医薬部外品原料規格2021について
医薬部外品の成分規格が統合されました
医薬部外品原料規格(以下、「外原規」)2006が、令和3年3月25日付け厚生労働省医薬・生活衛生局長通知により改正され、外原規2021として制定されました。
本稿では、外原規2021における主な改正点について解説します。
外原規とは
外原規は、医薬部外品、化粧品の原料として配合することが認められた成分のうち、日本薬局方、食品添加物公定書及び日本産業規格に収載されている成分以外のものについてまとめたものです。
外原規は1991年(平成3年)に「染毛剤製造(輸入)承認基準」の別表2(有効成分)及び別表3(添加剤)に示された成分規格Ⅰ及びⅡをとりまとめて、薬務局長通知により制定されました。その後、染毛剤以外の医薬部外品(パーマネント・ウェーブ用剤、薬用歯みがき類、浴用剤等)成分の追加が行われました。
2006年(平成18年)には、化粧品に使用される成分の規格である「化粧品原料基準」及び「化粧品種別配合成分規格」に収載されていた成分の多くが、別記Ⅱ(主に医薬部外品の有効成分として使用されない成分)に収載され、外原規2006として制定されました。その後も通知により一部改正が行われてきましたが、令和3年3月25日医薬・生活衛生局長通知により、別記Ⅰ(主に医薬部外品の有効成分として使用される成分)及び別記Ⅱを統合するなどの改正により外原規2021が制定されました。
外原規の構成は、通則、一般試験法、標準品等規格及び成分規格等からなります。通則は、外原規全体に適用される一般的・包括的な規定です。一般試験法は、成分規格で用いられる試験の共通部分及び関連事項をとりまとめたものです。標準品等規格は、試験で使用される標準品及び試薬等の規格です。成分規格は、原料として配合することが認められた成分の個別規格です。
外原規2021における主な改正点
外原規2021では、「第十七改正日本薬局方作成基本方針」に基づき、医学薬学等の進展に対応するとともに、諸外国における基準との調和を図るため、以下に示した点を中心に改正が行われました。
- 1.通則を整理統合した。
- 従来の通則は、<共通>、<別記Ⅰ>及び<別記Ⅱ>に分かれていましたが、今回、これが統合されました。これに伴い、別記Ⅰについては日本薬局方に準拠することとされていたものを削除し、各条は全て外原規の通則及び一般試験法の規定により判定することとするなど、全体の見直しが行われました。
- 2.別記Ⅰ中の試薬・試液及び容量分析用標準液について一般試験法の同項にそれぞれ整理集約した。
- 試薬・試液及び容量分析用標準液については、従来、一般試験法として規定されているほか、別記Ⅰにも規定されていました。これらの中には、同じものや同じものでありながら異なる名称で重複して規定されているもの、同じ名称にもかかわらず規格内容が異なるものなどが収載されていたため、これらが整理集約されました。また、すでに廃止された日本産業規格(JIS)で規定されていたものについて、新たに規格が設定されました。なお、容量分析用標準液についても同様に整理集約されました。
- 3.規格各条の別記Ⅰと別記Ⅱの区別を廃止し、五十音順に列記した。
- 外原規2006では別記Ⅰと別記Ⅱを分けていましたが、外原規2021では別記Ⅰ及び別記Ⅱが統合されました。なお、外原規2006は様々な規格を取り込んだ経緯があり、別記Ⅰに収載されていた成分のうち主に染毛剤に使用される成分については、規格各条の書きぶりが異なる点がみられますが、今回の統合に際しては、規格各条の記載内容については基本的に変更されていません。
- 4.一般試験法及び規格各条について必要に応じて見直した。
- 一般試験法について、2項目が新たに収載され、既収載の17項目が改められました。これにより、収載されている試験法は84項目となりました。また、成分規格各条について、既収載の1453品目の規格が改められ、1品目が削除されました。これにより収載品目は2647品目となりました。
詳しくは、厚生労働省の化粧品・医薬部外品等ホームページを参照してください。