ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > あいち産業科学技術総合センター > 「知の拠点あいち」重点研究プロジェクトにおいてテラヘルツ波による食品製造工程用の異物検査装置を開発しました

「知の拠点あいち」重点研究プロジェクトにおいてテラヘルツ波による食品製造工程用の異物検査装置を開発しました

平成27年12月17日(木曜日)発表

愛知県は、公益財団法人科学技術交流財団に委託して、大学などの研究シーズを企業の実用化・製品化につなげる産学行政連携の共同研究開発プロジェクト『「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト』※1を実施しています。

このたび、「食の安心・安全技術開発プロジェクト」※2において、豊橋技術科学大学大学院工学研究科の福田(ふくだ)光男(みつお)教授、名古屋工業大学大学院工学研究科のベイジョンソク教授、富山大学大学院理工学研究部の莅戸立夫(のぞきどたつお)准教授、NTTエレクトロニクス(株) ※3、三井金属計測機工(株)※4の研究グループは、テラヘルツ波(0.1THzから10THzの周波数帯の電磁波)による食品製造工程用の異物検査装置を開発しました。

これまで、食品の異物検査において、紙・布・樹脂包装された食品内部の虫等の異物を検査することは困難でした。本検査装置は、新規開発した0.3THz帯のテラヘルツ波発生器及び検出器により得られる透過画像を利用することで、このような異物を食品工場の製造工程に対応可能な速度で検査できます。

今後、粉末食品、ドライフーズ等の乾燥食品を主な対象として、平成28年度から実証試験を開始し、平成32年度以降に製品化を目指します。

1 開発の背景

安全な食品の提供のために、食品製造業においては、異物混入対策が進められていますが、これまで、紙・布・樹脂包装された食品内部の虫等の異物を検査することは困難でした。食の安心・安全への関心が高まる中、このような異物を食品製造工程に組み込まれた形で迅速な検査を行う装置の開発が求められています。

そこで、本プロジェクトでは平成23年度から、テラヘルツ波が物質を透過すること、また物質によって透過のしやすさが異なることに着目し、テラヘルツ波による異物検査技術の研究開発を進め、食品工場の製造工程に対応可能な異物検査装置の完成に至りました。本検査装置をX線による検査装置などの従来の検査方法と併せて活用することで、さらなる食の安心・安全の向上が期待できます。

2 開発の概要

(1)装置の特徴

テラヘルツ波は光と電波の間の周波数を持ち、光と電波の両方の性質を兼ね備えている電磁波です(図1)。本検査装置では、このテラヘルツ波の持つ、光と電波の2つの性質を用いた装置設計を行っています。

 

【光の性質】レンズで屈折する性質を利用し、テラヘルツ波発生器から発生するテラヘルツ波を食品に効率良く照射

【電波の性質】物質を透過する性質を利用し、食品内部の透過像を取得

 

図1: 電磁波の周波数と波長
図1: 電磁波の周波数と波長

 

本検査装置(図2)は、新規開発した広帯域光源※5を用いた0.3THz帯のテラヘルツ波発生器、及び、テラヘルツ波検出素子を最適に配置した新規開発の検出器により、ノイズが少なくクリアな透過画像(最高画像分解能1mm)を取得できます。また、高速(生産速度30m/分)で移動する食品等の製品に対して検査が可能です。
図2: 装置構成の概略図
図2: 装置構成の概略図

 

(2)本検査装置の異物検出原理

一般的に、可視光は食品内部を殆ど透過しません。一方、テラヘルツ波は可視光と比べて食品をよく透過します。透過したテラヘルツ波をセンサで受信することにより、食品内部が透けて見える透過画像が得られます。さらに、虫等の異物が食品中に含まれている場合、テラヘルツ波の透過のしやすさが異なるため、異物が混入している様子がわかる透過画像が得られます。また、テラヘルツ波は、紙、布、樹脂を透過するため、可視光では見えない紙、布、樹脂包装された食品の透過画像も得ることができます(図3)。

