『第7回若手養豚農家と消費者の交流会』が12月6日(木)に開催されました。この交流会は管内の豊橋市、宝飯豊川地域の若手養豚農家で組織する宝飯豊橋養豚青年研究会が主催しており、平成13年から年1回開催されています。養豚農家が消費者と直接会って、豚の飼い方や生産した豚肉がどのようにして消費者の食卓に届いているのか、について話をする機会を設けたいということで始まりました。
毎年さまざまな企画が行われてきましたが、今年は午前中にソーセージ作り体験、午後は『豚の飼育過程と豚肉の豆知識』というテーマで本研究会の市川会長(豊橋市養豚家)による講習会が行われました。参加者からは「ソーセージ作りは意外と簡単だった。」、「器材を買って自分の家でも作りたい!」、また「生産現場のことを学べて良かった。」という声が聞かれました。
今日、偽装表示など食品に関する問題が相次いで報道され、消費者の食品に対する関心が高まっています。この交流会は、消費者に生産者の生の声を直接伝えることで、安全な地元産豚肉を理解することに繋がり、実際今回使われた豚肉は本研究会会員が一生懸命育てた豚だということで、参加者は安心して味わっていました。今後も消費者に生産農場のことを正しく理解してもらうこのような機会に対して当所も積極的に協力していきたいと思います。
牛は、凍結精液を使った人工授精で受胎させるのが一般的です。人工授精に際しては雌牛の発情を見つけてからどのタイミングで授精するかが重要で、従来、授精適期については、AM−PM法(発情終了後 6時間以内の授精)がよく知られ、利用されてきました。しかしながら、最近の研究によればこれより少し早く授精するのが適当なようです。
このほどの県人工授精師協会主催の講習会(高橋芳幸教授)では、スタンディング発現後4時間から16時間後の授精が最も受胎率が高く、16時間を過ぎての受精では受胎率が大きく低下するというデータが示され、「発情発見後 6時間以内の授精が最適」ということでした。
繁殖生理学上の裏付けとしては、1)授精された精子が卵管峡部に達するのに12〜16時間を要する。2)卵管峡部にある程度の数の精子がないと受精しない。3)排卵された卵子は6〜10時間で劣化(老化)する。というものです。
搾乳作業に入る前に発情を見つけたら作業後に授精するなど、発情発見後直ぐか、または、一作業後くらいに授精するのが良好な結果を生むとの説明でした。
また、凍結精液の扱い方や解凍法についてもそれぞれ意味があり、基本に忠実に行うことの重要性が強調されていました。
飼料価格高騰の折、空胎期間短縮の意義はますます大きくなっています。人工授精のタイミングや手技を再確認し、受胎率のアップにつなげましょう。
平成19年10月11日(木)から14日(日)まで鳥取県米子市で、全国和牛能力共進会が開催されました。「弁当忘れても傘忘れるな」といわれる山陰地方ですが、4日間ともまずまずの天候でした。少数精鋭で頑張ってきた愛知県の出品牛は早朝より入念に手入れをして審査に望みましたが、1等賞に入ることは出来ませんでした。内閣総理大臣賞を受賞した宮崎県の方に話を伺うと、一つの区の牛を選抜するのに候補牛が100頭以上いるということで、畜産振興県の層の厚さを感じました。肥育の部は家畜改良事業団の種雄牛「安茂勝」号に期待していましたが、一部の県を除いて、間接検定のような好成績を出すことは出来ませんでした。
各部の成績は以下のとおりです。
第2区(若雌の1) 2等賞3席 新城市 戸田孝一 めぐふく号
第3区(若雌の2) 2等賞2席 新城市 春田高伸 なつざくら号
第9区(去勢肥育牛)優等賞28席 豊橋市 石田隆身 咲茂勝号
