深山幽谷。阿寺の七滝と安倍晴明のお話し
新城市下吉田の山中、豊川支流阿寺川にかかる国指定名勝・天然記念物「阿寺の七滝」は、愛知県では唯一、日本の滝百選のひとつに選ばれています。
この辺りは、赤茶色をした丸い小石が堆積してできた円礫岩(えんれきがん)の地層となっていて、駐車場から滝へと向かう遊歩道脇で、岩肌に露出しているのを見ることができます。
この円礫岩が、ちょうど子どもを抱くように、やさしく石を包んでいることから、「子抱石」ともいわれ、この石に祈願すると子宝に恵まれるとの伝承を持ちます。
また、中央構造線がまさにこの直下を横断していることから、断層活動で割れた石が長い年月をかけて、断面が食い違ったままでくっついた「くいちがい石」も多くみられるとのことでした。
私たちが「阿寺の七滝」を訪れたのは、山々が紅葉へと向かう昨年11月中旬。
散策を楽しみながら遊歩道をゆっくり歩くと、駐車場から15分ほどで「阿寺の七滝」が見えてきました。
滝壺の前に立って滝を見上げてみると、マイナスイオンが全身に降り注いでいるのが感じられました。
さて、ここで気になるのはやはり、「阿寺の七滝」には、実際に7つの滝があるのかという点です。
そこで、滝の上部を見ることのできる場所まで上がって確認したところ、私の主観的観測では、概ね10の滝がありました。このため、個人的な結論としは、「阿寺の概ね十滝」ということになります。
さて、気を取り直して、「阿寺の七滝」には、もうひとつ伝承があるそうです。
平安時代に活躍した陰陽師、安倍晴明が若き日に、「阿寺の七滝」において一番落差の大きい第四の滝で修行をされたということです。
若き日の安倍晴明が深山幽谷にひとり。「阿寺の七滝」の滝壺で何を見出したのでしょうか。
「阿寺の七滝」は、秋の紅葉シーズンはもちろん、新緑の季節、夏の避暑にもおすすめです。コロナ禍が落ち着きましたら是非、お出かけください。
本日のこぼれ話し
豊川の延長は77キロ、その水源は設楽町の段戸山で標高は1,152メートル。
世界に目を移すと、
イギリスのテムズ川の延長は346キロ、水源の標高は110メートル。
フランスのセーヌ川の延長は780キロ、水源の標高は471メートル。
アメリカのミシシッピ川の延長は3,779キロ、水源の標高は450メートル。
なお、日本一長い信濃川の延長は水系全体で367キロ、水源の標高は2,475メートル。
これだけ見ても、日本の河川がいかに急流なのかが分かります。ミシシッピ川と比べたら、豊川は「滝」といってもいいレベルかもしれません。
これから、日本は雨の季節を迎えます。災害情報などに注意しながら、避難など早めの対応をお願いします。