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愛知県自然環境保全地域 小牧大山(こまきおおやま)

小牧大山の自然
小牧大山自然環境保全地域は、全体で46haが指定され、外周部の普通地区約37haはアカマツ林ですが、山麓の江岸寺、中腹の兒(ちご)神社、大山廃寺塔跡を連ねる谷間は照葉樹林(常緑広葉樹林ともいう。)の残る特別地区(約9ha)となっています。
照葉樹林とは日本を含む東アジアで、カシ・シイ類、ツバキ、サカキのような常緑で光沢のある小型の葉を持った樹木から成る森林の総称です。その分布範囲は気温環境で年平均気温13度より暖かいところ、東海地方ならば標高で約600m以下の地域と考えられます。したがって、日本の関東地方以西の平野、丘陵地には昔から照葉樹林が広がっていたのですが、現代では人間の活動による都市化、農地化、人工林化が進み、今、照葉樹林は神社や寺院の森として破片的に残されるのみの状態となっています。小牧大山自然環境保全地域の森林は、愛知県内に残された数少ない照葉樹林の一つなのです。
照葉樹林とは日本を含む東アジアで、カシ・シイ類、ツバキ、サカキのような常緑で光沢のある小型の葉を持った樹木から成る森林の総称です。その分布範囲は気温環境で年平均気温13度より暖かいところ、東海地方ならば標高で約600m以下の地域と考えられます。したがって、日本の関東地方以西の平野、丘陵地には昔から照葉樹林が広がっていたのですが、現代では人間の活動による都市化、農地化、人工林化が進み、今、照葉樹林は神社や寺院の森として破片的に残されるのみの状態となっています。小牧大山自然環境保全地域の森林は、愛知県内に残された数少ない照葉樹林の一つなのです。


(左から)照葉樹林(ツブラジイ林)、ツブラジイの樹冠


(左から)ツブラジイの大木、大山廃寺塔跡
小牧大山の植生
小牧大山の照葉樹林は、東海地方の標高300m以下の地域に分布するカナメモチ-コジイ群集として知られています。ツブラジイ(コジイ)は変種にあたるスダジイとよく似ていますが、ツブラジイの果実、つまりドングリは小さくて丸く、成木の樹皮にスダジイのような割れ目が少なく、ほぼ平滑であること等が特徴です。また、スダジイ林は海岸寄りに、ツブラジイ林は内陸側に分布する傾向があります。カナメモチ-コジイ群集の高木層にはツブラジイのほかアラカシ、タブノキが混生し、亜高木~低木層にサカキ、ヒサカキ、ヤブツバキ、アラカシ、ソヨゴ、シャシャンボ、カクレミノ、タカノツメ等が生えています。
冬でも葉をつけている常緑樹木が多いので、林内には光が少なく下草類はベニシダ、イノデ、リョウメンシダ、イタビカズラ、マンリョウ、ヤブコウジ等が点在する程度です。個体数が少なく注目すべき植物はアリドオシ、イズセンリョウ、ヘラシダ、ヒトツバ等です。また、照葉樹を食草とするムラサキシジミやアオスジアゲハが見られます。
兒(ちご)神社付近の照葉樹林を囲む山地はほとんどがアカマツ二次林になっています。マツ林にはツツジ類がよく生育しています。早春のマツ林を飾るのはコバノミツバツツジです。晩春から初夏にかけては、モチツツジやヤマツツジが花を咲かせています。
冬でも葉をつけている常緑樹木が多いので、林内には光が少なく下草類はベニシダ、イノデ、リョウメンシダ、イタビカズラ、マンリョウ、ヤブコウジ等が点在する程度です。個体数が少なく注目すべき植物はアリドオシ、イズセンリョウ、ヘラシダ、ヒトツバ等です。また、照葉樹を食草とするムラサキシジミやアオスジアゲハが見られます。
兒(ちご)神社付近の照葉樹林を囲む山地はほとんどがアカマツ二次林になっています。マツ林にはツツジ類がよく生育しています。早春のマツ林を飾るのはコバノミツバツツジです。晩春から初夏にかけては、モチツツジやヤマツツジが花を咲かせています。

アリドオシ(アカネ科)
高さ30~60cmの常緑低木で、葉は対生、葉腋に1~2cmの刺針があり、アリドオシとはその針で蟻を貫く意
カシ、シイ林域の林床植物で関東地方以西の本州、四国、九州に分布

