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【2025年度水産海洋学会論文賞受賞】「豊かな海」とは?伊勢湾の生態系の変化を明らかにした 水産試験場の研究が学会で高い評価を受けました

ページID:0631484 掲載日:2026年3月17日更新 印刷ページ表示
14 海の豊かさを守ろう

 愛知県水産試験場では、伊勢湾の生態系と生物生産力の変化に関する研究を行っています。この度、その研究成果をまとめた論文が、水産海洋学会において2025年度「論文賞」を受賞しました。

 水産試験場で長年蓄積された漁業データに基づく解析が高く評価されたことは、本県が取り組んでいる「豊かな海」の実現、その姿を考える上でも重要な成果となります。

1 受賞論文

 「伊勢湾における生態系構造と生物生産力の変化」

 (掲載論文誌:水産海洋研究,89(4),227—239)

(DOI:https://doi.org/10.34423/jsfo.89.4_227

2 受賞者

曽根 亮太(そね りょうた)  水産試験場漁場環境研究部漁場改善グループ 主任研究員

日比野 学(ひびの まなぶ)  農業水産局水産課企画・環境グループ 課長補佐

(※所属・役職名は現在)

3 受賞理由

​ 本論文は1970–2020年にわたる長期的な漁獲資料を解析することで、近年の伊勢湾において、基礎生産の低下による内湾依存種の減少や、大型魚類の分布域の変化等により、生態系構造が変化してきたことを示しました。さらに、栄養塩類の減少によって生産効率の高い種から低い種へ転換されたことにより、全体的な生物生産力が低下していることを指摘しました。水産試験研究機関が長年にわたり蓄積してきた貴重なデータを用いて生態系全体の構造や生産力を定量評価するとともに、他の海域でも適用可能なモデルケースを提供するものとして高く評価されました。

4 成果の概要

・伊勢湾の漁獲量は長期的に減少し、2010年頃から漁獲される生物の種類は大きく変化し、魚種組成は外海に類似してきている。

・生態系全体の食物連鎖における位置(平均栄養段階)は上昇しており、生態系構造が変わってきている。

・生物の増える力を示す生物生産力は、2014年頃から低下している。

・生態系の変化には、栄養塩類や水温等が関わり、特に栄養塩類の減少(特にリンの減少)が大きく関わっていることが示唆された。

・現在、内湾環境や漁業の特色が失われつつあり、地域ニーズを踏まえた栄養塩管理等の対策を講じていく必要がある。

成果の概要のイメージ図

5 受賞式の日時及び場所

 日時:2026年3月21日(土曜日)午前10時55分から

 場所:東京海洋大学品川キャンパス 白鷹館 講義室(東京都港区港南4-5-7)

6 水産海洋学会及び「論文賞」について

 一般社団法人水産海洋学会(会員数:748名)は、水産海洋に関する研究の発展と知識の普及に関する事業を行い、学術の振興及び産業技術の発展に寄与することを目的とした学会です。特に、水産学・海洋学の研究者と漁業者との対話に重点を置きながら、生物資源と環境の相互作用を明らかにし、水産業の発展に寄与することを目標として掲げています。

 論文賞は、過去2年間に「水産海洋研究」誌及び「Fisheries Oceanography」誌に掲載された、主として水産海洋学において優れた内容を持つ論文の中から、学会賞受賞候補推薦委員会の選考及び評議員の投票を経て選ばれた論文2編以内に授与されます。

 

 

このページに関する問合せ先

農業水産局水産課企画・環境グループ(日比野、青山)

電話 052-954-6458(直通)