ここ数年、夏場の猛暑による家畜への暑熱被害が報告されています。ラニーニャ現象が発生し、この夏も平年より気温は高めで推移するものと予想されています。 この時期から暑熱に対処できる飼養管理に努めましょう。
畜舎内設備
新鮮な水を十分量供給できるよう、水道配管や水槽を点検、掃除する。
通風の妨げになる畜舎内の不要物を整理、除去する。
冷却効果を上げるため、換気扇・扇風機のほこりを払い、細霧装置を点検する。
子牛については、より低い位置(人がしゃがんだ位置)での通風を確保する。
雑菌繁殖を抑制するよう、牛床および飼槽・水槽の周囲の乾燥に心がける。
畜舎周囲
日照や照り返しを避けるため、ひさしの延長や日除けを設置する。
通風をさまたげないよう、周囲の植え込みを刈り込む。
飼料等
暑熱による消費増加に備え、ミネラル・ビタミンの添加量を増やす。
採食量を落とさないよう、粗飼料を良質で嗜好性の良いものに変える。
ルーメンアシドーシスを予防するため、重曹を給与する。
変質したTMRによる中毒等を防ぐため、残餌は早めに処分する。
米国で問題になっている、みつばちが「巣から集団失踪」あるいは「大量死」する『コロニー崩壊病』に関して、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデリシ博士は先ほど、「みつばちの伝染病であるノゼマ科原虫の胞子を多くの巣で検出し、この原虫が原因である可能性が高い」という調査結果を発表しました(「コロニー崩壊病を考える学会」にて)。
『コロニー崩壊病』は、昨年秋の発生から全米27州に拡大し、カナダや英国など欧州の一部でも発生が確認されています。米国内で飼養する約240万群のうち1/4以上が消失したとの報告があるため、アーモンドやリンゴ、ブルーベリーなど多数の農作物の受粉に大きな打撃があるとみられています。
今回特定された原虫と類似のノゼマ科原虫(Nosema apis)は、日本では届出伝染病「ノゼマ病」の原因原虫で、過去に発生事例が確認されています。
日本で飼養されるセイヨウミツバチは海外からも輸入されてますが、今回の調査結果を受けて、原因究明や対策方法が進展することが望まれます。
本年1月及び2月に宮崎県及び岡山県において高病原性鳥インフルエンザ(H5N1亜型)が発生しましたが、迅速かつ的確なまん延防止対策が講じられ、5月8日には防疫措置完了後3か月継続して清浄性が確認されたため、国際獣疫事務局(OIE)の規定に従い、我が国は清浄国に復帰しました。
本県としては、平成19年5月25日付け愛知県告示第375号のとおり、 家畜伝染病予防法第52条に基づく死亡羽数等の報告について、6月からは下記のとおり月1回としましたので、よろしくお願いします。
なお、万一、高病原性鳥インフルエンザの可能性を否定できない事態(死亡羽数の増加、1ヶ所でかたまっての死亡、産卵率の急激な低下等)が生じた場合は、直ちに電話等で当所に通報願います。
記
本所あてに報告する方用の、第52条報告様式です。
第52条報告様式(支所用)(ファイル名:52HPAI_07620s.doc サイズ:33 KB)設楽支所あてに報告する方用の、第52条報告様式です。
九州地域においてアカバネウイルスの生後感染を疑う事例が多数発生したことは1月の家畜衛生情報でもお伝えしました。その後にまとめられた国の調査結果によると、同様の症例は180例ほど報告されており、また、当ウイルスの胎内感染で起きる異常産についても散見されました。アカバネウイルスは、今のところ九州ほぼ全域と中国・四国地域の西側一部にしか拡がっていないようですが、今夏さらに東に拡がる可能性があります。
当ウイルス感染による異常産等は牛群内の抗体保有率が低下してくると発症する傾向にありますから、本ウイルス感染症予防のためには、夏を迎える前、6月までにはワクチンを接種しておくことが必要です。ちなみに、アカバネ病のワクチンには、生、不活化、チュウザン病・アイノウイルス感染症との不活化3種混合(異常産3混)の3タイプがあります。
平成19年4月1日をもって、日本はOIE※に"豚コレラ清浄国"と認定されました。 明治21年の北海道での初発から全国に蔓延していた豚コレラは、昭和44年に開発された生ワクチンの接種により、発生が激減し、平成4年の熊本県での事例以降、発生がみられていません。そこで平成8年に本病の清浄化を目指す豚コレラ撲滅対策が開始されました。平成11年4月からは鳥取、岡山及び香川県でワクチン接種中止となり、ワクチンを使用しない撲滅対策へと体制が移行しました。そして、平成12年10月にワクチン接種は原則中止となり、接種中止による清浄化確認の段階に進みました。平成12年以降、一部で実施されていたワクチン接種も平成18年3月31日で全面中止となり、その一年後、日本は豚コレラ清浄化を達成しました。
