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多文化ソーシャルワーカーとしての軌跡・その3

ページID:0232912 掲載日:2019年4月1日更新 印刷ページ表示

多文化ソーシャルワーカーとしての軌跡・その3

犬山市多文化共生推進員として ~多文化ソーシャルワーカーの今~

~犬山市の多文化共生施策の概要について教えてください~

犬山市の外国人登録者数を国籍別にみると、最も多いのはフィリピン人です。続いてペルー人、中国人、ブラジル人となっています。犬山市では、市の職員が国際交流協会の業務を兼務しています。両者で業務分担をしたり連携をとっています。私は犬山市外国人相談窓口相談員(多文化ソーシャルワーカー)として相談業務、通訳、翻訳などに携わっています。市と協会と多文化ソーシャルワーカーが協力し合って多文化共生施策に取り組み、地域のニーズに応じた施策を展開しているのが犬山市の特徴の一つです。

~具体的にはどのような業務をされていますか?~

フロイデ(犬山国際観光センター;大島さんの勤務地)では電話相談が中心ですが、外国人住民から相談があった際には、通訳がいる関係機関を紹介したりしています。就労、教育、医療、経済問題など様々な生活相談があります。日本の制度を誤解している外国人も多いので、正しく説明したりもします。

毎週金曜日の午後には市役所の相談室で、ポルトガル語とスペイン語の外国人相談にあたっています。市の業務全般、相談窓口の紹介などをしています。

市役所の相談室は予約制ではなく先着順なので、毎週多くの方が面接の順番を待っています。ブラジルなどの本国にはないサービスであるため、外国人相談者にとってまだイメージしにくいようです。「外国人相談」を「通訳」だと解釈し、「住所変更の手続き補助をしてほしいだけなのに、なぜこんなに待つの?」と疑問に思う人がいます。プライバシーに配慮して相談面接を行うのでどうしても時間はかかりますが、身近な生活相談を母国語でできるということで、安心される方もいます。

生活相談と簡単な書類の申請補助通訳を分けていくのが理想ですが、通訳の人数を増やせば解決するという問題ではないように思います。申請書類は何のために必要なのか外国人自身が理解していないと、更新時にまた同じ相談をすることになります。そういった悪循環を解消するような取り組みが今後は必要だと思います。

~犬山市の外国人相談の特徴などはありますか?~

犬山市の場合は、失業などの生活困窮についての相談は少ないようです。語学力が障害となり生活に支障が出ているような場合や、本国人だけでなく、日本人を対象にした店を展開したいといった自立のための相談が多いように思います。また、不況で本国の両親に仕送りができなくなり、高齢の両親を日本に呼び寄せ、高齢者の施設へ入所させるべきかどうかといった相談も増えています。日本に定住することを決意した外国人にとって、こういった問題は今後も増加するかもしれません。

教育相談では、以前は奨学金などの相談が多かったのですが、最近では学校のランキングや、資格が取得できる職種につくために大学を選びたいといった相談があります。そういった進路相談には直接回答はできませんが、大学を卒業すれば必ず就職できるという誤解をしている親や、学校の先生の言うことは絶対だとする国民性から先生の意見を重視しがちな親には、もっと柔軟に対応するよう助言することもあります。

~外国人相談で気をつけていることはありますか?~

どの市町村でも同じだと思いますが、外国人から相談を受けると慌ててしまう担当者がいます。債務相談なら弁護士の法律相談を紹介するなど、問題を解決するためには専門家に任せるしかないのは日本人相談者と同じです。日本で十数年も生活している外国人が抱える生活問題は、もはや日本人と同じなのです。適用される制度も同じです。「その場合、日本人ならどうするの?」と伝えるようにしています。

ただDVの問題については、外国人支援の中では最も進んでいる分野だと思います。犬山市でもチラシに翻訳をつけるなど外国人市民に対し様々な配慮をしていますが、日本人職員が窓口で案内することには限界があります。

全く日本語が話せない外国人とコミュニケーションをとる場合、指を二本立てて指示しても「2階」なのか「2時」なのかわからないということもあるからです。こういった基本的なコミュニケーションにおいて、誤解が生じやすいということを両者が知ることが大切かと思います。

あと、同じラテン系だといってもブラジル人とペルー人とでは国民性が違います。その違いを知りたくて、多くのペルー人に質問したり対話をしました。自分の国以外の文化や国民性について、日々学ぶ姿勢が必要だと思っています。(つづく)