今年は、獣医師法(昭和24年法律第186号)第22条の規定に基づき、2年毎に行われる獣医師の届出を行う年です。
この届出は、国内に在住する全ての獣医師に届出が義務付けられています。(以下の内容は省略しました。)
本格的な冬の季節を迎え、養豚農家の方は豚の肺炎に注意を払う季節になりました。
豚のマイコプラズマ肺炎はMycoplasma hyopneumoniaeを原因菌とする疾病で、発咳、飼料効率の低下による発育不良を起こします。またこの菌の感染によりパスツレラ病、豚胸膜肺炎の原因菌に感染しやすくなり、肺炎の誘引、悪化を起こします。
管内の77戸の養豚農家について抗体検査のよるマイコプラズマの浸潤状況を検査したところ、全戸が抗体陽性で、個体陽性率は94.3%でした。管内にも高度にマイコプラズマが浸潤しているものと思われます。
マクロライド系・テトラサイクリン系薬剤に感受性がありますが、薬剤投与によって本病を農場から根絶することはできません。また、ワクチンもありますが、感染を抑えるものではなく、本病による発育不良を軽減するものです。飼育密度、換気、温度、湿度などの飼育環境の改善やオールイン・オールアウト方式をとることにより本病を軽減することができます。以上のような対策を採りつつ、上手に付き合っていかなければならない病気なのかも知れません。
サルモネラ属菌は、人や動物に重篤な敗血症から流産、下痢、無症状まで種々の病気を引き起こします。近年、人の食中毒の原因菌として問題となってきています。
サルモネラ感染症のうち、牛のサルモネラ症には、S. Typhimurium(S.T)による下痢症、S.
Dublin による流産がみられるほか、食肉のS.T汚染は人の食中毒の原因となります。
平成18年7月、当所管内の酪農家で牛サルモネラ症(S. Typhimurium)の発生がありました。臨床症状は、成牛において水様性下痢(一部血便含む)及び発熱が認められ、一部に流産するものもありました。確定後、即座に農場清浄化に向けた対策を実施しましたが、飼養形態がフリーストールであったこと、病畜を隔離する場所がなかったこと、なども影響し、鎮静化まで4か月を要しました。サルモネラは、一度発生すると清浄化が困難な疾病です。
畜主には、1.肉体的負担、2.経済的負担、3.心理的負担、と、三つの負担がかかります。
しかし、徹底した衛生対策をすることで、時間はかかりますが清浄化は不可能ではありません。また、サルモネラ以外に潜んでいた疾病の対策にもなります。
今回、牛サルモネラ症発生時の清浄化への衛生対策をまとめましたので、参考にしてください。
まず、感染拡大防止。つぎに、牛舎内の清浄化
11月2日に東京で開催された(社)中央畜産会主催の発表会において、本県畜産協会から推薦された豊橋市(有)冨田養鶏場(発表者:専務の冨田真之氏)が最優秀賞に選ばれ農林水産大臣賞を受賞しました。
今年度は全国17道県から23事例の推薦があり、その中から書類選考により12事例に絞られ、審査員により現地調査が行われました。発表会においては12事例の経営者から経営内容や経営理念等が発表され、最終的に最優秀賞4事例が決定されました。
冨田養鶏場の選考理由は、真之氏就農以降「生産者の顔の見える卵づくり」と「HACCP対応の経営確立」を目標に、
1. 農場の近代化(全鶏舎のウインドウレス化と規模拡大:成鶏24万羽飼養)
2. おいしさを重視したこだわりの委託配合飼料の給与
3. 自販機、地元スーパーなど直販の推進
4. インライン式GPセンターの設置(全量「とみたの卵」として出荷実現)
5. HACCP仕様の生産販売システム確立(安全・安心の確保:消費者の信頼)
6. 地域との融和・強調(地産地消、耕畜連携)
を進め、且つ、高い収益性を確保していることが評価されました。
中でも、ヒナから卵の出荷までの全行程でHACCP手法に基づく厳しい生産管理を実施していることについて、非常に高く評価され、安全・安心についてのモデルケースとされました。
なお、この受賞により、来年度の畜産大賞・経営部門にエントリーされる予定です。