しかし、口蹄疫、BSE、高病原性鳥インフルエンザといった海外の疾病が侵入し、発生する状況が続いています。豚コレラも同様な脅威にさらされていることに変わりありません。したがって、今後も本病の防疫対策要領に基づく監視や発生時防疫対応マニュアルにより万一の発生に備え、すべての関係者が一丸となって清浄性の維持に努めなければならないと思います。
当所においても、豚コレラに関する清浄性の維持確認のための調査として、平成18年度は管内の全養豚場166戸の立入検査、抽出による60戸564頭の抗体検査を実施、病性鑑定材料として搬入された個体についても延べ22戸36頭の検査を実施し、いずれも陰性を確認しました。
※OIEとは、国際貿易における動植物の検疫ルールを定める国際獣疫事務局。OIE規約では、12か月以上ワクチン接種を禁止していること、サーベイランスが実施されていて12か月以上当該疾病の発生がないことが要件とされています。
昨年5月に施行された「ポジティブリスト制度」に対応して、多くの動物用医薬品で休薬期間が延長されたり、使用禁止期間が変更になっていますが、それらの情報を常に携帯したり、頭に入れておくのは大変なことです。治療のための投薬や家畜・乳及び卵等の出荷に際し、薬剤の使用禁止期間(休薬期間)等の情報を知りたい時に、手元に使用説明書等がなくても、現場でパソコンや携帯電話からその情報を取り出すことができるシステム(ポジティブリスト制対応規制情報検索システム)が、(社)日本動物用医薬品協会のホームページ(http://www.jvpa.jp)に4月2日から公開されておりますので、積極的にご活用ください。
<検索方法>
(社)日本動物用医薬品協会のトップページに「ポジティブリスト検索システム」へのリンクが設定されています。パソコンの場合、そこをクリックし、免責事項に同意すると検索画面に移行します。検索方法は「自動検索」「販売会社別検索」「製品分類別検索」「フォーム検索」の4種類で、通常の「自動検索」では、1)
動物種, 2) 製品分類, 3) 成分名, 4) 投与経路, 5) 製品名を順に選ぶと目的の薬剤の情報にたどり着けるようになっています。
また、携帯電話からでもアクセスできるようになっており、検索方法は「フォーム検索」という方法で、会社名、製品名、成分名、畜種、製品分類の選択のいずれかを、一部の文字であっても入力し検索ボタンを押すのみで、製品情報に到達することができます。
薬剤の使用にあたっては、うろ覚えの情報ではなく、きちんとした情報をこのシステムで確認し、畜産現場から薬剤の残留事例を出すことのないようにしましょう。
4月15日の日曜日に、中部日本ホルスタイン改良協議会主催の第32回中部日本ブラックアンドホワイトショウが、静岡県御殿場市馬術・スポーツセンターで開催されました。
前日の雨も上がり、当日は晴天に恵まれて、富士山を望む大展望の中でショウが開催されました。
管内の上位入賞牛は以下の通りです。
このたび愛知県農業総合試験場が、平成12年から岐阜県畜産研究所と共同でデュロック種の系統造成に取り組み、7年かけて新系統豚「アイリスナガラ」を開発しました。
「アイリスナガラ」は、現在農家で利用されている「サクラ201」に比べ、成長が早く背脂肪厚が適度という特徴があります。この特徴は交配して生まれた三元豚にも受け継がれ、出荷日齢、背脂肪厚とも「サクラ201」を交配したものより優れています。また、ロースにサシが入りやすい傾向もあります。子数が多く、繁殖性も良好です。
平成19年3月7日に愛知県畜産総合センターに移管され、今後増殖後、平成20年2月頃から養豚農家の方に供給ができる予定です。
種雄豚更新をお考えの養豚農家の皆さん、一度導入をご検討ください。
なお、従来のサクラ201も平成19年度内は供給できますので、引き続きご利用ください。
【お問合せ】
愛知県畜産総合センター種畜部養豚課養豚グループ(電話0564-21-0201、FAX0564-22-1857)
抗生物質等の畜水産物への残留防止のための、動物用医薬品及び飼料の適正使用の啓発については、機会ある毎に、家畜飼養者、産業動物診療獣医師及び動物用医薬品販売業者等に対して実施しています。
今般、厚生労働省から、平成17年度畜水産食品の残留物質モニタリング検査結果が公表されました。
輸入畜水産物では、違反件数が15件あり,
そのうち、鶏肉3件からニューキノロン系の合成抗菌剤が検出されました。また、ウナギ、その他の魚類及び二枚貝からテトラサイクリン系の抗生物質やマラカイトグリーン及びニューキノロン系の合成抗菌剤が計12件検出されています。
