衛生研究所衛生化学部>現在のページ


米(玄米)に残留する農薬の
調理による減少について


2005/07/07

多くの方は、農作物の残留農薬に対する漠たる不安を少なからず感じているのではないでしょうか。当衛生研究所では、市販されている農作物を購入し、実際の検体に農薬がどの程度残っているのか、どの部位に残っているのかを調べ、水洗い、皮むき、ゆで等の操作でどの程度残留農薬を除去できるかについて研究し、その一部については既に学会や学術雑誌等で発表しています。そこで今回は、日本人の主食である米(玄米)に残留している農薬が、調理によりどの程度除去できるのかについての研究結果をご紹介いたします。

当衛生研究所で、平成4〜13年度の10年間に調査した市販の玄米約150検体からは、エトフェンプロックス、フェノブカルブ、イソキサチオン、フサライド、イプロベンホス等、主として殺虫、殺菌のために用いられたと考えられる18種類の農薬(延べ107農薬)が検出されました。しかしながら、食品衛生法の基準値を超えて農薬が残留していたものはなく、その濃度は0.001〜0.05ppm※ 程度で、法律で定められている基準に対する割合は、平均7%(中央値3%)と非常に低いものでした。

ppm(parts per million)とは、百万(million)に占める割合(parts)という意味で、1ppmとは百万分の1のことです。したがって、0.001ppmとは玄米1トン(1,000kg=1,000,000g(百万g))に0.001gの農薬が含まれていたことを意味します。

基準値以下であれば、そのまま食べたとしても安全性に全く問題はありませんが、精米、米とぎ、炊飯により農薬の摂取量を減らすことができます。平成11〜13年度に農薬を検出した玄米15検体(延べ29農薬)を用いて、精米、米とぎ、炊飯による残留農薬の除去率を調べたところ、下図のような結果が得られました。




※ 除去率は、様々な農薬の平均値であり、実際の除去率は農薬の種類により異なります。

精米による農薬の除去率は、多くの農薬(大体80%以上)がぬかの部分に残っていたことから全農薬の平均で83%と高いものでした。すなわち、精米するだけで玄米中に残留していた農薬の80%以上が除去されることが示されました。次に、米とぎでは、白米部分への浸透移行が認められたフェノブカルブ(殺虫剤)、フサライド(殺菌剤)などの一部が米粉と共に洗い流され、ご飯を炊く前の段階で玄米中に残留していた農薬の約91%が除去されてしまうことが分りました。さらに、炊飯では、フェノブカルブなどの揮散等によって、玄米中に残留していた農薬の約95%が除去されました。このように、フェノブカルブなど一部の浸透移行性のある農薬を除けば、精米等によって大部分の農薬が除去され、日常的にはほとんど残留していない部分を食べています。

生鮮野菜・果実についての研究結果は、衛研技術情報2004年6月号に掲載しています。(市販農作物に残留する農薬の調理による減少について, VOL28 (2), 2004)



衛生研究所衛生化学部>現在のページ