○職場実習及び実戦実習実施要領の制定

平成27年7月1日

務教・学校・地総・刑総発甲第160号

この度、別記のとおり職場実習及び実戦実習実施要領を制定し、平成27年9月28日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、職場実習及び実戦実習実施要領の制定(平成17年務教・学校・地総発甲第58号。以下「旧通達」という。)は同日限り廃止する。ただし、平成27年3月31日以前に採用された警察官については、旧通達第15の1に規定する採用時教養修了証(様式第7)の交付を除き、従前の例によるものとする。

別記

職場実習及び実戦実習実施要領

第1 趣旨

この要領は、採用時教養実施要領の制定(平成15年務教・学校発甲第1号)第2章の第5の規定に基づき、愛知県警察学校(以下「警察学校」という。)における初任科を修了して警察署に配置された警察官に対して実施する職場実習及び初任補修科を修了した警察官に対して実施する実戦実習について必要な事項を定めるものとする。

第2 職場実習及び実戦実習の目的

1 職場実習は、実習指導員のマンツーマンによる指導の下に、現場での実習、勤務の経験等を通じて、地域警察官として必要な基礎的知識及び技能を修得させることを目的とする。

2 実戦実習は、単独勤務においても適正に職務を遂行し得ることを目的とする補強教養を行うことにより、地域警察官として必要な実務能力を修得させることを目的とする。

第3 職場実習の期間等

1 期間

職場実習の期間は、原則として、地域実習にあっては2か月、捜査実習にあっては1か月とする。ただし、警務部長は、必要があると認める場合は、長期課程にあっては最大4か月まで、短期課程にあっては最大3か月まで地域実習を延長することができるものとする。

2 順序

職場実習は、地域実習、捜査実習の順で行うものとする。ただし、職場実習生(職場実習を受ける警察官をいう。以下同じ。)が配置された警察署の教養実施責任者(愛知県警察教養規程(平成13年愛知県警察本部訓令第35号。以下「教養規程」という。)に規定する教養実施責任者をいう。以下同じ。)は、多数の職場実習生が捜査実習を同時に行うことにより、捜査実習の効果が著しく低下し、又は刑事課の業務に著しく支障が生じると認める場合は、地域実習を1か月行わせた後、職場実習生の人数を分割し、捜査実習を順次実施することができるものとする。

第4 実戦実習の期間等

実戦実習の期間は、原則として、長期課程にあっては5か月、短期課程にあっては4か月とする。

なお、第3の1の規定により職場実習の期間を延長した場合は、実戦実習の期間から当該延長した期間を短縮するものとする。

第5 指導体制等

1 指導体制

(1) 職場実習及び実戦実習(以下「実習」という。)の指導体制として、実習生(職場実習生及び実戦実習生(実戦実習を受ける警察官をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)が配置された警察署に、教養規程に規定する教養実施責任者、教養担当者、副教養担当者及び教養指導者のほか、実習指導員を置くものとする。

(2) 実習における教養指導者及び実習指導員には、それぞれ次に掲げる者をもって充てる。

ア 教養指導者 実習生が実習を行う課の長とし、当該課に課長代理が配置されている所属については、当該課長代理がそれぞれの課長を補佐するものとする。ただし、留置管理業務に係る基礎教養については、留置主任官(愛知県警察留置管理規程(平成19年愛知県警察本部訓令第18号)第5条に規定する留置主任官をいう。以下同じ。)が行うものとする。

イ 実習指導員 実習に係る業務を担当する課の警部補以下の警察官で、次の全ての事項に該当する者のうち教養実施責任者が指定するもの

(ア) 実習指導員としてふさわしい指導力、行動力及び実務能力を有していること。

(イ) 勤務成績が優れていること。

(ウ) 人格的に優れていること。

2 教養担当者等の責務

教養担当者、副教養担当者、教養指導者及び実習指導員(以下「教養担当者等」という。)は、実習に関し、それぞれ次に掲げる責務を有する。

ア 教養担当者は、教養実施責任者の命を受け、実習計画の策定に関し、副教養担当者、教養指導者及び実習指導員の指揮に当たるものとする。

イ 副教養担当者は、教養担当者の命を受け、教養指導者と協議して実習の実施計画を策定し、実習の円滑かつ効果的な推進を図り、及び実習生の生活面の指導を行うものとする。

