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三河繊維技術センターの研究試作品を繊維製品の展示会「テックスビジョン2025ミカワ」で紹介します
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター(蒲郡市。以下「センター」という。)は、2025年10月31日(金曜日)及び11月1日(土曜日)の2日間、ホテル竹島(蒲郡市)で開催される三河産地の繊維製品の展示会「テックスビジョン2025ミカワ」において、センターの研究試作品を紹介します。
今回紹介する研究試作品は、知の拠点あいち重点研究プロジェクトIV期※1の成果であるリサイクル炭素繊維活用品や抗菌加工した三河木綿※2を表紙とした愛知県手帳などです。
これらの研究試作品に興味のある方を始め、多くの方々の御来場をお待ちしています。
1 展示会の概要
(1)名称
テックスビジョン2025ミカワ
(2)日時
2025年10月31日(金曜日)及び11月1日(土曜日) 両日とも午前10時から午後3時まで
(3)場所
ホテル竹島
蒲郡市竹島町1-6 電話:0533-69-1256
(4)入場料
無料
2 展示内容
展示会では、以下の研究内容や試作品を紹介します。
(1)リサイクル炭素繊維活用成果品
2022年から2024年度まで「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIV期」に採択され、県内企業と大学で取り組んだ共同研究※3の成果品です。
自動車用部材やスポーツ用品などに使用されるCFRP※4(炭素繊維強化プラスチック)の廃材から再生したリサイクル炭素繊維(rCF)の取扱性を向上させる技術を開発しました。これにより実用化に向けた製品開発が可能となりました。
展示では、rCFを用いた射出成形によるボルトや、3Dプリンターによる造形品を紹介します。
リサイクル炭素繊維活用品
(2)抗菌加工した三河木綿を表紙とした愛知県手帳 ~抗菌加工に三河木綿由来のCNF(セルロースナノファイバー)※5を使用~
県統計協会が発行する愛知県手帳の表紙に、地域ブランドの「三河木綿」を用いた限定品です。県内の企業と開発したCNFを添加した銅抗菌剤を用いて、表紙生地を抗菌加工しています。化成品のバインダーの代わりに植物由来のCNFを用いた環境対応型の技術です。本技術で加工した生地は、1年保管後も高い抗菌活性を維持しました。植物由来のCNFを用いたことで、三河木綿本来の豊かな風合いを維持した愛知県手帳の表紙生地となりました。
2026年版愛知県手帳限定版(三河木綿)の表紙
(3)薬品を使用しない繊維混用率試験方法の開発
混用率試験とは、繊維製品に使用されている組成の割合を調べるものです。衣料品などでは、家庭用品品質表示法の繊維製品品質表示規程で繊維組成を表示する必要があります。一般的に、試験には、酸やアルカリ、有機溶剤が用いられます。本研究では、機器の高性能化及び解析方法の進展が目覚ましいラマン分光法を用いた、薬品を使用しない繊維混用率試験方法を開発しました。
ラマン分光法による測定画像
(4)多孔質光触媒※6ナノファイバー
電界紡糸法(でんかいぼうしほう)※7という電気を使って糸を細く作る方法を活用し、繊維径がナノメートル単位の多孔質酸化チタン系繊維を作製しました。酸化チタンという光触媒物質のみで繊維状となっています。また、多孔質状なので大きな比表面積を有しており、市販の酸化チタンと同等の性能を示します。フィルターや触媒物質としての応用が期待されます。
作製した多孔質光触媒ナノファイバー
3 問合せ先
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター
製品開発室(担当:佐藤、村井)
蒲郡市大塚町伊賀久保109
電話:0533-59-7146
URL:https://www.aichi-inst.jp/mikawa/
【参考】
○テックスビジョン2025ミカワ
今年で71回目の開催実績を誇る三河産地の繊維総合展示会。開発製品の展示や三河産地の活性化を図るための講演会の実施などを通じて、三河産地のPRを図っている。
主催:テックスビジョンミカワ開催委員会
(蒲郡市、蒲郡商工会議所、三河繊維産元協同組合、三河織物工業協同組合、東三河染色協同組合、中部繊維ロープ工業組合)
後援:愛知県、日本紡績協会、日本化学繊維協会、一般財団法人メンケン品質検査協会、一般財団法人カケンテストセンター、一般財団法人ニッセンケン品質評価センター、ダイセン株式会社(繊維ニュース)、繊研新聞社
URL:https://texvision-mikawa.jp/
【用語説明】
※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクトIV期
「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」は、大学等の研究シーズを活用したオープンイノベーションにより、県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新たなサービスの提供を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト。IV期では、2022年度から2024年度までの3年間にわたり、3つのプロジェクト(Coer Industry、DX、SDGs)それぞれに9つの研究テーマ、併せて27件の研究テーマを実施した。
※2 三河木綿
愛知県三河地方産の綿織物。2007年2月に特許庁の地域団体商標に登録されている(商標登録番号:第5023103号、三河織物工業協同組合)。
三河地方では、他の地域に先駆けて綿業が発展したとされ、明治時代には「三河木綿」というブランド名で全国に知れ渡った質の良い綿製品である。
※3 共同研究
研究課題:「高機能複合材料CFRPの繊維リサイクル技術開発と有効利用法」
研究体制:国立大学法人豊橋技術科学大学
国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学
株式会社fff fortississimo(エフエフエフ フォルテッシシモ)
ソブエクレー株式会社
福井ファイバーテック株式会社
矢作建設工業株式会社
国立研究開発法人産業技術総合研究所 中部センター
公益財団法人科学技術交流財団
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター
※4 CFRP
Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略で、炭素繊維と樹脂で構成された繊維強化プラスチック。軽量で高強度な特性から航空機や自動車、スポーツ用品などの分野で広く活用されている。
※5 CNF(セルロースナノファイバー)
植物由来の次世代素材。セルロースを含む植物や植物由来の加工品(紙、木綿、麻等)を原料として、化学加工や機械加工により得られる100n(ナノ)m以下の太さのナノサイズの繊維状物質。環境負荷が少ないプラスチックの代替素材として、既に家電、建材、化粧品などに活用されている。
※6 光触媒
光が当たることで触媒作用を発揮し、化学反応を促進する材料。光をエネルギー源として有機物を分解したり、水素を生成する特性があるものもある。環境浄化やエネルギー分野で注目されている。
※7 電界紡糸法
ポリマー溶液に高電圧を印加し、静電気力によって繊維径が数100nm程度のナノスケールの極細繊維を生成する紡糸技術。効率的に捕集できるフィルターや電池の材料、再生医療における細胞の足場として、近年ナノファイバーの需要が高まっており、注目されている紡糸技術である。
このページに関する問合せ先
あいち産業科学技術総合センター三河繊維技術センター
製品開発室(担当:佐藤、村井)
蒲郡市大塚町伊賀久保109
電話:0533-59-7146