ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > あいち産業科学技術総合センター > 「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(III期)」EV充電用の高効率・小型・軽量蓄電池を開発しました!

「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(III期)」EV充電用の高効率・小型・軽量蓄電池を開発しました!

 愛知県と公益財団法人科学技術交流財団では、大学等の研究シーズを活用したオープンイノベーションにより、県内主要産業が有する課題を解決し、新技術の開発・実用化や新たなサービスの提供を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期※1」を2019年度から実施しています。

 3つのプロジェクトのうち「近未来自動車技術開発プロジェクト※2」の「航空機電動化に向けた高電力密度インバータ設計手法の確立と実証※3」では、名古屋大学、サイバネットシステム株式会社、株式会社ナチュラニクスの研究チームが、電動航空機用小型・高電力密度GaNインバータ※4を開発しています。

 この度、その技術を活用し、EV充電用を目途に、従来製品より高効率・小型・軽量等の特徴を持つGaNインバータ搭載蓄電池を開発しました。

開発したGaNインバータ

      開発したGaNインバータ

 1  新たに開発した蓄電池の概要

 GaN(窒化ガリウム)は、現在主流のSi(シリコン)に比べ電力損失を大幅に低減できるため、次世代半導体材料として注目されている材料です。本プロジェクトで開発したGaNインバータ高速スイッチング技術を活用することで、インバータの高効率、小型・軽量化、高速充電を実現しました。詳細は以下のとおりです。また、本開発品はコンセントからの入力1500Wと蓄電池内のバッテリーを合わせた3000Wの出力を持ち、電気自動車(EV)を2台同時に充電することが可能です。

・GaNインバータによるスペック向上

 
要素改善効果※特長
寸法約25%縮小安価な料金で輸送可能
重量約15%削減
変換効率約20%向上充電時のエネルギーロス低減
充電速度約25%向上充電時間短縮

※従来品(Siインバータ搭載蓄電池)との比較。株式会社ナチュラニクス調べ

  開発品イメージ(写真は従来品)

fig1-1     蓄電池内構成図

           図 開発した蓄電池のイメージ及び蓄電池内構成図

【参考:GaNインバータ搭載蓄電池の仕様】

寸法

幅216mm×奥行500mm×高さ310mm

重量

25kg

インバータ効率

97%

蓄電池への充電時間

約1時間

充電可能な出力電力量

 

EV 2台(1500Wの充電器の場合)

20W程度の情報端末約150台

入力

単相AC100V、50/60Hz

出力

単相AC100V、50/60Hz、3kW

充放電回数

2万回

蓄電池容量

1.1kWh

動作温度、湿度

-20~+40℃、20~80%RH

充電中の使用

可能

2  期待される成果と今後の展開 

 従来、EVの充電を行う専用充電ステーションの設置には、配電工事が必要でした。小型・軽量化した本開発品を用いることで、一般家庭用コンセント一つからEVを2台同時に充電させることが可能となります。EV充電ステーションの専用電気工事が不要になり、EVの普及に大きく貢献することが期待できます。また、従来型の蓄電池に比べ発熱等による電力ロスが少なく、高効率で充電が可能となります。

今後、株式会社ナチュラニクスが製品化し、2022年度中の販売を目指します。

開発した蓄電池の利用例

     図 開発した蓄電池の利用例

3  社会・県内産業・県民への貢献

社会への貢献

充電ステーションの普及

県内産業への貢献

名古屋大学 天野 浩(あまの ひろし)教授の研究成果「GaNパワー半導体を利用した高周波技術」の適用によるインバータの高効率、低電力損失、小型、軽量化技術の推進

県民への貢献

EV充電スポットの利便性向上

4  問合せ先

【プロジェクト全体に関すること】

・あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

(1)担 当:門川、福田、加藤

(2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

(3)電話:0561-76-8306

(4)FAX:0561−76−8309

 