ウ 教養指導者は、実習指導員を指揮して、実習生の実習状況を把握し、教養担当者及び副教養担当者と協議し、警務部長が別に定める実習記録表に示す実習項目(以下「実習項目」という。)を修得させるため、実習を計画的に推進するものとする。

エ 実習指導員は、担当する実習生に対し、実地の指導教養を行い、実習生の実務能力の向上を図るものとする。

3 指導体制に含まれない職員の責務

実習生が配置された警察署の職員は、実習生を愛知県警察の中核となる人材に育てるとの目的を持って、積極的に教養担当者等を援助するとともに、適宜の方法により実習生を指導するものとする。

第6 指導形態

1 職場実習

職場実習は、実習指導員のマンツーマンによる同行指導の下に行うものとする。ただし、第3の1の規定により延長された地域実習については、職場実習生の能力、修得状況等を勘案して、実習指導員の同行の下で独力の勤務を行わせることができる。

2 実戦実習

(1) 実戦実習は、実習の効果を高めるため、実戦実習生の能力、修得状況等を総合的に勘案し、地域課における実習においては、原則として実習指導員の管理及び指導の下で実戦実習生の独力による勤務を行わせるものとする。

(2) 地域課以外の課における実習においては、原則として実習指導員のマンツーマンによる同行指導の下に行わせるものとする。

第7 実習内容

1 基礎教養

基礎教養は、基礎教養実施基準表(別表)に基づき、地域実習の冒頭において、2日間で行うものとする。

2 地域実習及び実戦実習

(1) 地域実習(基礎教養を除く。以下同じ。)及び実戦実習は、実習項目に基づき指導を行うものとし、基本的な地域警察活動を確実に修得させるものとする。また、地域実習においては、地域警察官として必要とされる基本的な捜査書類の作成能力を確実に修得させるものとする。

(2) 教養実施責任者は、実戦実習生の能力、修得状況等を総合的に勘案して、実習指導員が担当する受持区の一部を当該実習生の受持区として指定することができるものとする。

(3) 教養実施責任者は、実戦実習生の実務能力向上のため、原則として、生活安全課、交通課及び警備課における実習を行わせるものとする。この場合においては、当該課の課長又は課長代理を教養指導者に、実地の教養指導に当たる警部補以下の者を実習指導員に指定するものとする。

3 捜査実習

捜査実習は、実習項目に基づき行うものとする。また、当該実習においては、警察署当番又は当直勤務を必須とし、当該勤務を通じて、数多くの事件等を経験させることにより、司法警察職員として必要とされる基本的な捜査実務能力を修得させ、及び捜査部門における初動捜査要領を理解させるものとする。

第8 実習指導員の指定等

1 教養実施責任者は、初任科卒業生の配置予定数が通知された場合及び人事異動等に伴い実習指導員を変更する場合は、警務部長が別に示す方法により、第5の1の(2)のイで定める基準を満たす地域課の実習指導員候補者を警務部長に報告(教養課長経由。以下同じ。)するものとする。

2 警務部長は、1により報告を受けた候補者について、実習指導員としての適性を審査するものとする。

3 教養実施責任者は、2の結果及び警察学校長(以下「校長」という。)から提供される配置予定者に関する情報を踏まえ実習指導員を指定し、実習計画を警務部長に報告するものとする。

4 実習先の交番(以下「実習交番」という。)は、その所管区内における治安情勢及び交番の施設環境並びに実習生の年齢、性別、経験等を総合的に勘案して選定するものとする。

5 地域実習及び地域課における実戦実習の実習指導員は、原則として、同一の者とする。

6 教養実施責任者は、実習項目又は実習内容により、実習指導員以外の者による指導の方が効果的であると認められる場合は、教養指導者管理の下、一時的にその者に指導させることができる。

7 教養実施責任者は、実習生に実習を中断すべき事情が生じた場合は、速やかに警務部長に報告するものとする。

第9 実習結果の記録等

1 実習生は、常に実習の進捗状況を実習指導員と共に確認し、不足する点について積極的に教養担当者等の指導を求めるものとする。

2 実習指導員は、実習の結果をその都度、実習記録表に記載し、以後の実習に活用するものとする。

3 実習生及び実習指導員は、職場実習修了時に職場実習の結果を関係部長が別に示す職場実習結果報告書により、教養実施責任者に報告するものとする。

4 実習生は、職場実習において経験した実習項目、感想、反省点等について、職場実習日誌(別記様式)により教養指導者に報告するものとする。

第10 勤務管理等

1 教養実施責任者は、捜査実習期間中は、実習生に対し、刑事課との兼務を発令するものとする。

2 教養実施責任者は、原則として実習指導員の転用勤務及び配置換えを行わないものとする。ただし、やむを得ず配置換えを行ったときは、第8の1と同様の方法により、新たに実習指導員を指定し、警務部長に報告するものとする。