さる11月2日(木)、西三河総合庁舎大会議室において、鳥インフルエンザ防疫対応に係る県域研修会が実施されました。本研修会は愛知県鳥インフルエンザ緊急対策会議、農林水産部及び関係地域鳥インフルエンザ防疫部会、市町村並びに関係団体を対象に行なわれ、約100名の参加者がありました。
研修前半では、高病原性鳥インフルエンザの概要及び現状、愛知県での防疫体制について触れ、後半では今回の研修の主たる目的である「愛知県鳥インフルエンザ発生時防疫対策集」の一部改正について説明が行なわれました。
研修終了後、従事者の健康管理や汚染物の焼却手続き等について活発な質疑応答がなされ、鳥インフルエンザに対する関心の高さが伺われました。
なお、当東三河地域における地域研修会は、東三河家保本所管内では12月18日(月)、東三河総合庁舎において、また、設楽支所管内においては11月29日(水)、新城設楽農林水産事務所で、いずれも地域防疫部会、市町村、保健所及び関係団体を対象に実施する予定です。
平成18年11月1日(木)、畜産総合センター「ふれあいドーム」において、2年ぶりに全国和牛登録協会愛知県支部主催の第32回愛知県和牛共進会が開催されました。
当日は秋晴れの穏やかな天気で、農家の方々は朝早くから丹誠込めて育てた牛を手入れされていました。出品頭数は37頭でした。当所設楽支所管内からは第1部5頭、第2部5頭、第3部4頭、第4部6頭と半数以上の20頭が出品されました。
支所管内では一昨年まで、南新畜産共進会を開催し、出品牛を選考していましたが、今年からは農家を回っての選考となりました。
審査の結果、第4部で優等賞1席の新城市冨保の鈴木米文さん所有「りさ」号が名誉賞を獲得、そのおかげもあり八楽支所は一昨年に引続き団体賞を受賞しました。受賞された皆様おめでとうございます。(写真は省略しました。)
全体的に発育良好で、やや過肥の牛が散見されましたが、来年鳥取県で開催される第9回全国和牛能力共進会に向けて弾みのつく共進会となりました。
11月5日(日)、畜産総合センター「ふれあいドーム」において、第33回愛知県ホルスタイン共進会が開催されました。
本県におけるホルスタイン種牛の改良増殖成果を検討し、切磋琢磨する場として、各支所から選ばれた乳牛87頭が、(株)十勝家畜人工授精所の吉川広司氏の審査により、その成果を競い合いました。
日ごろの努力のたまものか、管内からの出品牛が上位を独占しました。
上位入賞結果は、以下のとおりでした(写真は省略しました。)
また、付帯事業として、一般公募の女性達が牛のリードに挑戦するレディースクラス、小学生までの酪農家のお子さんが牛のリードをするファミリークラス、初妊牛2頭の抽選会が開催され、終日大変盛況でした。
平成16年9月、家畜伝染病予防法(以下、法)に飼養衛生管理基準が制定され、同年12月1日に施行されて以来、当所では、対象家畜(牛、豚、鶏)の飼養者に対し、パンフレットを配布するなど啓発に努めてきました。養豚農家に対しては、オーエスキー病浸潤状況調査等の立入検査時に、普及啓発及び聞き取り調査を実施しています。
平成18年度は、157戸全ての養豚農家について普及啓発及び聞き取り調査を実施しました。
基準1 | 畜舎の清掃消毒 | 96.8 % | 基準6 | 野生動物や害虫の侵入防止・駆除 | 98.7 % |
基準2 | 畜舎出入時の消毒 | 90.4 % | 基準7 | 出荷時の健康確認 | 100 % |
基準3 | 飼料への野生動物等の糞の混入防止 | 86.6 % | 基準8 | 異常の早期発見 | 100 % |
基準4 | 導入家畜の隔離 | 93.0 % | 基準9 | 過密な状態で家畜を飼養しない | 98.7 % |
基準5 | 入場制限及び車両消毒 | 67.5 % | 基準10 | 疾病の発生予防に関する知識の習得 | 99.4 % |