一方、国産物の違反件数は6件で、そのうち豚肉5件から合成抗菌剤のサルファ剤のスルファジミジンが検出され、ハチミツ1件から抗生物質が検出されています。
本県での違反事例はありませんでしたが、今後とも、消費者に常に安全な畜産物を提供するために、薬剤の使用に関しては、適正に使用して残留防止に努めてください。
なお、薬剤の使用禁止期間(休薬期間)等の最新情報が、(社)日本動物用医薬品協会のウエッブページ(http://www.jvpa.jp)から、パソコンだけではなく、携帯電話からも検索できるようなりますのでお知らせします。
平成19年2月24日(土)、愛知県酪農農業協同組合豊橋支所において、オールジャパンブリーダーズサービス株式会社 四国東海地区営業所の岩城浩 氏を審査員に招き、第17回東三河B&Wショウが開催されました。結果は以下のとおりです。
福島県にある(独)家畜改良センターにおいて、平成19年2月5日から5日間にわたり開催された、畜産環境技術指導者技術研修会(畜産環境アドバイザー養成研修会)に参加しました。
講師は(財)畜産環境整備機構の本多勝男先生で、研修の中で堆肥の利用拡大と流通促進をさかんに訴えておられました。
「耕畜連携とは、堆肥という商品を買ってもらうことであり、お客さんである耕種農家に対しPRを行なうには、畜産側に正確で豊富な商品知識が必要不可欠である。また畜産農家の方は、堆肥を廃棄物のような不必要なものと考えず、有効利用できる商品ととらえ、積極的に営業活動を行なってほしい。」
「畜産農家にあっては、自家の堆肥の特性を良く理解し、安定した品質の堆肥供給を維持すること、作物毎の堆肥利用のメリットを耕種農家に伝えられることが必要です。」とのことでした。
堆肥の利用拡大について詳しく知りたい方は、畜産環境技術研究所、愛知県堆肥生産利用推進協議会のホームページ等をご覧下さい。
家畜伝染病予防法では、定められた家畜伝染性疾病について、その診断獣医師や所有者が県知事(家畜保健衛生所)に発生を届け出ることとなっています。平成18年と17年の豚における発生状況を比較し、去年何が流行ったのかを検証してみました。
*家畜伝染病(いわゆる法定伝染病で豚は豚コレラ、豚水胞病など)の発生はありませんでした。
*届出伝染病発生報告数
疾病名 | 平成18年 県内(うち管内)数 |
平成17年 県内(うち管内)数 |
---|---|---|
サルモネラ症 | 3(3) | 0(0) |
豚丹毒 | 50(20) | 17(10) |
数字は頭数、上表以外の届出伝染病の発生はありませんでした。
*18年の傾向
17年に発生のなかったサルモネラ症が、18年には管内で1戸3頭が発生しました。また豚丹毒については、管内での発生が一昨年の2倍の発生となっており、県全体でも前年の3倍と急増しています。
18年発生の50頭(20頭)の豚丹毒の詳細は、関節炎型36(13)頭、じん麻疹型10(4)頭、心内膜炎型4(3)頭となっており、72%が関節炎型となっています。また、50頭(20頭)の発生のうち、2頭以上の集団発生例が6(1)例ありました。発生時期は、8月以外毎月発生していますが、5月(9頭)と11月(11頭)に多く、春や秋に多い傾向があります。
これらのことから、次のような状況が推察されます。
豚丹毒菌は多くの養豚場内で常在し、春や秋の菌に好適な時期になると活動が活発となり、感染発症する。豚に感染した菌は免疫の及びにくい関節腔などで活動し、関節炎を起こすが、死に至らしめるほど強毒ではないので、と畜場に出荷されて検査により発見される。
対策としては、ワクチン接種を確実に行うことと、密飼いをさけ、畜舎を清潔に保つよう飼養衛生管理に配慮することです。また、豚丹毒菌は加熱や消毒薬に対しての抵抗性は高くないので、発生時には徹底的な消毒が特に必要です。
古典的な豚の病気である豚丹毒を出さないよう注意して、健康な豚を出荷しましょう。
家畜伝染病予防法第52条に基づく死亡羽数等の報告については、平成19年1月現在4週分をまとめた月1回となっていますが、今般の宮崎県での高病原性鳥インフルエンザの発生に伴い、農林水産省から、毎週1回に変更するよう指示がありました。
本県としては、平成19年1月26日付け愛知県告示第2344号のとおり、各農場の飼養羽数及び死亡羽数等について、2月以降、下記のとおり報告を求めることになりましたのでよろしくお願います。
なお、万一、高病原性鳥インフルエンザの可能性を否定できない事態(死亡羽数の増加、少羽数だが一か所で固まっての死亡、産卵率の急激な低下等)が生じた場合は、この報告によらず、直ちに電話等で当所に通報願います。