第11 留意事項

1 教養実施責任者は、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 実習指導員の指定及び実習交番の選定に当たっては、実習生の採用区分その他の特性を考慮すること。

(2) 警察署の諸行事、各種術科訓練等に実習生を参加させる場合には、実習に支障のない範囲とすること。

(3) 実習生に体力の維持及び向上に努めさせるとともに、運動習慣を身に付けさせること。

(4) 職場実習期間中は、現行犯人の逮捕等緊急を要する事案に対応する場合を除き、職場実習生に単独での職務執行は行わせないこと。

(5) 原則として、実習生を待機寮に居住させること。

2 実習指導員は、実習生の能力、特性等に応じた指導に努めるとともに、実習生が主体的に実習項目を経験することができるよう配意するものとする。

第12 相互の連絡

1 校長は、必要があると認める場合は、警察学校の主任教官又は教官(以下「主任教官等」という。)を実習生の所属する警察署に派遣し、教養担当者等と連携して実習生の指導を行わせるものとする。

2 教養実施責任者は、必要に応じて、実習生、教養担当者等、教養課員又は主任教官等を交えた検討会を行い、実習の進度を把握し、効果的な実習を推進するものとする。

3 教養実施責任者は、実習指導員(実習指導員の候補者を含む。)に対して、実習の重要性、意義、目的等を教養するとともに、校長及び教養課長と連携して実習生の指導に必要な知識及び技能を修得させるための教養を実施するものとする。

第13 実戦実習修了時の措置

教養実施責任者は、警察署において、教養担当者等及び実戦実習生による初任総合検討会を開催し、実戦実習生の実習項目の修得状況等を確認して必要な指導を行うものとする。

〔平29務教・学校発甲12号同務教・学校・地総・刑総発甲185号令元務教発甲180号令2務教・学校・地総・刑総発甲181号・本別記一部改正〕

別表

〔平29務教・学校・地総・刑総発甲185号・本表一部改正〕

基礎教養実施基準表

教養項目

教養内容

担当者

時間

実施方法

訓育

1 警察官としての心構え

2 規律の保持及び各種事故の防止

3 その他必要な事項

教養実施責任者及び教養担当者

2

講義

管内概況等

1 管内概況

(1) 管内の地理及び実査

(2) 犯罪の発生状況等

2 署の基本方針

3 各課又は係の分掌事務の概要

副教養担当者及び教養指導者

2.5

講義又は同行

留置管理業務

1 留置管理業務の概要

2 護送要領

3 看守要領

留置主任官

2

講義又は実習

拳銃、装備資機材等の取扱い

1 拳銃の取扱い及び保管

2 支給品、貸与品及び装備資機材の取扱い

3 通信機器の取扱い

副教養担当者及び教養指導者

2

講義又は実習

交番における勤務要領

1 地域警察官の任務及び心構え

2 交番における勤務要領

3 職場実習記録表等の記載要領

教養指導者又は実習指導員

6

講義又は同行

私生活の在り方

1 寮生活その他の私生活の心構え

2 余暇の利用

3 自己啓発

副教養担当者及び教養指導者

1

講義

合計 15.5時間

〔平29務教・学校・地総・刑総発甲185号令元務警発甲93号・本様式一部改正、令2務教・学校・地総・刑総発甲181号・旧様式2全部改正〕

画像

職場実習及び実戦実習実施要領の制定

平成27年7月1日 務教・学校・地総・刑総発甲第160号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第3編 務/第3章 養/第1節
沿革情報
平成27年7月1日 務教・学校・地総・刑総発甲第160号
平成29年 務教・学校・地総・刑総発甲第185号
平成29年 務教・学校発甲第12号
令和元年 務教発甲第180号
令和元年 務警発甲第93号
令和2年 務教・学校・地総・刑総発甲第181号
令和5年3月17日 務警発甲第46号