○愛知県警察巡回連絡推進要綱の制定
平成9年9月18日
地総発甲第62号
地域の実態に即し、かつ住民の要望及び意見にこたえた活動を行うため、別記のとおり愛知県警察巡回連絡推進要綱を制定し、平成9年9月18日から実施することとしたから、その効果的な運用に努められたい。
別記
愛知県警察巡回連絡推進要綱
第1 目的
この要綱は、巡回連絡の実施に関し必要な事項を定め、もって、住民の要望及び意見にこたえた巡回連絡活動を効果的に継続することにより、住民の安全で平穏な生活を確保することを目的とする。
第2 準拠
巡回連絡の実施については、地域警察運営規則(昭和44年国家公安委員会規則第5号)、愛知県地域警察運営規程(令和5年愛知県警察本部訓令第25号)及び愛知県地域警察運営規程の運用(令和5年地総発甲第179―1号)に定めるもののほか、この要綱に定めるところによるものとする。
第3 定義
この要綱における用語の意義は、次のとおりとする。
(1) 地域課長等 地域課長(地域交通課長を含む。)、地域課長代理及び交番所長をいう。
(2) 受持警察官 受持区を担当する地域警察官をいう。
(3) 役員等 警察署長が地域の実態把握及び地域住民との良好な関係を保持するために緊密な連携を図る必要があると認める各種議会の議員及び町内会長等の地域の役員をいう。
(4) 巡回連絡専従員 巡回連絡に専従する地域警察官をいう。
(5) 連絡簿 別に地域部長が定める連絡表(以下「連絡表」という。)をつづり込んだ簿冊であって交番及び駐在所に備え付けて保管する簿冊をいう。
(6) 未面接世帯 受持区内の住宅及び事業所(以下「世帯」という。)で連絡表が作成されていないものをいう。
第4 実施基準
巡回連絡は、おおむね4年間で管内の全世帯を訪問して行うものとする。
第5 実施要領
1 住民との良好な関係の保持
地域警察官は、巡回連絡の実施に当たっては、住民からの要望等を聴取するとともに、訪問先の住民に応じ、次に掲げる事項について、情報提供を行うなど、住民との良好な関係の保持に努めるものとする。
ア 最近における犯罪及び災害事故の傾向並びにその被害の防止方法
イ 訪問先の住民が被害に遭う可能性の高い犯罪又は災害事故の発生状況及びその被害の防止方法
ウ 犯罪、災害事故等の発生時における応急措置及び緊急の連絡方法
エ 訪問先の住民に教示する必要があると認められる警察に対する諸願届の手続の方法
オ その他訪問先の住民の安全で平穏な生活を確保する上で必要な事項
2 巡回連絡の実施
(1) 連絡表の作成
地域警察官は、巡回連絡の実施に当たっては、連絡簿を携行し、面接した住民から必要事項を聴取して連絡表を作成するものとする。
なお、面接した住民が外国人である場合は、利便を考慮して、必要に応じ、英語、中国語、ポルトガル語等により作成された様式の連絡表を使用するものとする。
(2) 連絡表の廃棄
地域警察官は、巡回連絡を実施した結果、転出が確認された家庭、事業所の連絡表については、地域部長が別に定める手続により、確実に廃棄処理をするものとする。
(3) 不在世帯対策
地域警察官は、昼間、巡回連絡を実施しようとしたが不在のため面接できなかった場合で、昼間は留守がちであると認められるときは、その生活実態に合わせ、事前に地域課長等(地域課長代理が配置されていない所属については当務係長を含む。以下この(4)において同じ。)の承認を受け、夜間(午後8時までとする。)に巡回連絡を実施するものとする。
ただし、住民が希望し、又は承諾した場合は、事前に地域課長等の承認を受けて、午後8時以降に巡回連絡を実施するものとする。
(4) 要望等の的確な措置
地域警察官は、住民からの要望等のうち警察措置の必要な事項については、地域課長等に報告し組織的な解決を図るとともに、措置結果は、可能な限り当該住民に知らせるようにするものとする。
(5) 役員等に対する措置
地域警察官は、役員等に対して巡回連絡を行う場合は、役員等の居住する地域における犯罪や事故の実態について情報交換を行い、地域の安全と平穏を確保するための指導や協力依頼など受持責任を果たすために必要な連携に努めるものとする。
(6) 連絡簿の保管等
連絡簿は、施錠のできるキャビネット等に収納して保管するとともに、常に保管状況を確認し、情報が漏れることのないよう留意するものとする。
第6 地域課長等及び当務係長の任務
1 指導教養
(1) 部下に対する指導教養の徹底
地域課長等は、部下に対して、巡回連絡が住民の安全で平穏な生活を確保するために不可欠なものであることを十分認識させ、部下の実務能力、特性等に応じた必要な指導教養を徹底するものとする。
(2) 役員等に対する巡回連絡の指導
地域課長等は、地域警察官が役員等に対する巡回連絡を実施するに当たり、提供する情報を具体的に指示するなど適切な指導を行うものとする。
2 巡回連絡活動の推進
(1) 受持区の調整
地域課長等は、巡回連絡の推進状況を勘案し、受持区の調整の検討を定期的に行うものとする。
(2) 勤務変更の抑制
ア 当務係長は、緊急やむを得ない場合以外は巡回連絡時間帯の勤務変更を承認しないものとする。ただし、やむを得ず勤務変更を承認した場合は、必ず代替時間を確保させるものとする。
イ 当務係長は、地域警察官が巡回連絡を実施中に、当該区域内において事案が発生した場合は、稼働中の自動車警ら班の勤務員に優先的に当該事案の処理をさせるなどして、巡回連絡時間の確保を図るものとする。
