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生物多様性とは?
1 3つのレベルの生物多様性
生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことです。
生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3つのレベルで多様性があるとしています。
(1) 生態系の多様性
奥山、里地里山、里海、河川、湿地など様々なタイプの自然があり、それぞれの自然の中で、多くの生きものが関わり合いながら生態系が成り立っています。
(2) 種の多様性
地球上の生きものは、40億年という長い歴史の中で様々な環境に適応して進化してきました。動植物から細菌のような小さなものまで、一説では3,000万種とも言われる多様な生きものが生息しています。
(3) 遺伝子の多様性
同じ種でも、異なる遺伝情報を持っていることにより、形や模様、行動などに多様な個性が生まれ、環境の変化にもうまく適応することができます。
2 生物多様性の4つの危機
日本の生物多様性は4つの危機にさらされています。
現在、地球上の種の絶滅のスピードは、自然状態の数十倍から数百倍にも達しています。その最大の要因は人間活動による影響です。私たちの毎日の生活が、巡りめぐって生物の大量絶滅を引き起こしているのです。
第1の危機 : 開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少
第2の危機 : 里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下
第3の危機 : 外来生物などの持ち込みによる生態系のかく乱
第4の危機 : 地球環境の変化による危機
3 生きものの恵み(生態系サービス)
私たちの生活は生物多様性がもたらす恩恵に支えられています。この恩恵は「生態系サービス」と呼ばれ、次の4つに分類されています。
(1) 供給サービス
くらしに欠かせない農産物や海産物、燃料など、私たちは直接的に生きものからの恵みを受けています。
(2) 調整サービス
森、川、海などによって、きれいな空気や水、暮らしやすい気候が保たれ、災害被害が抑えられています。
(3) 文化的サービス
私たちの文化を形づくる芸術や祭りは、自然との関わりの中で発展してきました。自然の中で心身が癒されることも、生きものから受け取る恩恵の一つです。
(4) 基盤サービス
土壌、水、空気などを作り出し、それらを循環させることで、私たちの生活の基盤がつくられます。