○不発弾等に係る取扱要綱の制定

令和2年11月2日

生保発甲第157号

この度、発見された不発弾その他の火薬類の取扱いに関し、警察庁において、不発弾等の取扱いについて(令和2年警察庁丁保発第75号)が示達されたことに伴い、別記のとおり不発弾等に係る取扱要綱を制定し、実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、陸上において発見された不発弾等の取扱(昭和33年防保収甲第4731号)は廃止する。

別記

不発弾等に係る取扱要綱

第1 目的

この要綱は、発見された不発弾その他の火薬類(以下「不発弾等」という。)の取扱いに係る必要な事項を定めることにより、不発弾等に対する迅速かつ的確な措置を講じ、もって不発弾等による被害を防止することを目的とする。

第2 定義

この要綱において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

(1) 定期回収 自衛隊が警察本部において定期的に不発弾等を回収することをいう。

(2) 緊急回収 陸上自衛隊又は海上自衛隊の不発弾処理隊(以下「不発弾処理隊」という。)が、安全性が確認できない不発弾等の発見現場に出向し、それらを緊急に回収することをいう。

(3) 受付システム 許可等事務受付管理システム運用要綱の制定(平成27年生保発甲第67号)に定める許可等事務受付管理システムをいう。

(4) 不発弾等保管庫 不発弾等を一時的に保管するための施錠のできる倉庫又は堅ろうな設備をいう。

第3 不発弾等の範囲

1 陸上自衛隊が処理する不発弾等

(1) 戦時中の連合軍及び旧陸海軍の火薬、爆薬及び弾薬類であって陸上で発見されたもの

(2) 戦時中の連合軍及び旧陸海軍の漂着物たる機雷及びこれに類する不発弾等(2の(2)に該当するものを除く。)

(3) その他陸上自衛隊の方面総監が(1)又は(2)に類する不発弾等と認めるもの

2 海上自衛隊が処理する不発弾等

(1) 海上に浮遊している機雷その他の爆発性の危険物

(2) 漂着物たる機雷及びこれに類する不発弾等のうち、直接海上自衛隊に発見の通報があったもの

(3) その他海上自衛隊の地方総監が(1)又は(2)に類する不発弾等と認めるもの

第4 対応要領

1 不発弾等発見時の警戒措置等

(1) 不発弾等を発見し、又は発見の届出を受けたときは、発見場所を管轄する警察署長(以下「取扱署長」という。)は、直ちに警察官を臨場させ、必要に応じて危険区域であることを明示する看板及び縄張りを設置するなどして、応急的に立入禁止の措置を執ること。

(2) 発見者が発見場所を管轄する警察署以外の警察署に直接不発弾等を持参したときは、当該警察署の長を取扱署長とみなす。この場合において、取扱署長は、当該不発弾等の安全性が確認されるまでの間、強い衝撃を与えないようにし、当該警察署において適切に保管すること。

2 発見現場における初動措置

(1) 取扱署長は、不発弾等の種類及び数量、付近の居住状況等に鑑み、危害防止のため、住民の避難、立入禁止、通行禁止、通行制限等が必要であると判断したときは、迅速かつ確実に必要な措置を講ずること。

(2) 取扱署長は、現場における混乱を防止するため、付近一帯を全て封鎖するなど、大掛かりな規制を実施する必要があると認めたときは、保安課長(銃砲危険物係経由。以下同じ。)と事前に協議すること。

3 不発弾等の処理要請等

(1) 警察本部長等への報告

ア 不発弾等を発見し、又は発見の届出を受けた取扱署長は、不発弾等を発見した状況について、電話等により直ちに保安課長に報告し、その後、不発弾等の発見状況、対象となる不発弾等の数量、寸法等について、保安課長が別に定める方法により速やかに保安課長に報告すること。

イ アの報告を受けた保安課長は、不発弾等の状態、発見現場の状況等から、社会的反響が予想される場合又は特に迅速な処理が必要であると認める場合は、警察本部長及び警察庁保安課長に即報すること。

(2) 自衛隊に対する処理要請

ア 保安課長は、取扱署長からアの報告を受けたときは、陸上自衛隊又は海上自衛隊(以下「自衛隊」という。)に対し、直ちに電話で処理要請に係る事前通報を行うこと。

イ 警察本部長は、保安課長が別に定める不発弾等の処理要請書により、自衛隊に対して処理要請を行うものとする。

4 不発弾等の回収方法

(1) 爆発等の危険性がない不発弾等の場合

ア 保安課長は、不発弾等について、不発弾処理隊から爆発の危険性がない旨の連絡を受けたときは、その旨を取扱署長に連絡すること。

イ 保安課長からアの連絡を受けた取扱署長は、定期回収までの間、警察署において当該不発弾等を保管すること。

なお、定期回収する不発弾等の本部への搬送時期、搬送方法等については、保安課長が別に通知する。

(2) 安全性が確認できず、緊急に回収が必要と認められる不発弾等の場合

安全性が確認できず、緊急に回収が必要であると認められる不発弾等については、不発弾処理隊が現地まで出向して回収することから、現場において警察官による監視を継続した上で、不発弾処理隊に引継ぎを行うこと。

(3) 回収のために付近住民の避難が必要となる不発弾等の場合

ア 取扱署長は、不発弾処理隊から不発弾等の回収のために付近住民の避難が必要である旨の報告を受けたときは、当該不発弾等の発見場所を管轄する市町村が対策本部(災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づき、災害に準じて市町村が設置する対策本部をいう。以下同じ。)を設置する必要があることから、速やかに関係自治体に通報し、対策本部の立ち上げに関する働き掛けを行うこと。

イ 対策本部への引継ぎが行われ、対策本部の警備員等が配置されるまでの間は、現場において警察官による不発弾等の監視等を継続すること。

ウ 対策本部が付近住民の避難等により安全を確保した後、不発弾処理隊が不発弾等の安全化措置を執った上でこれを回収する。

5 不発弾等の管理方法

取扱署長は、取り扱った不発弾等の種類、個数、重量、回収の種別等について、速やかに受付システムに入力すること。

6 警察署における不発弾等の保管方法

(1) 取扱署長は、定期回収とされた不発弾等については、不発弾等保管庫において適切に保管すること。

なお、不発弾等保管庫は警察署内の火の気のない場所に設置すること。

(2) 取扱署長は、不発弾等保管庫において保管している不発弾等については、その保管状況を定期的に確認すること。

第5 留意事項

1 緊急回収の現場における不発弾等の処理に際し、危害防止上必要とする住民の退避、通行禁止又は制限その他の警戒措置について、不発弾処理隊の責任者から要請を受けたときは、保安課長に連絡するとともに、当該現場において所要の措置を講ずること。

2 不発弾等発見時の規制範囲については、不発弾等に強い衝撃を与えず、かつ、火気等を接近させないために必要な最小限度の範囲にとどめること。

3 対策本部が設置された場合においては、不発弾等が処理されるまでに相当の期間が必要となることから、取扱署長は、対策本部を設置した自治体に対し、不発弾等を監視するための警備員等を配置するように働き掛けること。

第6 その他

この要綱に定めるもののほか、この要綱を実施するために必要な細目的事項は、保安課長が別に定める。

不発弾等に係る取扱要綱の制定

令和2年11月2日 生保発甲第157号

(令和2年11月2日施行)

体系情報
第4編 生活安全/第3章 安/第2節 銃砲刀剣類・火薬類等/第2款 火薬類等
沿革情報
令和2年11月2日 生保発甲第157号