また、1月分の報告についてはこれまでどおりですが、速やかに報告願います。
(その後、報告形式等が変わりましたので、以下の詳細は削除しました)
愛知県では、宮崎県で高病原性鳥インフルエンザが発生したことを受けて、1月15日(月)から25日(木)まで、本病の発生予防及びまん延防止に万全を期すために、県内の全ての鶏等飼養者(393戸)への緊急立入調査を行いました。
結果は、下記のとおり全ての鶏等飼養者において異常は認められませんでした。
記
対象農家 | 東三河本所 | 設楽支所 | 愛知県 | 結果 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
採卵鶏農家 | 76 | 20 | 307 | 鶏等にすべて異常なし | 防鳥ネットの補修・消毒液の補充を指導(13戸) |
肉用鶏農家 | 20 | 13 | 41 | ||
種鶏農家 | 1 | 0 | 6 | ||
養鶉農家 | 28 | 2 | 36 | ||
アイガモ農家 | 3 | 0 | 3 | ||
計 | 128 | 35 | 393 |
*今回の調査は、業として経営している1,000羽未満の飼養者37戸(東三河本所管内4戸、支所管内3戸)についても実施しました。
平成19年1月11日(木)に宮崎県における高病原性鳥インフルエンザ発生に伴い、本県の対応については以下のとおりです(1月12日現在)。
農家の種類 | 飼養戸数 | 飼養羽数 |
---|---|---|
採卵鶏農家 | 272戸 | 10,030千羽 |
肉用鶏農家 | 38戸 | 1,180千羽 |
種鶏農家 | 5戸 | 17千羽 |
養鶉農家 | 37戸 | 4,103千羽 |
アイガモ農家 | 3戸 | 12千羽 |
計 | 355戸 | 15,342千羽 |
今年の冬は例年より比較的暖かい日が続きますが、豚の調子はいかがでしょうか?
暖かいとはいえ、豚にとって、特に寒さに弱い哺乳豚には厳しい季節かと思います。
そこで、この冬も冬季に発生が多いとされるTGE(伝染性胃腸炎)とPED(豚流行性下痢)にご注意ください!
TGEとPEDは嘔吐、水様性下痢、脱水を主徴とするウイルス性の届出伝染病です。日齢に関係なく高率に罹患しますが、病状は日齢によって異なります。
TGE | PED | ||
症状 | 哺乳豚・育成豚 | ・嘔吐の後、黄色水様性下痢(凝乳塊)、脱水を起こす ・幼齢豚ほど重篤で致死率が高い ・発病した育成豚でも回復後、発育不良を起こし、ひね豚になる |
・TGEの症状に極めて類似し、黄色水様性下痢、脱水を起こす ・生後1週間以内の新生豚では下痢による脱水で死亡することが多い ・子豚の死亡率は約50%に及ぶことがある ・日齢の進んだ豚では、死亡はまれであるが、体重減少が著しい ・母豚では泌乳減少や停止を起こすこともある |
---|---|---|---|
肥育豚・繁殖豚 | ・嘔吐の後、激しい下痢を起こす ・7日ほどで耐過する豚が多い ・授乳中の母豚は泌乳が停止し、子豚死亡の原因になる |
||
診断 | 確定診断するためには、TGE、PEDの他にも豚ロタウイルス病や大腸菌症など鑑別が必要な疾病があるため、臨床症状を始め、血清学的、ウイルス学的、病理学的検査を行い診断します。 | ||
予防 | 妊娠豚にワクチンを接種し、子豚に乳汁を介して免疫を付与する方法(乳汁免疫)があります。しかし、全面的にワクチンに依存するだけでなく、日常の衛生管理における分娩舎等の清掃、消毒を徹底するだけでも侵入を防止する効果はあると思われます。 |
平成18年9月頃から、九州地方を中心に子牛の足の麻痺(特に後肢)を示す症例が継続的に確認されています。子牛・育成牛での発生が多く、大半は1歳齢以下で、これまでに約80頭が確認されています。
発症牛からアカバネウイルスが分離され、育成牛が発症していることから、生後にアカバネウイルスに感染した疑いがもたれています。
アカバネ病は、吸血昆虫(ブユの一種であるヌカカ)を介して牛に感染し、異常産を起こす監視伝染病です。
過去の発生例では主に関節湾曲などの体型異常や水頭症が認められましたが、育成期での起立不能の多発は今まで知られていません。
予防には吸血昆虫の駆除を励行するとともに、家畜自衛防疫で行う「牛異常産三種混合ワクチン」を、毎年春に母牛へ接種してください。
愛知県東部家畜保健衛生所
電話 0532-45-1141
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