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外形標準課税Q&A(報酬給与額について)
報酬給与額Q&A
Q1 福利厚生費は、報酬給与額に含まれるのか。
報酬給与額には、原則として、所得税において給与所得又は退職所得とされるものが含まれ、所得税において非課税所得、事業所得、一時所得、雑所得とされるものは含まれません。
福利厚生費については、一般的には、所得税において給与所得又は退職所得とされないことから、報酬給与額には含まれませんが、名目上福利厚生費とされる場合で、所得税において給与所得又は退職所得として課税される場合には、報酬給与額に含まれます。
Q2 いわゆる法定福利費は報酬給与額に含まれるか。また、どのようなものが法定福利費になるのか。
いわゆる法定福利費は、社会政策の観点から、その拠出が法令で義務付けられているものであり、強制的な公的負担であるという点で、任意に拠出される給与や確定給付企業年金の掛金等とは性格が異なることから、報酬給与額には含まれません 。
Q3 海外に勤務する社員に支払う給与は報酬給与額に含むのか。
内国法人が外国において勤務する役員又は使用人に対して支払う給与は、当該使用人等が所得税法上の非居住者であっても報酬給与額となります。
なお、実費弁償性のある手当の額は報酬給与額には含めません(取扱通知4の2の4)が、具体的には、所得税法上の非課税手当に相当する額や非居住者が居住する国の法令により定めるところにより非課税となる額を報酬給与額に含めないことになります。
Q4 3月決算の法人であるが、X年3月分の超過勤務手当をX年4月に支払った場合、どの事業年度の報酬給与額に算入するのか。
報酬給与額は、法人税の所得(連結法人の場合は連結所得)の計算上損金の額に算入される事業年度の報酬給与額に算入します。また、当該給与や手当等が棚卸資産等に係るものである場合には、その支出される事業年度の報酬給与額に算入します。(法72の15(1)、法施行令20の2の2)
したがって、手当がX年3月期の損金の額に算入されるものであれば、X年3月期の報酬給与額に算入し、X年3月期に未払給与等を計上せずに翌期の損金に算入することを法人税において容認されている場合には、翌期の報酬給与額に算入します。
また、当該手当が、X年3月期に新たに資産計上されるのであれば、X年3月期の報酬給与額に算入します。(取扱通知4の1の2)
Q5 報酬給与額に該当する手当には、どのようなものがあるのか。
報酬給与額に含まれる手当には、次のようなものがあります。
下記以外の名称の手当であっても、労務の提供の対価として支払われる性質を有するものであれば、報酬給与額となります。(法72の15(1)I )
ただし、報酬給与額とは、原則として、所得税において給与所得又は退職所得とされるものをいいます(取扱通知4の2の3)ので、これらの手当のうち所得税が非課税とされる額に相当する金額については、報酬給与額に算入しないこととなります。
給与・賃金の性質を有するもの |
家族手当・皆勤手当・住宅手当・時間外勤務手当・残業手当・休日出勤手当・役付手当・職務手当・出来高手当など |
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賞与の性質を有するもの |
期末手当など |
Q6 請負代金であっても注文法人の報酬給与額となるのは、どのような場合か。
請負契約に係る代金は、労務の提供の対価にはあたらないことから、原則として業務を注文した法人の報酬給与額には含まれません。
ただし、自己の業務の一部を他の法人に行わせる形態であるにもかかわらず、当該業務の全部又は一部を注文法人自らが行っていると認められる契約又は雇用以外の方法により人材の提供を受け、当該人材を自己の業務に従事させるもので、地方税法第72条の15第2項に規定する労働者派遣法等に基づく契約以外の契約は、「名目上の請負契約」にあたりますので、請負代金の全部又は一部は報酬給与額に該当します。
なお、上記の実態があるときは、契約の名称の如何を問わず、「名目上の請負契約」となりますので、当該契約に基づく代金のうち労務提供の対価となる部分は報酬給与額に該当します。
Q7 将来退職金を支払うため退職給付引当金を繰り入れた時の取扱い、また、退職給付引当金を取り崩して退職金を支払う時の取扱いはどのようになるのか。
退職給付引当金繰入額(退職給付費用)については、法人税の所得(連結所得)の計算上損金の額に算入されませんので、報酬給与額には、該当しません。
退職給付引当金を取り崩し、実際に退職金を支払う時には、法人税の所得(連結所得)の計算上損金の額に算入されますので、その額が報酬給与額となります。
Q8 従業者が死亡し、その遺族に対し会社が支払う弔慰金は、報酬給与額に含めるのか。
遺族に対し会社が支払う弔慰金の金額は、社会通念上相当と認められる部分については、所得税の非課税所得に該当することから、報酬給与額には含めません。
ただし、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分や、社会通念上弔慰金として相当と認められる額を超える場合の当該超える部分の金額については、相続税において退職手当金等とされ、その性質から報酬給与額の対象となります。
また、相続税の対象となる退職手当金等の相当額については、相続税の計算の結果、免税点等により課税されない場合であっても、退職手当金等の性質を有するものとして、報酬給与額に含めます。
Q9 100%子会社に社員を出向させていたが、子会社から給与負担金を受け取っていなかったことから、寄附金の支出があったものとして法人税の更正処分があったのだが、この処分において益金算入された給与負担金の額は、当初申告した報酬給与額から控除できるか。
