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愛知県自然環境保全地域 伊熊神社社叢(いくまじんじゃしゃそう)

ページID:0598057 掲載日:2026年1月21日更新 印刷ページ表示

全景

伊熊神社社叢の自然

 伊熊神社社叢は、豊田市伊熊町に位置し、標高約563mの小高い山の頂にあります。
 三河地方の山地はスギ、ヒノキの植林がすすみ、ほとんどが人工林でしめられていますが、伊熊神社社叢は、このような林と違った林相をしています。それは、この神社の来歴から考えてみると理解することができます。
 伊熊神社は、当時の社殿は消失してしまいましたが、白凰年間創建の龍雲山二井寺に遡るといわれます。
 信仰の対象である社寺林は、昔から聖域として人手を加えることがなかったので、自然の状態をよく保ち、現在に受け継がれてきているのです。伊熊神社の社叢もその一つで、この地方の自然植生を知る手がかりを与える森として、学術的にも大変貴重なものとなっています。

伊熊神社社叢の植物

 伊熊神社の社殿周辺にある斜面の林は、うっそうと茂り、自然林の様相がみられます。林のつくりは、葉を広げる層がいくつかみられる、層状の構造をしています。一番高いところで葉を広げているのが高木層、その下が亜高木層、さらに下、2~3mのところに葉を広げているのが低木層、地表面を覆っているのを草本層といっています。
 社殿の周辺の自然林の構造は、高木層にシラカシ、アラカシなどカシ類の常緑広葉樹の大木に混じって、モミの巨木もみられ、針広混交林となっています。この社叢には数本のモミの巨木がみられ、根まわりはいずれも約5m、高さ30m程の素晴らしいものです。その他、この林には、イヌシデ、コアサダ、トチノキ、ホウノキ、ヤマモミジ、ウワミズザクラなど落葉広葉樹の大木も混生しています。
 亜高木層には、ユズリハ、カゴノキ、ヤブツバキ、ヤブニッケイなど暖帯性の常緑樹で占められておりますが、林縁には葉の上に花をつけるハナイカダもみられます。
 日の差し込む林縁の高木や亜高木につる性の植物が絡みついています。ビナンカズラ、テイカカズラ、オオツヅラフジなど暖帯性のつる植物と、県下では珍しいキジョランも見かけます。林床の草本層には、ヤブミョウガ、ウバユリ、ヤマホトトギス、ウワバミソウ、オニルリソウ、シラヤマギク、キッコウハグマ、ツルリンドウ、アキノタムラソウ、オトコエシなど、それぞれ道沿いの明るい林床、やや暗い林床と種ごとに生育環境の違いをみせています。分布上珍しいマネキグサも山麓の山道入口付近に群生しています。その他、県下で少ないフタバアオイや温帯性のユキザサが一部でみられ、温暖両系の植物で、この社叢の植物相を豊富にしています。

モミキジョラン

(左から)モミの巨木、木に絡みつく暖帯性の植物キジョラン

モミジガサマネキグサ

(左から)やや暗い林床に生育するモミジガサ、県下で珍しいマネキグサ

ハナイカダヤブミョウガ

(左から)花の上に果実をつけたハナイカダ、林床にみられるヤブミョウガ

ヤマホトトギス

道ぞいにみられるヤマホトトギス

伊熊神社社叢の陸貝

 昭和50年頃には、ゴマガイ、ヒダリマキゴマガイ、ミカワギセル、ツムガタモドキギセル等の十数種の陸貝が生息していました。特にツムガタモドキギセルは西三河で初めて生息が確認されたことで重要でした。その後、他のところでも見つかりましたが、分布の西限として依然として大切な価値があります。

ツムガタモドキギセル写真

ツムガタモドキギセル

伊熊神社社叢の昆虫

 近年の一般的傾向としてどこも昆虫相は減少しつつありますが、この社叢は未だ豊富な昆虫相を示しています。特にキアゲハ、カラスアゲハ、コミスジ、キタキチョウ、スジグロシロチョウ、クロヒカゲ等のチョウ類が多数見られます。秋に優美な飛び方をするアサギマダラも多数発生して目を楽しませてくれます。このチョウは渡りをすることでも有名です。

アサギマダラの写真

アサギマダラ

所在地(豊田市伊熊町笠松)

伊熊神社所在地

愛知県伊熊神社社叢自然環境保全地域の保全計画(抜粋)

昭和52年4月22日指定

指定理由

 当該地域には、県内稀産の野生植物や植物地理学上価値の高い野生植物が密度高く生育するとともに、西限の種である陸貝も生息している。
 また、三河奥地の代表的な植生であるモミ-カシ類を主とした暖帯、温帯の両植生を併せもつ針広混交の天然林が極相状態で成立している。
 しかしながら、当該地域も開発の進展に伴い、次第に人為の影響を受けつつある。
 したがって、当該地域のすぐれた自然環境を保全するため、自然環境の保全及び緑化の推進に関する条例第20条第1項第4号の植物の自生地及び野生動物の生息地として愛知県自然環境保全地域に指定するものである。

保全計画

1 保全すべき自然環境の特質
(1)植生
  カシ類を主体とした暖帯性植生に、針葉樹のモミ、落葉広葉樹のコアサダ、ウワミズザクラ等の温帯性植生を混じた針広混交林が極限状態で成立している。その構成種に県内稀産の種や植物地理学上価値の高い種が密度高く自生する。
  樹木では、コアサダ及びウワミズザクラが県内稀産の種である。特にコアサダの数株は、胸高囲2.5メートルほどの巨木となっており、このような巨木は県下に例を見ない。
  草本では、稀産種のものとして、フタバアオイ、トウゴクサバノオ、ユリワサビ、マネキグサ、ケヤマウツボ、モミジガサ、ナベワリ、ユキザサ、サカネラン及びキジョランが自生する。
(2)野生動物
  陸貝のツムガタモドキギセル及びミカワギセルが生息する。
  陸貝のツムガタモドキギセルは、分布の西限にあたり、本県における貴重な生息地である。
2 面積
地区別面積

特別地区

(うち 野生動植物保護地区)

普通地区 合計

2.63 ha

(1.49 ha)

2.12 ha 4.75 ha

伊熊神社社叢自然環境保全地域区域図