ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > 組織からさがす > 自然環境課 > 国内外来種について

本文

国内外来種について

ページID:0486035 掲載日:2024年1月19日更新 印刷ページ表示

国内外来種とは

 「外来種」というと、アライグマやオオクチバスなど、海外から入って来た生物をイメージしがちです。しかし、外来種とは「本来の生息生育地以外の場所に、人間の活動に伴って持ち込まれた生物」を指しますので、国内由来の外来種(国内外来種)というものも存在します。例えば、カブトムシ(Trypoxylus dichotomus)の自然分布域は本州以南ですが、人為的に持ち込まれたことで、現在は北海道にも生息しています。この場合、本州にいるカブトムシは在来種、北海道にいるカブトムシは外来種(国内外来種)ということになります。

イメージ図

種の多様性への悪影響

 国内の他の地域から持ち込まれたものであっても、「もともとその地域にいなかったもの」という点では海外由来の外来種と変わりませんので、持ち込まれることで在来種と競合したり、在来種と交配を試みることで繁殖の機会を奪うなど、生態系へ悪影響を及ぼすことがあります。
 全国共通のルールである法律(外来生物法)では、その規制対象となる特定外来生物は海外由来の外来種の中から指定することとされていますが、愛知県条例(自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例)に基づく移入種の公表においては、県内にもともと分布していなかった種であれば、国内の他地域に自然分布している種であっても対象としています。

遺伝子の多様性への悪影響

 同じ「種」であっても、別の地域の個体が持ち込まれることで、悪影響が生じることもあります。
 生物の種分化は、ある日突然起きるわけではありません。ある地域に生息・生育している同種の生物のまとまりを「個体群」と呼びますが、同じ個体群の一部が大きな山を越えて移動したり、離島に移住するなどして、地理的に隔離されると、個体群が分かれ、元の個体群との間で個体の行き来がなくなります。生物は生息生育地の環境等に合わせて形態や生態を変化させるので、隔離された個体群の間には違いが生まれます。そして、それらの違いが一定以上大きくなると「別の種」となるのです。そのため、現在は同じ「種」と呼べる範囲内の違いであっても、種内に異なる遺伝子をもった複数の集団が存在することはよくあります。特に、移動能力の小さい両生・爬虫類や淡水魚類、小型の昆虫類などではその傾向が強く、地域ごとに異なる遺伝子を持つ集団が存在する例が知られています。
 しかしながら、人間が野生生物自身の移動能力を超えて生物を別の地域から持ち込むと、もともとその地域にいる在来個体と移入個体が交配し、その地域特有の遺伝子をもつ純粋な系統が失われてしまいます。また、それ以前に、移入個体はその地域に適応した形態や生態をもっておらず、場合によっては生存率が低くなるため、他地域からの導入は移入個体自身にとっても良い結果にならないことがあります。

国内外来種の問題を防ぐために

 地域の自然再生の一環として魚やホタルの放流が行われたり、姿が美しい植物が他の地域から移植されることがありますが、上述の問題が起きるのを防ぐため、生物自身の移動能力を超えた移動や安易な放流は行わないようにしましょう。
 特に、魚類の放流については、2005年に日本魚類学会自然保護委員会がガイドラインを作成しています。お住まいの地域や所属する団体などで魚類の放流を計画される際には、本ガイドラインを一読し、放流の是非や放流場所・放流個体の選定、放流の手順や放流後の活動等が適切なものであるか、よく検討した上で実施するようにしてください。