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松本里美さん その2

ページID:0232920 掲載日:2019年4月1日更新 印刷ページ表示

その2 NPO法人シェイクハンズの誕生秘話

~NPO法人シェイクハンズの誕生秘話を聞かせてください~

  「まちかどの泉」の活動に国際協力の要素を合体させた団体「シェイクハンズ」を立ち上げたのが平成17年でした。当時、多文化共生を特別意識してはいなかったと思います。しかし、シェイクハンズの誕生は、今振り返ってみると、多文化共生の視点から生まれたものであったのかなと思います。フェアトレードも商品が売れなければ意味がありません。ワークショップの手伝いも当事者である外国人に担ってもらうようになりました。活動を通してふれあうことで人の輪が広がっていきました。様々な世代、障害者、登校拒否児など、外国人だけではなく様々な人々が活動に関心を寄せるようになりました。多文化は、外国人だけではなく、こうした様々な文化や個性を指す言葉ではないのかと感じるようになりました。その結果、人の輪づくりにつながったように思います。

~シェイクハンズがNPO法人化され、ますます活動の輪が広がっていったのですね~

 はい。平成21年4月に法人化されました。以前から活動していた外国籍の子ども(小学校1年生~6年生)を対象とした日本語学習支援、宿題等の学習支援「おかえりなさい塾」が平成22年度から市の委託事業となり、毎年安心して運営できるようになりました。「おかえりなさい塾」は毎日20名前後の子どもたちが利用しています。ボランティア会員は30名前後の登録があり、一日12~13人のボランティアが参加しています。子ども達に学習の力をつけさせるために、マンツーマンで支援することもあります。それで力をつけていく子もいます。日曜日に開催している小学校1年生~中学生親子を対象とした「みんなの日曜塾」も始めました。学校の取り出し教室に日本語指導の講師として協力するようにもなりました。

~他にユニークな活動はありますか~

 畑を3ヵ所借りました。リーマンショックで仕事を失った外国人も多かったので、そういった人たちを集めて大根やペルーのジャガイモなどを栽培しました。アルバイトなどを見つけると、それまで畑を手伝ってくれた人は畑には出られなくなるので、最近では畑を手伝ってくれる人が減っています。作物は、近所の人にはなかなかの人気です。

~NPO法人シェイクハンズとして譲れない信条などはありますか~

 信条と言いますか、NPOを支える仲間たちと、よく例え話として話すのは「バケツの蓋をあけて、底が汚れているのを見つけてしまったらもう蓋をしめられない。」様々な問題のそばで子ども達の顔が浮かぶ。そうすると、応援をせずにはいられない。いつか外国人の子どもたちが自分の個性を生かしてどんどん活躍できるようになって欲しいのです。子どもたちが将来翻訳業に就いたり、教育機関に採用されるようになる日も近いと思う。

 NPOの中で新しい課題やテーマが生まれると、組織の意識が上がります。県の緊急雇用創出事業により仕事を得た外国人も、社会の中で地道に働く中で、就労や将来に対するモチベーションが上がるようになります。緊急雇用創出事業が終了したとしても、本人のやる気を見てきた周囲の人々の期待や協力が、さらに本人のやる気を増強させていきます。日本語教室も、地域の既存の教室と機能分化できています。日本語能力検定試験を目指している人以外で、日常に必要な会話を身につけたい人は、シェイクハンズの教室に来る。NPOは大きな器。小さなことでも取りこぼさないように裾野を広げることも活動のひとつだと思っています。NPOは発言の自由があります。県がNPO活動を見守ってくれているのでのびのびと活動させてもらっています。