奥三河は秋から冬へ。針葉樹林と広葉樹林のお話し
奥三河には、新城市の鳳来寺山や愛知県民の森、設楽町のきららの森といった紅葉の名所がたくさんあり、標高などの条件によってそれぞれ異なりますが、毎年、11月の上中旬くらいから見頃を迎えます。
今年は、例年に比べて客足は少ないものの、コロナ禍が一旦落ち着いたこともあって、多くの方に水源の森の紅葉を楽しんでいただきました。
鳳来寺山東照宮付近の紅葉
この季節、奥三河をドライブすると、そこかしこで、赤や黄に染まったカエデやモミジ、ブナやコナラなどの広葉樹が目を楽しませてくれるのですが、それをより引き立たせるのが、青々とそびえるスギやヒノキといった針葉樹の森とのコントラストです。
奥三河は古くから林業が盛んで、戦前から建築材となるスギやヒノキの造林が行われてきました。
それは、「『道の駅したら』がオープン。田口線木製車両が再びにぎわいを運ぶお話し(その1)」でご紹介した田口線が、段戸山の御料林から木材を運び出すための森林鉄道の役割を担っていたことからも分かると思います。
設楽町津具の針葉樹林
林野庁の統計によると、2017年3月末時点の日本の森林面積における人工林面積の割合は約41%ですが、愛知県は約64%となっており、これは全国で3番目の高水準だということです。
そのなかでも奥三河の人工林面積の割合は高く、2019年の愛知県林業統計書では新城市で74.6%、設楽町では81.1%となっています。
スギやヒノキは50年ほどで材木に適した大きさに生育するそうですが、林業経営に関するコストの増加や林業の担い手不足などで、適齢期に達したにも関わらず切り出すことのできない樹木も増えており、このままでは、森林の健全性が損なわれかねない状況となっています。
こうした状況下、近年の気象の不安定化も相まって、水源の涵養や土砂災害の防止といった森林が果たす多面的機能の重要性が改めて認識されてきています。
そこで愛知県では、スギ・ヒノキなどの充実した森林資源を有効に活用するとともに、森林の持つ多面的機能を維持・増進するため、「伐る(きる)・使う」→「植える」→「育てる」循環型林業を推進しています。
針葉樹と広葉樹が混じり合う森
青々とそびえる針葉樹の森は、山間地域が経済的に自立できるようにと先人が残してくれた財産です。
昨今、コロナ禍によるウッドショックで、輸入材に頼るハウスメーカーなどは難渋しているとのことですが、建物は、その地域の気候風土で育った木材を使うことで耐久性も増すとのことなので、これを契機に奥三河の木材がより活用され、地域の林業が循環していくことを期待しています。
一方で、急峻な地形であったり、狭隘な地形であったりと林業に不向きなところなどは、広葉樹を植林することによって、徐々に自然に近い状態の森林に戻したり、人の生活と関わりをもつ里山にしていくことで、私たちに安らぎをもたらす森となってくれればいいなと思います。
奥三河は森林とともにある地域です。
先人の残してくれた財産を有効に活用し、持続可能な形で後世に受け継ぐ。それはとても大切なことです。
紅葉の季節が終わり、晩秋の奥三河は冬へと向かいます。
本日のこぼれ話し
皆さん、小学生の頃に習った地図記号は覚えていますか?
私はテストが終わったら全部忘れて頭のハードディスクの空き容量を確保するタイプであるため、ほとんど覚えていません。
本日ご紹介する地図記号はこちら、針葉樹林と広葉樹林です。
それぞれ樹木を横から見た形を記号にしたとのことです。
針葉樹林は分かりやすいですが、広葉樹林は難しいですね。
精一杯に枝を広げ、葉を広げた広葉樹のシルエットといったところでしょうか。
「したらダムカレーカード」の配布が始まりました!
2021年12月9日から、設楽町内でダムカレーを提供する7店舗において、「したらダムカレーカード」の配布が始まりました。詳細は、設楽町Webサイトをご覧ください。