図3: 本検査装置による検出事例(食品に虫が混入したサンプル例)
図3: 本検査装置による検出事例(食品に虫が混入したサンプル例)
(提供:豊橋技術科学大学 福田研究室)

(3)開発分担

開発分担

機関

役割

豊橋技術科学大学

装置評価

名古屋工業大学

装置設計および調整

富山大学

画像処理ソフト開発

NTTエレクトロニクス(株)

装置製作

三井金属計測機工(株)

製品開発

 

3 今後の展開

今後、粉末食品、ドライフーズ等の乾燥食品を主な対象として、平成28年度から実証試験を開始し、平成32年度以降に製品化を目指します。

4 問合せ先

○プロジェクト全体に関すること

あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

(1)担当:村上、鹿野

(2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

(3)電話:0561−76−8306

(4)FAX:0561−76−8309

公益財団法人科学技術交流財団

(1)担当:青木、松村、中山、青井

(2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

(3)電話:0561-76-8370

(4)FAX:0561-21-1653

○本開発の技術内容に関すること

豊橋技術科学大学大学院工学研究科

(1)担当:教授 福田光男、非常勤講師 遠藤政男

(2)所在地:豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1

(3)電話:0532-44-6729

(4)FAX:0532-44-6729

名古屋工業大学大学院工学研究科

(1)担当:教授 べイジョンソク

(2)所在地:名古屋市昭和区御器所町

(3)電話:052-735-7689

(4)FAX:052-735-7689

富山大学大学院理工学研究部

(1)担当:莅戸立夫(のぞきどたつお)准教授 

(2)所在地:富山県富山市五福3190

(3)電話:076-445-6760

(4)FAX:076-445-6760

NTTエレクトロニクス株式会社

(1)担当:センシング製品部 部長 清水 誠

(2)所在地:茨城県那珂市戸6700-2

(3)電話:029-270-6371

(4)FAX:029-270-6936

三井金属計測機工株式会社

(1)担当:取締役 兼 技術統括部 部長 天野啓二

(2)所在地:小牧市小木東2-88

(3)電話:0568-74-7670

(4)FAX:0568-76-7830

用語説明

※1 「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト

高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究プロジェクト。大学、公的研究機関等の研究シーズを企業の製品化へつなげる橋渡しの役割を担い、食の安心・安全技術開発プロジェクト等3つのプロジェクトを実施。

 

※2 食の安心・安全技術開発プロジェクト

 <プロジェクトリーダー>
豊橋技術科学大学大学院工学研究科 教授 田中三郎 氏

 <内容>
全国有数の食品工業の集積地であり、多様な農産物を産出する本県において、食品や農産物 に含まれる有害化学物質、固形異物、微生物を高精度、迅速、安価に検査する技術を確立する

 <参加機関>
11大学5公的研究機関36企業(うち中小企業15社)(平成27年12月1日現在) 

・うち大学
豊橋技術科学大学、名古屋大学、名古屋工業大学、静岡大学、名城大学、中部大学、名古屋市立大学、青山学院大学、富山大学、金沢工業大学、香川大学

 ・うち公的研究機関
(公財)科学技術交流財団、愛知県農業総合試験場、(公財)京都高度技術研究所、あいち産業科学技術総合センター、愛知県衛生研究所  

 

※3 NTTエレクトロニクス株式会社

神奈川県横浜市に本社を置く、情報通信システム用のフォトニクス製品、エレクトロニクス製品及びデジタル映像コーデック関連の装置やデバイスの設計・製造・販売を行う企業。

 

※4 三井金属計測機工株式会社

本県小牧市に工場・事業所(本社:福岡県大牟田市)を置く、青果物センサの設計・製造・販売、産業機器向け部品、電子製品・電子計測機器及び産業機器向け部品等の設計・製造・販売を行う企業。

 

※5 広帯域光源

 従来の単一の波長を発生する光源とは異なり、特定の周波数範囲の全ての波長が出力される光源。高輝度で安定な出力を得ることができる。本検査装置ではNTTエレクトロニクス株式会社が新規開発したテラヘルツ波用広帯域光源を用いており、0.285 THz~0.315 THzの波長が出力される。