が必要となるなど当該警察署のみでは対応することが困難な場合は、統括責任者に支援要員の派遣を要請することができる。

(2) 決定

統括責任者は、支援要請を受けた場合は、警務部警務課長(以下「警務課長」という。)と支援要員による支援の必要性、支援体制、支援期間等について協議をした上で、派遣を決定するものとする。

(3) 派遣

ア 警務課長は、各部からの支援要員の派遣体制等について検討し、部の庶務を担当する課の長(以下「庶務担当課長」という。)に対し、支援要員の派遣を要請するものとする。

イ 庶務担当課長は、アの要請を受けた場合は、部内の支援要員の派遣体制等について警部補以下の階級にある者の中から調整するものとする。

ウ 各部長は、それぞれ当該部内の支援要員に派遣を命ずるものとする。

(4) 支援要員の活動

支援要員は、派遣された警察署の対処責任者の指揮を受けて活動するものとする。

第7 関係部門間の連携等

1 連携

人身安全対処事案の対処に当たっては、組織の総合力を発揮するため、関係部門が連携して対応するものとする。

2 協議

生活安全部長は、人身安全対処事案の対処に当たり、他の部との調整が必要と認める場合は、関係部長と協議するものとする。

〔平31務警発甲47号令2生人発甲30号令3生人発甲160号・本別記一部改正〕

人身安全対処事案対応要綱の制定

平成28年12月19日 生子・生総・刑総・務警・総務・地総・交総・備総発甲第214号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第1章 生活安全/第6節 ストーカー対策
沿革情報
平成28年12月19日 生子・生総・刑総・務警・総務・地総・交総・備総発甲第214号
平成31年 務警発甲第47号
令和2年 生人発甲第30号
令和3年 生人発甲第160号
令和5年3月17日 務警発甲第46号