○愛知県警察非行集団対策推進要綱の制定
平成28年3月24日
生非・生少発甲第60号
この度、非行集団等に対する諸対策を推進するため、別記のとおり愛知県警察非行集団対策推進要綱を制定し、平成28年4月1日から実施することとしたので、その効果的な運用に努められたい。
なお、愛知県警察非行集団総合対策推進要綱の制定(平成14年生非・生総・交総・交指発甲第54号)は、平成28年3月31日限り廃止する。
別記
愛知県警察非行集団対策推進要綱
第1 趣旨
この要綱は、非行集団等に対する実態把握、検挙・補導、解体その他諸対策(以下「非行集団対策」という。)を効果的に推進するために必要な事項を定めるものとする。
第2 準拠
非行集団対策については、愛知県少年警察活動規程(平成14年愛知県警察本部訓令第26号)の規定によるほか、この要綱の定めるところによる。
第3 用語の意義
この要綱における用語の意義は、次に定めるところによる。
(1) 非行集団 組織性及び継続性を有し、少年を主とする3人以上の集団であって、自ら非行行為を繰り返すほか、構成員の非行を容認し、又は助長し、かつ、非行により構成員間の連帯を強める集団をいい、暴走族及びその他非行集団に区分する。
(2) 暴走族 暴走族等の追放の促進に関する条例(平成14年愛知県条例第60号)第2条第6号に規定する暴走族をいう。
(3) その他非行集団 非行を敢行することを主たる目的として結成された集団(暴走族を除く。)をいう。
(4) 不良行為グループ 非行集団に至らないものの、非行又は不良行為を繰り返している少年を主とする3人以上のグループをいう。
(5) 非行集団等 非行集団及び不良行為グループ並びにその構成員をいう。
(6) 集団的不良交友関係 非行集団等又はこれに準じる2人以上の交友関係をいう。
第4 非行集団対策推進上の基本的配意事項
1 総合力の発揮
(1) 非行集団対策の推進に当たっては、生活安全、交通、刑事、地域その他の各部門が真に実効の上がる連携を行い、総合力の発揮に努めること。
(2) 少年課長は、総合力を発揮した非行集団対策を推進するに当たり、次に掲げる事項に配意すること。
ア 部門間の必要な連絡調整を行うこと。
イ 警察署における事件捜査・調査(以下「捜査等」という。)及び離脱支援に対する具体的な指導又は支援を行うこと。
ウ 集団的不良交友関係を含む非行集団等に関する情報の集約管理及び共有化を図ること。
2 適正捜査・調査の推進
捜査等に当たっては、少年審判手続及び少年事件捜査の特性等を踏まえ、基礎捜査を徹底し、広範な証拠収集に努めるなど適正な捜査等を推進すること。
3 受傷事故の防止
非行集団等の凶悪性及び粗暴性を踏まえ、装備資器材を効果的に活用し、受傷事故防止を図ること。
第5 非行集団等に関する実態把握
1 実態の早期把握
少年課長及び警察署長(以下「署長等」という。)は、非行集団対策を効果的に推進するため、あらゆる警察活動を通じて情報収集を行い、非行集団等の実態の早期把握を図るものとする。
2 非行集団情報責任者及び非行集団情報員の指定
警察署長は、少年を担当する係の警部補の階級にある者の中から非行集団情報責任者を指定するとともに、少年を担当する係以外の署員の中から署情に応じ必要な人員を非行集団情報員に指定するものとする。
3 非行集団情報責任者等の任務
(1) 非行集団情報員は、警察安全相談、交通の取締り、事件捜査、職務質問等の各種警察活動又は関係機関、関係団体等との連携により、非行集団等の構成員、い集場所等の実態、非行集団等と暴力団との関係等に関する情報(以下「非行集団情報」という。)の収集を行うものとする。
また、将来的に非行集団化するおそれがある集団的不良交友関係に関する情報(以下「集団的不良交友関係情報」という。)についても、非行集団情報に準じて積極的に収集を行うものとする。
(2) 非行集団情報責任者は、警察署における非行集団情報の収集活動及びその指導に当たるとともに、非行集団情報及び集団的不良交友関係情報(以下「非行集団情報等」という。)を集約管理し、分析を行うものとする。
