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高水温に強いノリ新品種「あゆち黒誉(くろほま)れ」を開発しました

ページID:0066508 掲載日:2013年11月28日更新 印刷ページ表示
平成25年11月28日(木曜日)発表

高水温に強いノリ新品種「あゆち黒誉(くろほま)れ」を開発しました

あゆち黒誉れの写真

「あゆち黒誉れ」の葉体写真

愛知県水産試験場では、秋季の海水温降下の遅れにより発生するノリ葉体の高水温障害に対処するため、高水温に強いノリ新品種「あゆち黒誉れ」を愛知県漁業協同組合連合会(以下「愛知県漁連」という。)と共同で開発し、11月27日付けで種苗法に基づく品種登録出願を行いました。本品種は、秋芽網生産期における高水温障害に強いことが特徴で、色調が濃く、品質の良い乾ノリ製品の生産が可能なことから、地球温暖化に対応した品種として期待されます。

新品種の名称「あゆち黒誉れ」は、かつて愛知県のノリが「あゆちのり」と呼ばれていたこと、色調が濃い(黒い)ことに由来しています。また、愛知県の海苔の「誉れ」となるように命名されました。

1 新品種の特徴

(1)高水温によるノリ葉体の障害発生が少ないため、高水温時でも乾ノリ製品の品質低下を軽減できます(参考参照)。

(2)ノリ葉体の色調が濃いので、良質な乾ノリ製品を作ることができます。

(3)高水温での成長が良いので、漁期初期に多くの収量が得られます。

(4)単胞子*の放出がほとんどないので、収穫回数が増えると、収量が減少します。しかし、先に開発したノリ品種「あゆち黒吉」と混合して養殖することにより、この欠点は解消されます。(4 関連説明(3)を参照)

* 単胞子とは、ノリの葉体から遊離した細胞のことです。単胞子はノリ網に付着して新たな葉体として生長します。

2 開発の経緯

近年、秋季の海水温降下が遅れており、11月上旬から中旬にかけてノリ葉体の高水温障害(葉体の変形や脱落)が問題となっており、生産者からは高水温被害が軽減できる新品種の開発が強く要望されてきました。

そこで、愛知県水産試験場漁業生産研究所は愛知県漁連と共同で、平成14年度から高水温被害を軽減できる新品種の開発に取り組み、平成20年度に「あゆち黒吉」(平成24年4月4日品種登録)を、そして今年度に「あゆち黒誉れ」を開発しました。

3 今後の予定

今年度のノリ漁期(11月~3月)に、伊勢湾、三河湾のノリ養殖漁場で「あゆち黒誉れ」と「あゆち黒吉」の混合養殖試験を行い、各漁場への適性や各漁場に適した養殖方法を検討します。また、養殖試験で生産された乾ノリ製品については、市場での評価を確認し、平成26年度から県内の生産者への普及を図っていきます。

4 関連事項

(1)平成24年度の愛知県のノリ生産枚数は3億8,790万枚で、全国第6位(愛知県シェア4.7%)です。県内の主な生産地は、南知多町、常滑市、美浜町、西尾市等です。

(2)ノリ養殖では、10月中旬から下旬に海水温が23℃以下に下がってから養殖網を海に張り込みますが、張り込んでから17日以内に20℃より下がることが必要で、水温降下が遅れるとノリ葉体に高水温障害が生じます。

(3)「あゆち黒吉」は高水温でも単胞子の放出が多いことと、色調が濃いことが特徴ですが、初期の成長が遅く、漁期初期の収量が少なくなる欠点があります。

このため、「あゆち黒誉れ」と「あゆち黒吉」を混合養殖することにより、両品種の欠点を相互に補完し、収量の増大が図られるとともに、漁期を通して高品質な乾ノリ製品の生産が可能となります。

5 問い合わせ先

愛知県水産試験場漁業生産研究所 栽培漁業グループ 山本・服部

所在地 知多郡南知多町大字豊浜字豊浦2-1

電話 0569-65-0611・0612

(参考)高水温(24℃)で2週間培養した「あゆち黒誉れ」と標準品種の比較

標準品種の顕微鏡写真

標準品種

あゆち黒誉れの顕微鏡写真

あゆち黒誉れ

正常なノリ葉体は1層の細胞から形成されていますが、標準品種では、葉体縁辺部に高水温の影響により、細胞が部分的に2層や3層(多層化)になっている(写真上)。一方、「あゆち黒誉れ」では、多層化は見られない(写真下)。

なお、標準品種とは、現在、養殖に使われているノリ品種の標準的な特徴を持つとされている品種のこと。

問合せ

愛知県 農林水産部 水産課
企画・資源グループ
担当:岡田、矢澤
電話:052-954-6458
内線:3783、3784
E-mail: suisan@pref.aichi.lg.jp