イズセンリョウ(サクラソウ科)
高さ1mほどの常緑低木で、シイ林内の谷間等にかたまって生え、秋に白い実ができることが特徴
関東地方より西の本州、四国、九州に分布

ヘラシダ(メシダ科)
常緑、単葉、全緑の小型のシダ植物でシイ林域の谷間の湿った岩上、地上に生えます。
本州、四国、九州に分布

コバノミツバツツジ
落葉性で葉の開く前に赤紫色の花を咲かせます。

モチツツジ
半落葉性の低木で、晩春から初夏にかけ桃色の花を咲かせます。
静岡県以西の太平洋側低山地に分布

ヤマツツジ
4~6月に朱赤色の花を咲かせます。
北海道から九州までの全国のマツ林に分布

ヒトツバ(ウラボシ科)
常緑、単葉の暖地性のシダ植物で、ヘラシダより葉の幅が広く、乾燥した岩上や樹幹に生えます。
小牧大山付近の地質
「小牧大山」は,尾張丘陵北部の標高100~300mのなだらかな山容の中に位置しています。
産総研のシームレス地質図を見ると,保全地域に指定されている北半分に砂岩,南半分にチャートが分布するとされています。実際に調べてみると,保全地域の大部分が砂岩や泥岩で構成されていて,チャートはほとんど分布しないことがわかります。微化石による研究成果をもとに,砂岩もチャートもおよそ1億5,000万年前の中生代ジュラ紀のものとされています。
同じ時代の砂岩やチャートは,愛知県犬山市や岐阜県坂祝町,岐阜市周辺にも分布しています。こうした地層は「美濃帯」と呼ばれ,他の同じような地質体とともに日本列島の骨組みをつくっています。地質時代のプレートの沈み込みに伴って,プレート上に降り積もった堆積物や陸域から供給された堆積物がその当時の大陸の縁に押しつけられたのち付加されてできたもので,付加体と呼ばれます。
チャートは,主に遠洋に生活した放散虫の遺骸が集積したもの,砂岩や泥岩は大陸側から運搬された砕屑物で構成されていて,それらが断層や褶曲など複雑な地質構造をつくっています。
大山の集落から大山廃寺跡をめざして階段を登ると,小牧大山一帯に分布する大小の砂岩の岩塊を観察することができます。これらの砂岩は,いずれも中生代ジュラ紀の海に運搬された砂粒が固結したものです。1951年犬山市栗栖の木曽川河岸付近よりアンモナイトの化石が発見されているので,小牧大山の砂岩からも同様の化石が見つかっても不思議ではありません。
産総研のシームレス地質図を見ると,保全地域に指定されている北半分に砂岩,南半分にチャートが分布するとされています。実際に調べてみると,保全地域の大部分が砂岩や泥岩で構成されていて,チャートはほとんど分布しないことがわかります。微化石による研究成果をもとに,砂岩もチャートもおよそ1億5,000万年前の中生代ジュラ紀のものとされています。
同じ時代の砂岩やチャートは,愛知県犬山市や岐阜県坂祝町,岐阜市周辺にも分布しています。こうした地層は「美濃帯」と呼ばれ,他の同じような地質体とともに日本列島の骨組みをつくっています。地質時代のプレートの沈み込みに伴って,プレート上に降り積もった堆積物や陸域から供給された堆積物がその当時の大陸の縁に押しつけられたのち付加されてできたもので,付加体と呼ばれます。
チャートは,主に遠洋に生活した放散虫の遺骸が集積したもの,砂岩や泥岩は大陸側から運搬された砕屑物で構成されていて,それらが断層や褶曲など複雑な地質構造をつくっています。
大山の集落から大山廃寺跡をめざして階段を登ると,小牧大山一帯に分布する大小の砂岩の岩塊を観察することができます。これらの砂岩は,いずれも中生代ジュラ紀の海に運搬された砂粒が固結したものです。1951年犬山市栗栖の木曽川河岸付近よりアンモナイトの化石が発見されているので,小牧大山の砂岩からも同様の化石が見つかっても不思議ではありません。
岐阜県坂祝町に露出している美濃帯のチャート

(左から)小牧大山の砂岩、小牧大山の砂岩及び泥岩
所在地(小牧市大字大山)

愛知県小牧大山自然環境保全地域の保全計画(抜粋)
昭和51年10月15日指定
指定理由
当該地域には、典型的な暖帯性植生であるシイ・カシ類の常緑広葉樹林(照葉樹林)が安定した林分として成立している。
しかしながら、当該地域の周辺の丘陵地帯は、宅地の造成、土石の採取等人為による開発の波に洗われており、当該地域にもその影響が及びつつある。
したがって、この常緑広葉の天然林を保護するため、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例第20条第1項第1号のすぐれた天然林が相当部分を占める森林の区域として愛知県自然環境保全地域に指定するものである。
しかしながら、当該地域の周辺の丘陵地帯は、宅地の造成、土石の採取等人為による開発の波に洗われており、当該地域にもその影響が及びつつある。
したがって、この常緑広葉の天然林を保護するため、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例第20条第1項第1号のすぐれた天然林が相当部分を占める森林の区域として愛知県自然環境保全地域に指定するものである。
保全計画
1 保全すべき自然環境の特質
暖帯性植生に属する表日本の典型的な天然林であるシイ・カシ類の常緑広葉樹林(照葉樹林)が安定した林分として成立している。
高木には、ツブラジイ、アラカシ、タブ等を優占し、亜高木にヤブツバキ、サカキ等、林下にはイズセンリョウ、イタビカズラ、マンリョウ等を伴っている。
暖帯性植生に属する表日本の典型的な天然林であるシイ・カシ類の常緑広葉樹林(照葉樹林)が安定した林分として成立している。
高木には、ツブラジイ、アラカシ、タブ等を優占し、亜高木にヤブツバキ、サカキ等、林下にはイズセンリョウ、イタビカズラ、マンリョウ等を伴っている。
2 面積
|
特別地区 |
普通地区 | 合計 |
|---|---|---|
|
9.32 ha |
36.74 ha | 46.06 ha |