・公益財団法人科学技術交流財団 知の拠点重点研究プロジェクト統括部

(1)担 当:松村、青井、金田

(2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

(3)電話:0561-76-8360

(4)FAX:0561−21−1653

 

【本開発内容に関すること】

(GaNインバータ技術関連)

・名古屋大学

(1)担 当:工学部 教授 山本 真義(やまもと まさよし)

(2)所在地:名古屋市千種区不老町

エネルギー変換エレクトロニクス研究館「C-TECs」 4階 401室

(3)電話:052-789-3824

 

(蓄電池製品技術関連)

・株式会社ナチュラニクス

(1)担 当:代表取締役CEO 金澤 康樹(かなざわ やすき)

(2)所在地:東京都墨田区横川1-16-3横川倉庫2階センターオブガレージRoom04

(3)電話:080-5754-4474

 

【用語説明】

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期

 高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。2011年度から2015年度まで「重点研究プロジェクトI期」、2016年度から2018年度まで「重点研究プロジェクトII期」を実施し、2019年度からは「重点研究プロジェクトIII期」を実施。

「重点研究プロジェクトIII期」の概要

実施期間

2019年度から2021年度まで

参画機関

19大学 12研究開発機関等  106社(うち中小企業67社)

(2021年6月末時点)

プロジェクト名

・近未来自動車技術開発プロジェクト(プロジェクトV)

・先進的AI・IoT・ビッグデータ活用技術開発プロジェクト(プロジェクトI)

・革新的モノづくり技術開発プロジェクト(プロジェクトM)

 

※2 近未来自動車技術開発プロジェクト(プロジェクトV)

概要

自動車の電動化、情報化、知能化及びMaaSといった100年に1度の大変革期に対応するため、高性能なインバータやモータ等の開発を進めるとともに、自動運転の実現と先進プローブデータを活用した交通安全に貢献する技術開発に取組むプロジェクト。

分野テーマ・研究テーマ

(1) 航空機電動化に向けた高電力密度インバータ設計手法の確立と実証

(2) 高性能モータコア・変速ギア製造のための革新的生産技術開発

(3) GaNパワーデバイスの高性能化と高機能電源回路の開発

(4) 小型ビークルのためのワイヤレス電力伝送システム

(5) 熱/電気バッテリーで構築するエネルギーマネジメント技術

(6) ヒトに優しい遠隔運転要素技術の開発とシステム化

(7) 日本初の自動運転モビリティによるサービス実用化に向けた技術研究開発

(8) 先進プローブデータ活用型交通安全管理システムの開発

参画機関

8大学4研究開発機関等37企業(うち中小企業20社)   

(2021年6月末時点)

 

※3 航空機電動化に向けた高電力密度インバータ設計手法の確立と実証

研究リーダー

名古屋大学 未来材料・システム研究所 教授 山本 真義 氏

事業化リーダー

サイバネットシステム株式会社 井上 岳(いのうえ たかし)氏

株式会社ナチュラニクス 金澤 康樹 氏

内容

 

航空機の電動化のため、近年発展の著しい次世代化合物半導体(GaN)を用いた小型・高電力密度インバータシステムの開発と次世代システムシミュレーション技術の確立を目標とする。

参加機関

〔企業〕

 サイバネットシステム株式会社、株式会社ナチュラニクス、三菱重工航空エンジン株式会社

〔大学〕

名古屋大学

〔公的研究機関〕

公益財団法人科学技術交流財団、あいち産業科学技術総合センター

 

※4 GaNインバータ

 半導体材料としてGaN(窒化ガリウム)を用いた直流を交流に変換する装置。GaNはSiC(炭化ケイ素)と並び、現在主流のSi(シリコン)に代わる次世代半導体材料として注目され、実用化が進んでいる。スイッチング周波数の高速性や電力損失を大幅に低減する高効率性を最大の特長としており、システムの小型化や高効率化を実現できる。