本文
あいち産業科学技術総合センターが冊子「明日を拓く技術開発」を発行しました ~最新の研究成果・技術支援事例を紹介~
愛知県では、県内企業が抱える技術課題を解決するため、あいち産業科学技術総合センター(以下「センター」という。)において、研究開発や技術支援を行っています。この中で得られた最新の研究成果と技術支援事例を、広く企業の皆様に知っていただき、課題解決等に御活用いただくため、冊子「明日を拓く技術開発」を発行しました。
この冊子では、企業間(BtoB(*1))及び生活関連(BtoC(*2))向け製品開発、計測・分析技術の3分野において、センターの研究成果や、企業の皆様が抱える技術課題の解決につながった事例61件を、写真入りで具体的に紹介しています。
企業の皆様の製品・技術開発に、本冊子及びセンターを是非、御活用ください。
1 概要
(1)発行目的
新製品・新技術開発、及び技術課題の解決にセンターを役立てていただくため、最新の研究成果事例及び技術相談・指導による技術支援の事例を2年ごとに取りまとめて紹介しています。
(2)構成(A4判 本文21ページ カラー写真入り)
2025年度までの主な研究開発成果・技術支援事例 61事例
企業間(BtoB)向け製品開発 23事例
生活関連(BtoC)向け製品開発 9事例
計測・分析技術 29事例
(3)発行部数
2,000部
(4)配布場所
冊子は、本部、各技術センター及び試験場で配布するとともに、センターWebページ(https://www.aichi-inst.jp/)でも公開します。
(5)配布開始日
2026年9月18日(金曜日)
2 掲載内容例
(1)企業間(BtoB)向け製品開発の例
No.7 高吸水性で、生乾き臭などの原因菌を抑える三河木綿(*3)ガーゼ(産業技術センター(刈谷市))
三河木綿ガーゼは多重織の技術が利用されており、保温性、吸水性および肌触りに優れた特性があります。環境適応型素材セルロースナノファイバー(以下、CNF)(*4)を用いて、ガーゼの特性を損なうことなく菌の増殖抑制効果を有する三河木綿ガーゼを開発しました。
●特徴・方法
三河木綿ガーゼの高い吸水性を維持するため、木綿と同じセルロース素材であるCNFを使用して抗菌剤を固定化しました。これにより、高い吸水性を維持しつつ、生乾き臭の原因菌として一般的に知られているモラクセラ菌(*5)や、黄色ブドウ球菌(*6)に対して高い抗菌効果を有する三河木綿ガーゼが開発できました。抗菌効果はSEKマーク認証基準をクリアすることを確認しました。
●成果・波及
生乾き臭などの原因菌の増殖を抑える三河木綿ガーゼは蒲郡市の記念品に採用され、配布されました。また、展示会に出展し技術の普及を図っています。

写真:抗菌加工済み三河木綿ガーゼ
((一社)繊維評価技術協議会のSEKマーク認証基準(*7)をクリア)
(2)生活関連(BtoC)向け製品開発の例
No.30 豆味噌の調理特性の解明(食品工業技術センター(名古屋市))
経験的に語られてきた豆味噌の調理で役立つ特性を科学的アプローチで明らかにしました。
●特徴・方法
もつ煮、カレー、味噌煮込みうどんを調理し、全国的に普及している米味噌と比較しました。
●成果・波及
豆味噌は米味噌に比べて、もつ煮で不快臭の原因となるヘキサナール(*8)の生成を抑制しました。また、隠し味としてカレーに加えると、コクが有意に増しました。さらに、豆味噌には旨味やコクの付与に関与する成分が米味噌より多く含まれ、煮込むことでそれらの成分が具材へ浸透し、旨味やコクを高めることが示されました。豆味噌の魅力を科学的に裏付ける成果となりました。
写真:米味噌(左)と豆味噌(右)を用いて調理したもつ煮(上)および味噌煮込みうどん(下)
(3)計測・分析技術の例
No.60 薬品を使用しない繊維混用率(*9)測定技術(三河繊維技術センター(蒲郡市))
繊維製品に使用される繊維素材の定性定量分析において、一般的には、高濃度の酸やアルカリ、有機溶剤が用いられており、作業に伴うリスク及び環境への負荷が懸念されておりました。本技術は、分光法を用いた低作業リスク、低環境負荷な測定方法です。
●特徴・方法
ラマン分光法(*10)を用いて繊維束の断面のマッピング測定を行い、それぞれの組成の占有面積から、繊維束に含まれる組成の割合を算出します。
●成果・波及
開発した技術を用いて、ポリエステル30%と綿70%の混紡糸の定性・定量分析を行いました。その結果ポリエステル30.6%、綿69.4%と算出され、実用レベルの結果が得られました。