特に遵守率の低かったのが基準5で、(1)農場出入り者への対策及び、(2)出入り車両の消毒が不十分の67.5%でした。(1)の立入禁止用の看板やフェンス・ロープについては、老朽化等により破損し、修理を怠っている農家が多く、防疫意識にやや弛みが感じられました。また、(2)の出入り車両の消毒については、消毒装置のないところも多く、畜舎消毒にも利用できる動力噴霧器の導入などの指導をしました。
飼養衛生管理基準 豚の日本脳炎は、蚊(主にコガタアカイエカ)によって媒介されるウイルス病で、豚の他に馬及び人等にも感染する人獣共通感染症で家畜の法定伝染病にも指定されています。
妊娠豚が感染すると、死産等の異常産を起こし、また豚はこのウイルスの増幅動物であり他の動物への感染源となることも知られています。
県内の家保では、地域における本病の発生を事前に予察することを目的に、定点調査農場を定めて毎年6月〜9月の間、毎月1回、未越夏の豚の血清から日本脳炎赤血球凝集抑制抗体価(HI抗体価)を測定し、その調査結果に基づき県内の感染予察情報を関係者に伝達しています。
今年度、当所管内、豊橋市、田原市、新城市のそれぞれ一か所の農場において、6月から9月まで全て陰性調査結果は次のとおりでした(各10頭検査)。
例年、9月頃に陽転する農場が確認されますが、今年度は抗体陽性豚が確認されず、大きな流行の可能性は低いと予測しています。
ただし、県内の他地域では抗体陽性豚が散見されており、油断はできません。
本病の予防対策としては日本脳炎ワクチンによる母豚の免疫が、最も効果的です。少なくとも、春から夏にかけて種付けされる初産豚は免疫を持たないため、確実にワクチン接種をすることが必要です。但し、抗体の上昇期間を考慮すると、ウイルスを媒介する蚊が出始める時期の約1か月前までに最終接種を終了する必要があります。
平成19年10月11日〜14日に鳥取県で開催される第9回全国和牛能力共進会まで、残り1年となりました。
各参加道府県とも、そろそろ出品牛の選定作業が始まっていることと思われますが、本県も第1回目の巡回調査指導を、出品区分第3区(平成18年2月12日〜5月11日生まれ)について実施しました。
当管内は、10月11日から2日間を費やし、和牛登録協会県支部、県機関、JA、経済連の担当者9名が2班に分かれ、31戸、62頭の候補牛を調査しました。
体高、胸囲を測定し、月齢に見合った発育をしているかどうか、美点や欠点などを黒毛和種審査標準に基づき、登録審査さながらに、じっくり見せていただきました。
全体的には発育良好な牛が多く、均称がとれて体躯の幅と肋の張りに富み、1年後が楽しみな子牛がいました。一方、尾根部に脂肪が蓄積したいわゆる尾枕の付いたものもあり、飼養管理の改善も望まれました。
今回は、出品に意欲的な生産者の掘り起こしをするとともに、候補牛の大まかな絞込みをし、優れた子牛は自家保留や新城子牛市場での地域内保留をお願いしていくことが目的です。
今後は、育種価解析作業を進め、出品条件をクリアすることや、牛の健康に留意することはもちろん、前岐阜全共での過大、過肥の反省点を克服していくことや嬌角などの手入れ・調教が重要となってきます。本県の代表牛を選抜する最終審査は、来年7月です。さぁ、関係者一丸となって頑張っていきましょう。
…本番まで、こまめに情報発信していきます。レポーター:鈴木道康専門員…
さる10月11日(水)に岐阜市において鳥インフルエンザ防疫演習が開催されました。あいにく当日は雨でしたが、異常鶏の発見から防疫対応の終了まで、実働演習が分かりやすく演劇風に行なわれました。
また、実働演習終了後、京都府南丹家保の川島氏による「京都府における高病原性鳥インフルエンザ発生及び防疫措置の概要」の講演が行なわれました。舞台裏の生々しい状況を聞き、改めて初動防疫の難しさ、大切さを痛切に感じました。
なお、本県においては県防疫対策マニュアルの改訂に伴い、11月上旬頃に県防疫対策部会員を対象に机上演習が実施される予定です。
愛知県立農業大学校主催による、平成18年度農業者生涯教育研修(専門高度化研修)が別添のとおり開催されます。
今回は「畜産環境シリーズ」と題して、
