2018年の空き家数は全国で849万戸と20年間で273万戸も増加しており、空き家の中でも賃貸用や売却用ではないその他の住宅が167万戸も増加しています。愛知県の空き家率は全国平均よりも低いものの、今後も空き家の増加が予想されます。
住宅は適正に管理しないで放置しておくと、老朽化が進行し、不動産価値の低下につながるばかりではなく、以下のような問題を引き起こし、周辺にも迷惑をかけることになり、損害賠償ということが生じる可能性もあります。
建物の老朽化等により、建物が傾いたり、屋根瓦がずり落ちたり、外壁が剥がれて歩いている人に危害を与える可能性があります。特に台風等の際にはその危険性が高くなります。また、地震の際には、倒壊した家屋が道を塞ぎ、迅速な避難の妨げになる恐れもあります。
建築物の設備の破損等や、ごみ等の放置、不法投棄により、臭気が発生したり、ネズミやはえ、蚊等が発生したりする等衛生上有害な状態となる可能性があります。
外壁等への落書き、割れた窓ガラス、看板等の破損、立木等の繁茂、ごみの放置等により、まちの景観を著しく損なう可能性があります。
立木の腐朽等により、近隣の道路や家屋に枝葉が散らばったり、道路にはみ出したりして歩行者の通行を妨げてしまいます。また、住みついた動物により騒音や悪臭が発生する等の問題が生じます。施錠されていないことで、不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されていることにより、地域住民が不安に感じる可能性があります。
上記のような問題を生じている管理が不適正な空き家については、解体や適正管理を進める取組みが必要ですが、同時にこのような不適正管理空き家を生み出さないために、空き家を有効に活用していくことが重要です。
空き家が住宅として市場に流通することによって新たに人が居住し地域が活性化したり、空き家が人の集う場所として活用されることで、地域の交流が深まります。空き家を負の資産として捉えるのではなく、地域資産として捉え、有効に活用していくことが重要です。
建物が倒壊したり、物が落下するなどして近隣の建物や通行人などに被害を及ぼした場合、その建物の所有者は損害賠償などで管理責任を問われることがあります。
このような状況の中、地域住民の生命・身体・財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、平成26年11月27日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が公布され、平成27年5月26日に完全施行されました。
空き家の適正管理に努めるとともに、空き家をそのままにしておくのではなく、活用を促進することによって資産の有効活用を図り、そのことによって地域の活性化に結びつけていくことが求められています。
空き家問題の発生する状況をみてみると下記のように整理できます。住み替えや親の実家を相続した段階で「とりあえずそのまま」にしておくのではなく、将来を見据えて適切な対応をしていくことが重要です。