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地元農産物の活用や酒米の自社栽培で地域に貢献!(関谷醸造株式会社)

ページID:0578363 掲載日:2025年4月14日更新 印刷ページ表示

 関谷醸造(株)は1864年創業、創業160年を超える老舗酒造会社。日本酒やリキュールなどの酒類製造や販売の他、農業や飲食業にも取り組んでいます。2006年から本格的に農業に参入し、酒米を自社栽培しています。今回は関谷健代表取締役に話を伺いました。

関谷醸造株式会社 関谷健代表取締役社長(写真右)
     関谷醸造株式会社 関谷健代表取締役(写真右)

商品にはどのような県産農林水産物を活用していますか

 地域の造り酒屋として、地元にメリットをもたらさなければならないという考え方を代々引き継ぎ、できる限り地元産の農産物を使い、酒造りをしています。約15年前に「愛知のふるさと食品コンテスト」で優秀賞を受賞した「青じそ薫る梅酒」には、豊橋市産の青じそを使っています。開発にあたり、何度も関係者と意見交換しました。他にも、新城市四谷地区の梅や豊根村のブルーベリーも使用しています。酒米も全体の約6割は地元産(設楽町や新城市)の米を使用しています。従業員の知人から地元の農産物を紹介していただいたり、自治体から活用の依頼をいただいたりすることで、様々な商品に活用しています。

酒造りの様子
          酒造りの様子(関谷醸造株式会社提供)

北設楽郡設楽町にある「関谷醸造株式会社本社蔵」
      北設楽郡設楽町にある「関谷醸造株式会社本社蔵」

店内で飾っていただいている「いいともあいち運動」のぼり
  店内では「いいともあいち運動」のぼりを飾っていただいています

農業参入のきっかけや取組について教えてください

 地元の農家の高齢化による担い手不足に直面し、酒米の確保のためにも農地の受け皿にならざるを得なかったことがきっかけの一つです。栽培を辞められる農家さんの田んぼを引き継ぎ、酒米の栽培を開始しました。現在は、アグリ事業部に農業専門の社員を配置し、酒造りに使用する米の約2割を設楽町内の圃場41ha(令和6年3月14日現在)で自社栽培しています。

 自社栽培の強みとしては、自ら栽培管理することでその年のお米の出来を肌感覚として把握できる上に、収穫後に分析をすることで、酒造りを調整できることにあると思います。夏場には蔵人※も農業を手伝っています。

 なお、最近はスマート農業にも力を入れ、作業の効率化に取り組んでいます。

※蔵人(くらびと):杜氏(とうじ)と呼ばれる日本酒造りの最高責任者のもと、日本酒造りに従事する職人​

農作業の様子
          農作業の様子(関谷醸造株式会社提供)

新たに始められた飲食業について教えてください

 名古屋市西区で「SAKE BAR圓谷」を、名古屋市中区で「糀MARUTANI」を営業しています。料理に使用するメインの食材は、東三河や西三河で作られた農産物(鳳来牛、三河ポーク、段戸牛、田原鶏、絹姫サーモン、その他野菜など)を使い、地産地消に取り組んでいます。三河地区の美味しい食材を使い、酒に合うメニューを中心に提供しています。若者から仕事帰りの方、外国人など、幅広い客層の方々にご来店いただいています。​

仕事をする上で大切にしていることは何ですか

 消費者とどう繋がるか、いかにたくさんの接点を作るかということを大切にしています。日本酒の国内出荷量は昭和40年代のピーク以降、減少傾向にあり、メーカーだけでなく酒販店や問屋も減っています。自社で製造から販売までを行う強みは、自分で商品をPRして売れることにあると思います。スーパーやコンビニでは消費者に対して商品の詳しい説明はなかなかできませんし、希少性の高い商品を中心に取り扱う専門店では訪問する客層が限られます。自社で販売することで、自分たちの言葉で説明し、販売できる上、お客さんの反応を見ることができ、双方向のやり取りができます。

 また、購入や飲食、酒づくり体験などを通じて、お客さんとの接点を増やし、愛着を持ってもらいたいです。特に、2021年に始めた「ほうらいせん酒らぼ」での酒づくり体験は、若者やお酒が好きな年配の方などをターゲットに、日本酒に対するハードルを下げ、身近に感じてもらいたいという思いで実施しています。​

北設楽郡設楽町にある「ほうらいせん酒らぼ」
       北設楽郡設楽町にある「ほうらいせん酒らぼ」

「ほうらいせん酒らぼ」施設内の教室
廃校となった学校の道具を使い、理科室を再現した部屋で甘酒教室を開催

今後挑戦したいことを教えてください

 ヨーロッパ発祥のオーベルジュのように、お酒を買うだけでなく、その原料であるお米が生産されている田んぼを見ながら、お酒が飲めたり、酒造り体験や宿泊ができるような場所を作りたいです。

 また、他の発酵食品にも目を向け、日本酒に合うチーズやパン、調味料なども手がけたいと考えています。ゆくゆくは、チーズやパンなどを買うために来店した方が、それに合う日本酒を一緒に買いたいと思ってもらえるような場にできれば良いと思っています。

豊田市黒田町にある「ほうらいせん吟醸工房」
        豊田市黒田町にある「ほうらいせん吟醸工房」

「ほうらいせん吟醸工房」の店内
       店内では様々なお酒の量り売りがされています

いいともあいち運動に期待することはありますか

 愛知県内に、地元の食材を使用した、地域性のある飲食店が増え、愛知県に行けば美味しいものが食べられる、というイメージになってほしいです。例えば、愛知県に旅行に来た観光客に、愛知らしさのある料理を味わってもらえるような、そんな飲食店が増えてほしいです。愛知県では多種多様な農林水産物が生産されており、テーブル全てを愛知県産で用意することもできることが大きな強みだと思います。そういった農林水産物をさらにブランド化し、愛知県ならではの付加価値となることを期待します。

関谷醸造株式会社 関谷健代表取締役社長
        関谷醸造株式会社 関谷健代表取締役