1. 汚水、2. 臭気+ちょっと元気の出る話、3. 堆肥流通、4. バイオマスについて、
(財)畜産環境機構の本多勝男審査役を始めとするその道の第一人者と言われている講師を招き、11月6日(月)・7日(火)・21日(火)・22日(水)の4日間で開催されます。
本研修会は畜産農家の皆様を対象に、水質汚濁防止法の規制動向、畜舎汚水処理技術の基本を習得していただき、これらの知識・技術の普及・畜産環境対策を推進するものです。大変有意義な研修と思われますので、時間のある方は是非参加してください。
いずれも清浄地域での発生となり、オーエスキー病伝染の拡大が危惧されます(特に沖縄県は県全域が清浄地域)。
愛知県では本病の清浄性を維持しており、県外から豚を導入した場合は家畜保健衛生所が実施する抗体検査を受けることが定められています。
県外から豚を導入する際は、当所へ連絡して下さい。
人にはかつて天然痘という病気がありました。有効なワクチンにより、今では人類史上初の“根絶されたウイルス病”となっています。しかし、依然として豚には豚の、牛には牛の痘瘡(盛り上がった病変)を特徴とする同じような病気があります。豚の場合、それが“豚痘”と呼ばれるもので、天然痘ウイルスの親戚である、ポックスウイルス科の豚痘ウイルスにより起こります。
[症状]まず発赤や丘疹(豆粒大の盛り上がり)で始まり、ブドウ球菌などの感染による膿疱などとなり、痂皮(かさぶた)形成の後、それがはがれて治癒に向かいます。全経過は1ヵ月半程度で完治します。発痘の後発部位は下腹部、内股部、耳翼などでブタジラミの寄生部位と一致します。これは伝播にブタジラミが関与していることを示唆しています。発生は豚群全体に広がる場合もありますが、致死率は低く死に至ることはほとんどありません。育成時に発症すると、発育が多少遅れる程度です。
[確定診断]病変部の病理学的検査により、感染細胞内に特徴的な原形質封入体と核内空胞を観察します。
[治療]ワクチンはなく、ブタジラミが見られる場合は駆除し、抗生物質の投与により二次感染を予防することが主となります。(豚病学<第4版>より)
本年5月に食品衛生法に基づくポジティブリスト制度が導入され、食の安全・安心対策が強化されたましたが、一部において畜水産物の抗菌性物質残留等の問題が発生して、動物用医薬品に対する適正な取り扱いの強化が求められています。
また、9月1日からは下記のとおり動物用医薬品適正流通推進強化月間がスタートしており、当所では、実施要領に基づき、動物薬事の監視を目的とした立入検査を実施しています。
動物用医薬品の流通に関しては、適正な取扱い等の確保に十分留意してください。
家畜飼料の自給率向上の一環で濃厚飼料の自給率向上のために、食品残さ(食品製造副産物、余剰食品、調理残さ、食べ残し)の飼料化が推進されています。しかし、こうした飼料には、これまで異物混入が散見されたり、他業種からの飼料製造への新たな参入も多く認められ、飼料の安全性という点では不十分な面もありました。そこで、農林水産省では食品残さを安全に飼料に利用するための対応策を定め、8月末に「食品残さ等利用飼料の安全性確保のためのガイドライン」として公表しました。
ガイドライン中では食品残さ等の収集段階から利用段階まで、飼料として安全性を確保する具体的対応が示されています。既に食品残さ等を飼料製造に利用している製造所や、家畜に給与している農家にあっては、これを参考に現行法の再確認をお願いします。また、これから食品残さ等の利用を考えている事業者・農家にあっては、これを参考に施設や行程の整備をお願いします。
平成18年度生乳計画生産は、低迷する飲用需要や脱脂粉乳在庫の削減、バター在庫の積み増し防止を考慮して、12年ぶりに生産を抑制する方向で決定しました。
今までは乳量を増やすことで収入は増えて来ました。しかし、これからは管理と経営を効率化することで利益を出していかなければなりません。その意味で、酪農経営は大きな転機を迎えているといえます。
効率的な生乳生産のために、また、足腰の強い経営体質を築くために、既に管内酪農家が取り組んでいる2点を紹介します。