2等賞 安城市 中尾充紀 新城2303号
24か月齢以上の死亡牛についてはBSEの検査が義務付けられていることは周知のことと思います。死亡牛処理を円滑に行えるよう、農場から検査場所である西三河家畜保健衛生所までの死亡牛の運搬や検査後の化製場までの運搬費用、検査手数料、化製処理に係る費用について、農家負担の一部について公的な補助がなされています。
死亡牛が発生した場合に、畜主が書く7枚綴りの「検査申請書」は、家畜保健衛生所に検査を受ける牛の正確な情報を伝える書類であるとともに、死亡牛の運搬・化製処理や、補助事業申請を行うための重要な書類であります。しかしながら、以前に増して申請書の記入誤りや記入漏れが目に付きます。死亡牛の月齢間違いが最も多く、次いで、生年月日の間違い、月齢の記入漏れが挙げられます。畜主自身の住所が不正確(番地の記入漏れ)というお粗末な例もありました。
誤りや漏れのある書類では、農家への補助の遅れや、死亡牛処理円滑化事業全体の停滞につながる恐れもあります。死亡牛の検査申請書の重要性を今一度再認識され、正確な記述を心がけるとともに、よく確認の上提出するようお願いします。
残暑で、牛には厳しい日々が続きます。死亡牛が発生した際には、検査施設へ翌日の搬入ができるよう、迅速な連絡・検案・輸送に努められるようお願いします。
豚の病気でオーエスキー病という病気があるのはご存知だと思います。以前は仮性狂犬病と呼ばれ、犬がかかれば神経症状(かゆみ)を示して100
%死亡する恐ろしい病気です。本県のような清浄地域に侵入した場合には、幼ない豚(神経症状ののち
2週齢ではほぼて100 %死亡)やストレスを受けた豚で発症し、妊娠豚においては異常産の原因となります。豚コレラ同様、養豚農家にとって警戒すべき病気です。
原因は豚ヘルペスウイルスT型で、豚をはじめ多くの家畜、野生動物に感受性を示す。人のヘルペスウイルスとはグループが異なり、ヒトには感染しません。
豚コレラの清浄化に成功した農水省は、いよいよオーエスキー病の清浄化に向けて動き出しました。愛知県では幸いなことに昭和60年に一度発生しただけで、現在は導入時の検査などで清浄県であることを維持してきました。でも、国内の他の地域では汚染度は様々で(注)、その対応にも非常に温度差があるのが実情です。一部地域には清浄化をあきらめて非協力的であったり、他県では抗体陽性豚をためらいなく導入している農家もあるようです。
現在すべき対応としては次の3点となります。
1) 国内の発生状況を確認して、清浄化推進地域(発症のある地域)、準清浄地域(過去一定期間内に発生があった地域)からは豚を導入しない。
2) 導入時に出荷者からオーエスキー病陰性の証明書を入手する。
3) 到着後は隔離し、当所の抗体検査を受け、陰性を確認してから既存の豚と同居させる。
他県での清浄化が進み、日本が清浄国となるまで、愛知県では導入時の水際防疫により県内の清浄性を保ちながらがんばりましょう。
(注)国内の清浄化の状況は、動物衛生研究所九州支所の オーエスキー病防疫対策要領にてご確認いただけます。
本年6月、名古屋市の鶏卵検査において、食品衛生法に定められた基準値を超えるトリメトプリムが検出され、鶏卵の回収が行われました。
これに伴い、出荷元である岐阜県による調査の結果、岐阜県下の養鶏農家において、使用対象動物でない産卵鶏にトリメトプリムを含有する動物用医薬品
を投与していたことが確認されました。当該行為は薬事法(昭和35年法律第145号)に違反しており遺憾な事例であります。