4 非行集団情報等の集約管理及び共有化
署長等は、非行集団情報等を入手したときは、生活安全関連情報システム運用要綱の制定(平成30年生少・生子・生非・生保・交指・総情発甲第20号)に定める少年警察情報管理業務への登録等により、情報の集約管理及び関係所属との情報の共有化を図るものとする。
第6 非行集団等の検挙・補導及び解体の徹底
1 非行集団等の解体に向けた捜査の徹底
署長等は、非行集団等が敢行した事件の捜査等に当たっては、現に捜査中の事件のみならず、関与が認められるその他の事件についても徹底的に解明し、検挙・補導することにより、当該非行集団等の解体を図るものとする。
2 共同捜査・合同捜査の実施
署長等は、事件の規模等に応じた体制を確立し、挙署一体となった捜査を推進するとともに、他の警察署と競合する事件については、積極的に共同又は合同捜査を推進するものとする。この場合においては、生活安全警察ブロック捜査員運用要綱の制定(令和4年生総発甲第11号)に基づき、必要に応じてブロック捜査員の派遣要請を検討するものとする。
第7 非行集団等に対する諸対策の推進
署長等は、非行集団等に対して次に掲げる諸対策を推進すること。
(1) 離脱支援及び加入防止対策の推進
ア 離脱支援対策の実施
検挙・補導した構成員等の非行集団(不良行為グループを含む。以下この(1)において同じ。)からの離脱を図るため、保護者、学校、保護観察所、家庭裁判所等と連携し、離脱支援を行うものとする。この場合、必要により、継続補導等を行うとともに、非行集団への再加入及び非行集団の再結成の防止を図るものとする。
イ 離脱者等の保護
非行集団から離脱した者、その保護者等(以下「離脱者等」という。)の保護を図るため、必要により、離脱者等との面接、家庭訪問等を実施し、報復等からの保護対策を講ずるものとする。
ウ 加入防止対策の実施
非行集団への加入防止を図るため、非行防止教室、各種講話等の機会を捉え、少年、保護者、地域住民等に対して積極的に非行集団への加入防止に係る広報啓発活動を実施するものとする。
(2) 非行集団等を許さない社会気運の醸成
県、市町村、学校、青少年育成団体その他の関係機関と連携し、地域ぐるみで非行集団等を許さない社会気運の醸成を図るものとする。
(3) 暴力団等からの影響の排除
非行集団対策の推進に当たっては、非行集団等の背後にいる暴力団等に対し刑罰法令を多角的に適用して事件化すること等により、暴力団等からの影響の排除を図るものとする。
(4) 犯罪被害者支援の徹底
犯罪被害者その他関係者が相談しやすい環境を整備するとともに、犯罪被害者等の意向を十分に踏まえて適切な対応を行うものとする。
第8 集団的不良交友関係の解消
集団的不良交友関係は、当該関係を背景とし、又は非行がエスカレートして凶悪犯罪を引き起こす前に関係の解消を図る必要があることから、次に掲げる事項に着目し、集団の形成に至る前の緩いつながりの段階において、非行集団等と同様に各種警察活動を通じて関係の解消を推進するものとする。
(1) 集団的不良交友関係が形成されやすいエリア
集団的不良交友関係の形成は、同じ中学校又はその卒業生を単位とする例が少なくない。また、繁華街、歓楽街、深夜営業又は郊外型の商業施設等にい集することにより集団的不良交友関係の形成に至る場合があることから、当該関係が形成されやすいエリアとして中学校区及び少年い集場所に着目すること。
(2) 交友関係の多様化
スマートフォン等の情報通信機器の普及に伴い、少年等がソーシャル・ネットワーキング・サービス(インターネット上に開設された会員制のウェブサイトにおいて、会員登録をした者同士が同ウェブサイト内で交流することを提供するサービスをいう。)を利用して交友関係を構築し、共に行動するなど、その交友関係又は行動範囲が広範に及んでいる実情を念頭に置くこと。
〔平30生少発甲25号同務警発甲56号令元生少発甲112号令4生総発甲12号・本別記一部改正〕