寄附金認定の過程で出向元法人の益金とされた給与負担金相当額は、出向元法人の報酬給与額から控除することはできません。寄附金の認定にあたっては、受け取るべき給与負担金を受け取っていない事実について寄附金の支出があったものとし、これが100%グループ間であればその全額が損金不算入とされます。
この際、給与負担金の額を一度益金の額に算入する取扱いをしますが、実際に受け取ったものではないことから、給与の実質的負担者は出向元法人であると認められます。
また、この法人税更正において、出向元法人が従業者に支払った給与については損金不算入とされるものではありません。
なお、受取利息や受取賃借料の免除に係る寄附金認定についても、本事例と同様に、純支払利子、純支払賃借料から控除することはできません。
Q10 退職一時金制度から確定拠出企業年金制度への移換に伴う掛金は、報酬給与額に含めるのか。
退職一時金制度から確定拠出年金制度への資産移転に伴う掛金の額については、過去部分の積立資産を数回に分けて、「未払金」又は「長期未払金」勘定等の取崩により支払われ、その年度の移換額が法人税申告書別表4で減算され損金となるということが想定されます。
当該移換金は、地方税法施行令第20条の2の4第1項第3号に規定する確定拠出年金法第54条第1項の規定により移換する同法施行令第22条第1項第4号に掲げる資産に該当することになりますので、報酬給与額に含める必要があります。
Q11 出向元法人において、出向者に支払う給与の額よりも、出向先法人が支払った給与負担金の額の方が多い場合には、報酬給与額はどのように計算するのか。
出向者に実際に給与として給付された額が出向先法人の報酬給与額となります。
【出向元法人の報酬給与額】 【出向先法人の報酬給与額】
80万-100万円=0円 80万円
Q12 出向先法人が出向者に係る財形基金への拠出金を負担している場合、その拠出金は出向先法人の報酬給与額となるのか。
出向があった場合の出向者の退職給与その他これに類するものについては、形式的支払者の報酬給与額となりますが、確定給付企業年金の掛金や財形基金の掛金については実質的負担者の報酬給与額となります。(取扱通知4の2の14(3))
したがって、出向元法人が勤労者財産形成基金契約を締結している場合において、出向元法人が掛金を拠出しているときは出向元法人の報酬給与額となり、一方、出向先法人があらかじめ定めた負担区分に基づき、出向者に係る掛金を出向元法人に支出したときは出向先法人の報酬給与額となります。
Q13 労働者派遣法又は船員職業安定法に基づかない人材派遣を受けている場合も、派遣契約料75%相当額を報酬給与額に含めるのか。
労働者派遣法又は船員職業安定法に基づかない派遣は、派遣契約料75%相当額を報酬給与額とする計算の適用にはなりません。労働者派遣又は船員派遣を受けた場合に派遣契約料75%相当額を報酬給与額に含めるのは、労働者派遣法第26条第1項に規定する労働者派遣契約又は船員職業安定法第66条1項に規定する船員派遣契約に基づく労働者派遣又は船員派遣のみが対象となります。(法72の15(2))
Q14 派遣元法人において、派遣労働者等に支払う給与の額から派遣契約料の75%相当額を控除することとされているが、控除後の額がマイナスになる場合でも報酬給与額の合計額から控除できるか。
派遣元法人の報酬給与額については、各事業年度において、派遣元法人が役員又は使用人に支払う給与の額及び派遣労働者等に支払う給与の額の合計額から、派遣労働者等に支払う給与の額を限度として、派遣先法人から支払いを受ける派遣契約料の75%相当額を控除して算出します。(取扱通知4の2の15)
したがって、派遣労働者等に支払う給与の額よりも、派遣契約料の75%相当額の方が多い場合には、派遣労働者等に支払う給与の額を超えて控除することはできません。
Q15 派遣労働者等が派遣元法人の業務にも従事している場合には、報酬給与額はどのように計算するのか。
派遣労働者等が派遣元法人の業務にも従事している場合には、派遣元法人においては、派遣労働者等に係る給与等の額から派遣元法人の業務を兼業している場合の兼業分の給与等の額を控除した額を限度として、派遣契約料に75%を乗じて得た金額を控除して算出することとなります。(取扱通知4の2の15(2))
Q16 建設業を営む法人ですが、JV(共同企業体)に自社の社員を出向させている。JVでは給与協定を定めているが、実際に支払った給与額と差がある場合には報酬給与額はどのように計算するのか。
JVに係る報酬給与額は、原則としてその分配割合に基づいて各組合員である法人に分配されたものを報酬給与額として取り扱うこととされています(取扱通知4の1の4)。
ただし、いわゆる給与協定が締結されている場合において、各組合員である法人が給与として当該職員に実際に支払った額と給与協定に基づき定められた額に差額が生じる場合には、各組合員の報酬給与額にその差額分を加減算することになります。(取扱通知4の2の16)
(例)JV組合員2社(出資比率 A社60%・B社40%) 給与協定額はA社(社員X)110、B社(社員Y)90、合計200とする。
※ なお、給与協定額に非課税手当や法定福利費等の金額が含まれている場合で、当該金額を区分できる時は、給与協定額から控除した額で給与として実際に支払った額との加減算を行って差し支えありません。 ただし、一の組合に係る給与協定につき全組合員が同一の算定方法を用いることを要します。
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