また、最近、牛・豚についても、東三河食肉流通センターにおける抗菌性物質の食肉への残留事例が頻繁に報告されています。
畜産物の安全性の確保は、畜産関係者の使命であり、抗菌性物質が食肉等に残留している事例が発生すると、消費者の信頼を裏切る
こととなります。
悪質な事例に対しては、刑事告発等の厳正な対応が行われることもあり、このような事例が繰り返されることがないよう、更なる
動物用医薬品等の適正使用及び安全な畜産物の生産確保に御配慮くださるようお願いします。
平成19年10月11日から14日に鳥取県で開催される第9回全国和牛能力共進会の出品牛を決める最終選考会が平成19年7月25日
(水)に、新城家畜市場で開催されました。愛知県から出品できるのは第2、3区(若雌の部)各1頭と第9区(去勢肥育の部)2頭の4頭です。
当日は県下から第2区9頭、第3区12頭の合計21頭の集合審査を(社)全国和牛登録協会森脇稔幸参与を顧問に迎えて行われました。
なお、第9区については牛への負担を考えて、7月19、20日に各農家を巡回し、候補牛11頭の審査が現地で行われ、25日に結果の
発表となりました。
選考結果は以下のとおりで、選出された出品牛4頭のうち3頭が当東三河家畜保健衛生所管内の牛で、残りの1頭も管内で生産された牛でした。
選出された農家の皆様おめでとうございます。鳥取全共まであと2か月、これからが勝負です、牛と共に頑張りましょう。
名号 | 出品者 | 講評 | |
---|---|---|---|
2区 {若雌} |
めぐふく | 戸田孝一 (新城市) |
体積・均称が優秀、特に体上線、伸び良好。体下線に残念な点 |
3区 {若雌} |
なつざくら | 春田高伸 (新城市) |
体積・均称優秀、体上線、体下線、皮膚も良。毛色淡し。肋張りもう少し欲しい。 |
9区 {去勢肥育} |
咲茂勝 | 石田隆身 (豊橋市) |
資質優秀で肉質に期待、体に余裕あり質、量とも良好と判断。 |
新城2303 | 中尾充紀 (安城市) |
群を抜く発育、肉量でも特に期待。仕上がりも最も優秀。 |
2区代表 「めぐふく」号 3区代表 「なつざくら」号
7月下旬の朝、管内養豚場から「ウインドウレスの母豚舎3区画において、母豚74頭(その区画の飼養母豚の86%)と、それらの
哺乳豚16頭が口から泡を吹いた状態で死亡している。」という通報が当所にありました。立ち入り検査をしたところ、生存していた
母豚と哺乳豚には伝染病を疑うような症状は認められず、比較的元気な様子でした。畜主に状況を聞くと、「昨日までは豚に異常はな
かった。今朝豚舎を見回ると、同区画の電気系統のブレーカーが落ち、換気ファンが停止していた。」ということでした。
このことから、換気ファン停止によるウインドウレス豚舎内の室温上昇が原因となった熱中症による死亡と診断しました。なお、
伝染病の恐れがないことを確認した全ての死亡豚は、同日中に死亡獣畜取扱場に搬入されました。
今回事故が起きた豚舎のブレーカーには、電流を遮断したことを知らせる警報システム等が付いていなかったため、畜主は夜間に換気
ファンが停止したことに気が付かず、多くの大事な母豚を犠牲にしてしまいました。もし警報システムが付いていれば、と悔やまれます。
暑い時季になると、このような事故が散見されますが、警報システム等を設置するなど事前に対処していれば、防止できることです。畜
舎の暑熱対策の一環として、電気系統のチェックも重要な項目であることを再認識させられた事故でした。
まだまだ暑い日が続くと思われますので、万全の体制を敷いてこのような事故が起こらないよう注意しましょう!
