ソフトドリンク中にベンゼン(続報)
2006年8月1日
このことについては、既に当サイトの5月17日付けのトピックスとして情報提供しました。その中で我が国の対応について、「情報収集を進め、検査するかどうかも含めて検討されている。」と記載しましたが、7月28日に厚生労働省から「清涼飲料水中のベンゼンについて」と題した報道発表がありましたので、その概要を提供します。
1 我が国での市販製品についての分析結果
市場に流通する清涼飲料水のうち、安息香酸とアスコルビン酸の両者が添加されている市販31製品について、5月以降、国立医薬品食品衛生研究所において、ベンゼンの含有量検査を実施したところ、その分析結果は次の表のとおりでした。
製品数(件) | 内訳(件) | 検出値(ppb) | |
---|---|---|---|
直接飲用 | 20 | 19 | <1〜7.8 |
1 | 73.6 | ||
希釈用 | 11 | 11 | <1〜2.4 |
計 | 31 | 31 | <1〜73.6 |
ppb:10億分の1の分率、この表では1μg/Lです。 |
2 厚生労働省の対応
- (1) 我が国では食品中のベンゼンに関する法定の基準値はありません。しかし、ベンゼンについての世界保健機関(WHO)飲料水ガイドライン値、及び、我が国の水道法のベンゼン基準値(共に10ppb)を超えた製品が1件あったことから、当該品の販売業者に対して回収を依頼しました。
- (2) 都道府県等及び業界団体を通じて、全国の清涼飲料水製造業者等に対して自社製品の実態を把握するなど所要の措置を講じるように要請しました。
- (3) このことについてのQ&A (PDF)を厚生労働省ウェブサイトに記載しました。
以上が概要ですが、やはり気になることは、このことが食品衛生上の懸念となるか否かです。5月17日付けの本トピックス情報において、食品衛生上の懸念はないと述べましたが、厚生労働省ウェブサイトのQ&A (PDF)にも同様な情報が提供されています。それは「ベンゼンが検出された清涼飲料水を飲んでも大丈夫ですか。」の問いに対して「ヒトのベンゼンの摂取源の大半が環境由来(大気)であるということから、環境由来のリスクに比較して食品由来のリスクは低く、食品からの摂取に多少の増大があったとしてもリスクの増大への寄与は少ないものと考えられています。」と結んでいます。