写真:ラマン分析法による繊維混用率の測定
3 問合せ先
あいち産業科学技術総合センター産業技術センター総合技術支援・人材育成室
担当:山本、榊原、太田
刈谷市恩田町1丁目157番地1 電話:0566-45-5640
URL:https://www.aichi-inst.jp/
【用語説明】
*1 BtoB
Business to Business の略。企業が企業に向けて、商品やサービスを提供する取引を意味する。
*2 BtoC
Business to Consumer の略。企業が個人に向けて、商品やサービスを提供する取引を意味する。
*3 三河木綿
愛知県三河地方産の綿織物。2007年2月に特許庁の地域団体商標に登録されている(商標登録番号:第5023103号、三河織物工業協同組合)。三河地方では、他の地域に先駆けて綿業が発展したとされ、明治時代には「三河木綿」というブランド名で全国に知れ渡った質の良い綿製品。
*4 セルロースナノファイバー(CNF)
植物由来の次世代素材。主に光合成をする植物を原料にして、化学加工や機械加工により得られる100nm以下の太さのナノサイズの繊維状物質。環境負荷が少ないプラスチックの代替素材として、既に家電、建材、化粧品などに活用されている。
*5 モラクセラ菌
洗濯物などの繊維製品が十分に乾かず、生乾きの状態で放置されることで発生する不快な臭い(生乾き臭)の主な原因として知られている。増殖して衣類に付着した水分や皮脂等を栄養にすることで雑巾臭のような臭い(主に「4-メチル-3-ヘキセン酸」)を発する。
*6 黄色ブドウ球菌
繊維製品の抗菌防臭効果を評価するための代表的な試験菌種。黄色ブドウ球菌自体は無臭だが、増殖する際に「ミドル脂臭」(使い古した油のような臭い)などの悪臭成分を発生させることがある。
*7 SEKマーク繊維製品認証基準
一般社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)が定めた自主基準を満たしていることを示す認証制度の基準。この基準では、抗菌防臭、制菌などの機能性加工を施した繊維製品について、評価方法や安全性試験(毒性試験、皮膚刺激試験など)の基準が定められている。基準を満たした製品にはSEKマークが付与され、消費者はその製品が一定の機能と安全性を保証されていることを確認できる。
*8 ヘキサナール
植物油や大豆に含まれる脂肪酸が酸化されることで生成され、青臭いにおいの原因となる物質。
*9 繊維混用率
繊維製品に含まれる異なる繊維の割合を表す指標である。JIS L 1030-2「繊維製品の混用率試験方法‐第2部:繊維混用率」に規定された方法で行い、一般的には解じょ試験、溶解試験、顕微鏡試験で実施する。
*10 ラマン分光法
単色レーザ光を試料に照射した際に散乱される光のわずかな波長の変化を検出し、試料表面を分析する手法。
<参考>あいち産業科学技術総合センターの概要
「知の拠点あいち」本部において、大学の研究シーズを企業の事業化につなげる産・学・行政の連携による共同研究の場の提供や高度計測分析機器による分析評価など「付加価値の高いモノづくり技術」を支援する取り組みを行うとともに、「産業技術センター」始め県内各地に設置した技術センター・試験場において、中小企業の方々の総合的な技術支援を実施している。
本部:豊田市八草町秋合1267-1 電話:0561-76-8315
瀬戸窯業試験場:豊田市八草町秋合1267-1 電話:0561-21-2116
産業技術センター:刈谷市恩田町1-157-1 電話:0566-45-5640
常滑窯業試験場:常滑市大曽町4-50 電話:0569-35-5151
三河窯業試験場:碧南市六軒町2-15 電話:0566-41-0410
食品工業技術センター:名古屋市西区新福寺町2-1-1 電話:052-325-8093
尾張繊維技術センター:一宮市大和町馬引字宮浦35 電話:0586-45-7871
三河繊維技術センター:蒲郡市大塚町伊賀久保109 電話:0533-59-7146
※開庁時間:午前8時45分から午後5時30分
(土曜・日曜日・祝日、12月29日から1月3日を除く)
このページに関する問合せ先
あいち産業科学技術総合センター産業技術センター総合技術支援・人材育成室
担当:山本、榊原、太田
電話:0566-45-5640