畜産農家で飼養事故や傷病により家畜が死亡した場合、家畜の死体については、「化製場等に関する法律」(昭和23年法律140号以下「化製場法」という。)及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律137号
以下「廃掃法」という。)等に基づき適正に処理することになっています。
今般、愛知県内の養豚農家において飼養豚の死体を不適切な状況で埋却した事例が発生しましたが、このような事態は県内畜産農家全体に対する社会的信頼を損なう行為です。畜産関係者の方々は以下の関係法令を遵守し、適正な処理を徹底してください。
平成18年8月4日付け18生畜第1228号で農林水産省生産局畜産部畜産企画課長から、「家畜の暑熱対策の徹底について」通知がありました。
暑熱対策の参考にしてください。
家畜の暑熱対策の徹底について(ファイル名:20060804Syonetu.pdf サイズ:50 kb)
本年5月末に、輸入牧草(スーダングラス)の流通後の検査において農薬(除草剤)のブロモキシニルの残留が判明した事例があり、当所管内の2農場(A,B)で当該牧草が乳用牛に給与されていました。
生乳については、判明直後に一時出荷自粛が行われ、農薬の移行がないことを確かめた上で出荷が再開されました。一方、筋肉や脂肪への残留の可能性が否定できないことから、廃用牛の肉用出荷についてはできるだけ遅らせるよう指導をしてきました。
このほど、A農場の乳用牛については当所にて筋肉および脂肪を採材して愛知県衛生研究所で検査を実施し、またB農場については牛1頭を国が買い上げる形で検査が実施されました。それらの検査の結果、2農場の牛から基準値(筋肉や内臓で0.07
ppm、脂肪組織で0.1 ppm)を超える濃度の農薬は検出されず、肉用出荷についても問題のないことが確認されました。
A農場の牛については1日4〜5 kgを9日間、計40 kg程度の当該牧草が給与され、一方B農場の牛については1日6〜7
kgを17日間、計110 kg程度の当該牧草が給与され、採材時期については給与終了後70日以上経過していました。
今回の例のように、給与後、飼料から基準値以上の農薬や飼料添加物が確認された場合、飼料給与状況の確認や出荷物の安全性確認をした上で農場からの生産物が制限なく出荷できるまでに3か月程度を要します。万一の事態に備える意味でも、日頃の飼料の購入や使用(給与)の記録を残すように習慣づけてください。
家畜から血を吸うハエ類は、日本には5種類(サシバエ、インドサシバエ、チビサシバエ、ミナミサシバエ、ノサシバエ)が生息していますが、渥美半島を中心とした東三河地域は、年間を通じて比較的温暖な気候条件のもと、特にサシバエの発生が多い地域で、牛だけでなく豚にも多くの被害が確認されています。これから9月以降の秋季はサシバエの発生がピークを向かえるため、以下に対策等を紹介しますので、参考にしてください。
<生態>
サシバエの幼虫は主に家畜(牛・豚・鶏・馬など)の糞や堆肥から発生し、成虫(雄・雌とも)になると通常朝・夕2回吸血のために 家畜(牛・豚・馬など)にたかります。
日中や夜は、畜舎の壁や畜舎周辺の樹木・葉の裏などで休息しています。
<養豚場での被害>
1) 吸血による痛みがストレスになり、生産性が低下(受胎率や増体に影響)。
2) 多数の吸血による貧血や吸血部位の損傷・感染を受ける。
3) 各種伝染病の病原体を機械的に媒介する。
4) 不快害虫で、時に人にも吸血する。
<防除方法>
1) 発生源対策
・家畜糞は十分に堆肥化する。
・圃場に堆肥を散布した場合は、すぐに鋤込む。
2) 成虫対策
・成虫休息場所に薬剤散布をする。
・繁殖豚などに忌避対策をする。
(ペルメトリン乳剤などの忌避剤を豚体に噴霧;
週1〜2回の実施で効果は約1週間持続、連用による薬剤耐性や休薬期間等に注意)
愛知県では、水質汚濁防止法の規定に基づき定めた「公共用水域及び地下水の水質測定計画」により、県内の地下水の水質調査を実施しております。
