愛知県衛生研究所

「ジャガイモによる食中毒」に注意しましょう

2010年4月14日

平成22年2月、愛知県内の小学校において、児童らが栽培したジャガイモを調理して食べたところ、おう吐、腹痛などの症状を呈する食中毒が発生しました。当衛生研究所で、原因物質を科学的に特定するため、その残品を直ちに検査したところ、有毒な成分として知られるソラニンやチャコニン(ソラニン類)が検出されました。

ソラニン類とは

ソラニン類は、主にジャガイモの芽や皮などに含まれるステロイド系アルカロイド配糖体の1つで、溶血作用や抗コリンエステラーゼ作用などを有し、主な中毒症状は、おう吐、腹痛、めまいなどです。また、ソラニン類は、熱に比較的強いため、加熱調理によってほとんど分解されません。

ソラニン
α-ソラニンの化学構造

ソラニン類の分析

検体は、ソラニン類が水に溶けやすい性質を利用して、抽出、精製などの前処理をしたのち液体クロマトグラフィーで分析します。精密にソラニン類と特定するためには、質量分析計を用います。この液体クロマトグラフィー/質量分析計を用いた時、0.5 ppmレベルのソラニン類を検出することが可能です。今回の検査では、「調理していないジャガイモ」、「調理したジャガイモ」、「食べる前に児童が取り除いた皮」、「患者おう吐物」のいずれからもソラニン及びチャコニンが検出されました。

ソラニン中毒を防ぐポイント

①芽や皮を十分に取り除く、②未熟なジャガイモは食べない、③光に当てない、④涼しい場所で保管する、などに注意すれば、食中毒を防ぐことができます。また、過去の食中毒事例から、児童は成人よりも少量のソラニン類の摂取で中毒症状が現れますので、大量に食べないよう注意しましょう。

(参考)
ネットあいち「ジャガイモによる食中毒について」
○食品衛生学雑誌  Vol. 45, No. 5, p 277-282 (2004).
食品衛生学雑誌は、こちらから入手できます。
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