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第34回「すまいる愛知住宅賞」受賞作品が決定しました
第34回「すまいる愛知住宅賞」受賞作品が決定しました
愛知県を始め、名古屋市や民間団体等で構成する「愛知ゆとりある住まい推進協議会」では、”ゆとりと安らぎのある住まい”を実現した住宅を表彰する「すまいる愛知住宅賞」を開催しています。
この度、第34回の受賞作品が決定しましたので、お知らせします。
なお、10月24日(火曜日)に名古屋市中区役所ホールで表彰式及び入賞作品の紹介を行います。
また、表彰式に引き続き、第35回「ゆとりある住まい講演会」を開催します。どなたでも御参加いただけますので、事前にお申込みのうえ、是非、御来場ください。(講演会の詳細はこちら)
1.応募点数
26点
2.入賞作品等
賞の区分 | 作品名称(所在地) | 受賞者(設計者) |
---|---|---|
すまいる愛知住宅賞 |
Life In Wood (小牧市) |
株式会社bandesign(名古屋市東区) |
すまいる愛知住宅賞 |
赤松の平屋 (安城市) |
岩間建築設計事務所(安城市) 西口賢建築設計事務所(岡崎市) |
すまいる愛知住宅賞 |
廻庭の棲家 (岡崎市) |
TSCアーキテクツ(名古屋市中村区) 田中 義彰 |
すまいる愛知住宅賞 |
団地にアトリエと猫。 (春日井市) |
合同会社ジンバルワークス(春日井市) 井村 正和 |
すまいる愛知住宅賞 |
不惑の一棟 (豊川市) |
望月建築設計室(豊橋市) 望月 成高 |
すまいる愛知住宅賞 |
半月の家 (大府市) |
佐々木勝敏建築設計事務所(豊田市) 佐々木 勝敏 藤野 なみか |
佳作 | 鳴海の家 (名古屋市緑区) |
一級建築士事務所 neie(名古屋市名東区) 畠山 博敏 |
※すまいる愛知住宅賞の受賞者には、記念盾及び副賞が授与され、後援団体の長(愛知県知事、名古屋市長等)から賞状が授与されます。佳作の受賞者には、賞状及び副賞が授与されます。また、愛知県森林協会長賞の受賞者には、愛知県森林協会長から賞状が授与されます。
すまいる愛知住宅賞 愛知県知事賞
入賞作品 「Life In Wood」
3.総評
今年度は26作品と応募数こそ少なかったものの、従来通りの現地審査を実施でき、庭から建物、そして家具や照明器具まで、存在感のある材料で手作りされていて、あらためて愛知県がものづくり県であることを実感することができた。以下審査で訪れた順に所感を述べる。
「半月の家」は農地が住宅に、さらに工場に変わっていく地域の中で、離れ的に母屋の庭に挿入された住宅。玄関ポーチが掘り込まれた幅の狭い正面から、奥に行くにつれて、幅や床高の変化、屋根の分節、内部の分岐により、多方向に視線が抜ける。全体を束ねる手前ー奥の軸(第一原理)にズレ(第二原理)が重なり、暮らしと絡む余白が生まれる。
「赤松の平屋」は、トラスの片流れ屋根が浮いた外観が、水田の中の作業場のようで目を引く。南北の庭を繋ぎつつ2世帯を緩やかに分ける三和土の土間、床下を利用した暖房システム、照明やタオルかけなど設計者自作の銅細工、マウンドを組み込んだ雑木の庭など、設計者と施主による制作への関与が、いかに建築に血を通わせることか。
「廻庭の棲家」は、西洋のペチカと東洋のカンが融合したメーソンリーストーブの熱のふるまいと、土中環境改善による地中の水や空気やバクテリアのふるまいを集めて、健やかな環境を作ることに住宅設計が注力している。そうした目に見えない事物のふるまいを身をもって体感し、自分の言葉で話せる住み手に塀は不要だ。
「不惑の一棟」は文化財である母屋に付属していた作業場の、息子家族の住まいへの改築。日本建築の伝統である軒や瓦屋根や格天井などに、この場所と暮らしへの配慮を重ねた新解釈が冴えている。宮大工建築家だからこその技と知の競い合いが、伝統的建築の新しい可能性を拓く。
「Life In Wood」の1652mmの長さに揃えられたログの積層は、樹木の成長の結果である繊維方向に長く伸びやかに材を用いる日本の木造建築のセオリーからは外れるが、鉄骨フレームを主構造に、内部間仕切、外壁、ルーバーに、時には隙間を開けて積まれたログのハイブリッド構造は、囲われ感と抜け感のバランスが新鮮。ログがもたらす制約が正方形と正方形の入れ子の隙間に階段を巡らす平面計画を導いており、住宅にもオフィスにも倉庫にもなり得る汎用性がある。鉄骨とログのハイブリットは手間がかかりそうだが、1回きりにせずに続けて試みてほしい。
「団地にアトリエと猫。」50m2ほどの住戸ユニットを丁寧になぞって、妻の創作活動、丁寧な暮らし、猫のふるまいを描き込んでいる。シナ合板の木目をなぞるように独自の紋様を描き加えている妻の作品と似て、リノベーションは既存の建物のなぞり方なのだと教えてくれる、脱成長時代の団地改変。
受賞作となった上記6作品は、従来の住宅設計から一歩踏みだす道を模索していて勇気をもらった。惜しくも佳作となった「鳴海の家」も、正8角形が並列する強い幾何学性が、視線を斜め方向に逃す隅切り窓や立体八の字の回遊動線に活かされて見事。ただ庭との接続は難しく、インテリアに美しくまとまった印象を与えた。
本当に多くを学ぶことができた現地審査に協力していただいた建築家、建主、本賞事務局にこの場を借りて感謝したい。
4.表彰式及び入賞作品等の紹介
- 日時 2023年10月24日(火曜日) 午後1時から午後2時20分まで
- 場所 名古屋市中区役所ホール(名古屋市中区栄4丁目1番8号)
- 次第(予定) (1)主催者挨拶、(2)表彰式、(3)受賞作品紹介
※同日同会場にて午後2時30分から、第35回「ゆとりある住まい講演会」を開催します。 - 講師 伊香賀俊治 氏(慶応義塾大学 理工学部 教授)
- 演題 小児から高齢者までの健康と活躍を支える住まいと住まい方
このページに関する問合せ先
愛知県建築局公共建築部住宅計画課
企画グループ
担当:佐藤、石田
電話:052-954-6567
メール:jutakukeikaku@pref.aichi.lg.jp