平成17年度は、県下196地点(汚染の恐れのある井戸182本を含む)で調査が行われました。
調査の結果、家畜排せつ物、施肥、生活排水等が原因と考えられる「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」において環境基準を超過していたのは、豊橋市・岡崎市・碧南市・豊田市・安城市・蒲郡市・新城市・豊明市・田原市の9市計17地点(井戸では98本中10本・11地点)でした。
畜産農家の皆様には、家畜排せつ物(堆肥を含む)による地下水の汚染を防ぐため、家畜排せつ物を適正に処理・管理し、農地利用に際しても過剰に施用しないよう適切な利用に心がけてください。
さる7月11日の新聞等で「牛フン大量投棄」の報道がありました。
本件は、通行人から警察への通報によるもので、吉良町山中の私有地に大量の牛ふんが投棄されており、廃棄物処理法違反容疑(不法投棄)の疑いで、現場検証が行われた模様です。
最近、当管内においても、家畜排せつ物に起因する苦情発生が多くなってきており、その都度、当該畜産農家に立入検査を行い、すみやかに改善するよう指導を実施しております。
家畜の排せつ物(ふん・尿)については、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(「家畜排せつ物法」)」第3条により、管理基準に従い適正に管理することが義務づけられており、いわゆる「野積み」「素掘り」が禁止されています。
畜産農家の皆様には、現在の自分の家畜排せつ物処理・管理方法を確認し、絶対に不適正な管理・保管及び投棄等のないよう十分注意するとともに、堆肥が「資源循環型農業確立」のための大切な有機質資源であることを再認識し、有機資源として積極的に利用できる堆肥作りに、より一層努力願います。
東三河管内では久々となる輸入牛が、6月30日に入ってきました。
牛を輸入し、飼育するに当たっては数々の制限があります。
まず、牛が日本に着くと動物検疫所で15日間けい留され、種々の検査を行い異常の無い事を確認後、解放されます。
その後、農場に入るわけですが、そこで行わなければならない事として、
・他の家畜から十分隔離出来る場所で飼養する。
・隔離施設で使用する機材は専用のものとして、出入り口には消毒槽を設置する。
・作業着・長靴等は専用の物をつかい、出入時には消毒を行う。
・着地後3か月間は移動を禁止し、毎月家畜保健衛生所の検査を受ける。
等が主ですが、これを着地検査といっています。
この他にも細かな規則がありますので、海外からの導入を考えるときは、事前に家畜保健衛生所までご相談下さい。
今年4月から6月にかけて東三河管内の養豚農家162戸で豚1413頭の抗体検査を実施しました。田原地区については繁殖豚、その他の地区では肥育豚を主な対象としました。オーエスキー病、豚コレラについては先月も触れましたが全頭陰性でした。その他の病気の結果は表1〜3の通りでした。
トキソプラズマ病は14戸、14頭陽性でした。前年度に比べ陽性農場数(前年度31戸)、陽性頭数(同44頭)ともに減少しました。
豚丹毒は野外で原因菌が動いていると思われる64倍以上の抗体保有を目安に考えると、11戸、15頭が保有していました。前年度に比べ農場数(前年後47戸)、頭数(同88頭)ともに減少しました。
PRRSは140戸、1,090頭陽性でした。前年度に比べ陽性農場数(前年度142戸)、陽性頭数(同1158頭)ともに同様の傾向でした。
今回の結果、病気に関しては前年度と比較して状態が向上しているように思われました。引き続き衛生管理の努力をお願いします。特にPRRS陰性農家の方は豚の導入、車両入場などに注意を払って下さい。
表は、PDFファイルです
H18豚抗体検査結果(ファイル名:Pig_0607.pdf サイズ:29 kb)
愛知県東部家畜保健衛生所
電話 0532-45-1141
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