連日、気の遠くなるほど猛暑が続いています。人はこのような暑さを自ら避けることができますが、家畜は飼養者が適切な飼養環境を作
らない限り、暑熱ストレスを直接受けることになります。
家畜の中でも、特に鶏は全身を羽で覆われ汗腺のないことから、非常に暑さに弱い生き物です。鶏舎内の温度が32度を超えると、開口呼吸
することで体温を下げようとしますが、34℃以上になると、体力のない鶏は対応することができず、熱射病となり死亡します。
したがって、空調システムが完備されていない開放鶏舎では、早めの熱射病対策が必要となり、その対応が遅れると20%以上の鶏が死亡し
てしまうこともあります。
その対策として、以下のことが挙げられます。
1) 鶏舎内・鶏体の温度を下げる:
扇風機で風を送る。鶏舎内への噴霧・鶏体への散水。
2) 十分な飲水量と体内の酸・塩基バランスを保つ:
ウオーターピックだけでなく水樋に常に冷たい水を流し、充分に水が飲めるようにする。
0.5〜0.7%重曹を飼料あるいは飲水に添加する。
3) 体内の熱生産量を下げる:
8時〜13時頃までの給餌を停止して、飼料摂取による体内発熱増加と鶏舎内温度の上昇が重ならないようにする。
まだまだ、厳しい残暑が続くと思われます。上記の対策に十分留意し、鶏への暑熱に対するストレスの軽減に努めて下さい。
全国でも大変めずらしい子山羊品評会が、6月25日(月)豊川市の宝飯豊川畜産農業協同組合の家畜市場で盛大に開催されました。
この品評会は愛知県緬山羊協会が日本ザーネン種の改良発展を図ることを目的に主催し、今年で21回目を向かえ、昨年より6頭多い
この春産まれの県内産子山羊が47頭(雄14頭、雌33頭)の出品がありました。めずらしく小学校からの出品も、2校から6頭ありました。
当所所長を始め3名の審査委員により日本ザーネン種の体格審査標準に基づき、厳正な審査が行われた結果、最優秀賞(知事賞)には新城市の
川窪直一さん出品の雄「三州 川窪 1−3」号が選ばれました。西尾小学校から出品された「大地」号もみごと1等に入選しました。
品評会終了後、こちらも珍しくなった山羊のセリ市が開催され、106頭が上場されました。例年のように群馬、熊本等の遠隔県からも購買者が
集まり、活気のあるセリが行われました。常連購買者に混じり、愛玩目的の購入でセリにおずおず参加する家族連れもあり、ザーネン種の雄で
3万円前後、雌が2万円前後で取引され、シバヤギのような小型品種が意外と高値で落札されていたことが印象的でした。今後はますます、
ふれあい動物としての山羊飼養が進むものと思われました。
すでにご承知のように平成19年4月1日をもって、日本は "豚コレラ清浄国"となりましたが、本県は平成18年3月の国の指針を受け、
平成19年3月30日に「愛知県豚コレラ発生時防疫対応マニュアル」を定めました。
当所は、養豚関係者に本マニュアルの周知のための机上演習として、管内を3地区に分け、各地区において防疫対策研修会を開催しました。
第1回:平成19年6月22日(金)
豊川市、蒲郡市、新城市、御津町及び小坂井町
於ひまわり農協東部営農センター
第2回:平成19年6月28日(木)
豊橋市
於JA愛知経済連東三河センター
第3回:平成19年7月13日(金)
田原市
於サンテパルク田原
多数の参加、ありがとうございました。研修会場においては、机上演習終了後に発生時を想定して意見交換をおこないました。
また、養豚場への立入検査時や他の研修会・講習会などにおける養豚関係者との雑談の中でいろいろな指摘がありました。当所は、
こうした関係者の意見や指摘を踏まえ、非常時に備えた万全の体制を整えていきます。
なお、豚コレラに関する清浄性の維持確認のための調査も平成18年度と同様に実施しており、途中経過(延べ39戸301頭)
ですが、いずれも陰性を確認しています。
ケタミンは、獣医療の中で一般的に用いられていた麻酔薬ですが、ご存じのとおり平成19年1月1日からは、麻薬として指定されたため、
その所持や販売には法律で定められた麻薬卸売業者、麻薬施用者等の免許が必要となりました。
麻薬としての指定後、人体用医薬品としてのケタミン製剤が既に販売されていましたが、6月1日から、動物用医薬品としては初めての
麻薬製剤となるケタミン製剤が販売されることとなりました。
ケタミン製剤だけでなく、麻薬製剤については、『麻薬及び向精神薬取締法』や『薬事法』等の法律により、適正な使用や管理がもと
められています。今後もこれらの法律の厳守をお願いします。
なお、診療施設等での麻薬製剤の保管方法や帳簿の記載方法等については、下記のページを参考にして下さい。
医療機関及び薬局における麻薬・向精神薬・覚せい剤原料取扱の手引き(愛知県健康福祉部医薬安全課 HP内)
愛知県東部家畜保健衛生所
電話 0532-45-1141
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