(3) 専従日の設定
地域課長等は、受持区ごとの巡回連絡活動の実施状況を掌握し、低調な受持区については、重点的に巡回連絡を実施する日を指定するなどして、巡回連絡の促進を図るものとする。
3 推進状況の把握
地域課長等は、交番及び駐在所の巡回連絡推進状況を把握し、及び検証するため、連絡簿の点検を毎月実施するものとする。
検証の結果、巡回連絡の実施に不備が認められる場合その他の必要があると認める場合は、受持警察官の指導及び巡回連絡の補完に努めるものとする。
第7 巡回連絡専従員
1 指定
警察署長は、大規模団地又は高層住宅街を管轄するため巡回連絡の推進が著しく困難な場合、治安維持上早急に居住実態等を把握する必要がある場合その他巡回連絡を集中して推進する必要がある場合に、地域課(地域交通課を含む。以下同じ。)の警察官の中から巡回連絡専従員を指定することができる。
2 巡回連絡の実施等
警察署長は、巡回連絡専従員を指定した場合は、次により巡回連絡を行わせるものとする。
ア 実施対象
巡回連絡専従員は、警察署長が指定した受持区の世帯に対して巡回連絡を行うものとする。
イ 勤務制及び勤務基準
巡回連絡専従員は、毎日勤務とし、勤務基準は次表のとおりとする。
勤務方法 | 勤務時間 |
巡回連絡 | 5~6時間 |
在所 | 1~2時間 |
教養 | 1時間以内 |
合計 | 7時間45分 |
第8 効果的かつ効率的な巡回連絡の推進
1 大規模団地に対する集中的な巡回連絡の実施
地域課長等は、集合住宅が多数ある大規模団地で、巡回連絡の推進が著しく困難な区域については、巡回連絡専従員の投入、受持警察官の複数指定等を行い、集中的な巡回連絡の実施に努めるものとする。
2 未面接世帯等に対する巡回連絡の推進
(1) 新興住宅地、新築の住宅等に対する巡回連絡の実施
ア 地域警察官は、平素から新興住宅地、新築の住宅、アパート、マンション等に関する情報を把握し、優先的に未面接世帯に対する巡回連絡を実施するものとする。
イ 地域警察官は、新築のアパート、マンション等に関する情報を把握したときは、管理者等と連携した上、入居説明会等に出席するなどして、巡回連絡に対する理解と協力を求めるように努めるものとする。
(2) 諸願届受理時の措置
地域警察官及び交番相談員は、管内に居住する住民からの諸願届の受理等に当たる場合において、当該住民が未面接世帯の住民であるときは、当該住民から必要事項を聴取して連絡表を作成することができるものとする。
(3) 弾力的な巡回連絡の実施
地域警察官は、巡回連絡以外の所外活動中においても必要により連絡表を携行し、未面接世帯を確認した場合は、その都度、巡回連絡を実施するものとする。
(4) 長期間面接できていない世帯に対する巡回連絡の実施
地域警察官は、未面接世帯のほか、既に面接済みの世帯であっても、長期間面接できていない世帯に対しては、優先的に巡回連絡を実施するものとする。
3 情報交換の実施
警察署長は、巡回連絡を実施する上で必要な情報について、あらゆる機会を通じて地域警察官と地域課以外の署員の情報交換を行わせるものとする。
4 交番相談員の効果的な活用
警察署長は、交番相談員の勤務日等を調整することにより、地域警察官の巡回連絡時間の確保を図るものとする。
第9 連絡簿の適正な管理
1 管理体制
連絡簿を適正に管理するため、警察署に次に掲げる者を置き、それぞれに掲げる者をもって充てる。
ア 総括管理責任者 警察署長
イ 管理責任者 地域課長又は地域交通課長
ウ 取扱責任者
(ア) 交番所長が配置されている交番にあっては、当該交番所長
(イ) (ア)以外の交番で班長が指定されている交番にあっては、当該班長
(ウ) (ア)及び(イ)以外の交番にあっては、当該交番の受持警察官
(エ) 駐在所にあっては、当該駐在所の受持警察官
2 任務
(1) 総括管理責任者は、連絡簿の適正な管理に関する総括的な指導監督を行うものとする。
(2) 管理責任者は、連絡簿の適正な管理に関して総括管理責任者を補佐し、取扱責任者その他受持警察官に対する具体的な指導監督を行うものとする。
(3) 取扱責任者(1のウの(ア)及び(イ)に掲げる者に限る。)は、連絡簿の適正な管理に関して個々の受持警察官を指導監督するとともに、自己の受持区に係る連絡簿を適正に管理するものとする。
(4) (3)に掲げる取扱責任者以外の取扱責任者は、自己の受持区に係る連絡簿を適正に管理するものとする。
3 地域課長代理等による補助
総括管理責任者は、連絡簿の適正な管理に関し、地域課長代理に管理責任者を、交番所長が配置されている交番の班長に当該交番の取扱責任者をそれぞれ補助させるものとする。
4 巡視の機会を利用した管理状況の点検等
地域警察幹部は、巡視の機会を通じ、交番及び駐在所における連絡表の作成、保管等の状況を点検し、必要な指導を行うものとする。
第10 巡回連絡活動に対する表彰
1 署長賞揚の上申
地域課長等は、受持警察官の巡回連絡活動について、困難度及び達成度、住民との関係の良好度等を総合的に勘案し、優秀者の署長賞揚を上申するものとする。
2 本部長表彰等の上申
地域部長は、受持警察官のうち、特に優秀と認められる者については、上半期及び下半期ごとに本部長表彰の上申又は地域部長賞揚を行うものとする。
第11 この要綱に定めるもののほか、巡回連絡の実施に関し必要な細目的事項は、地域部長が別に定めるものとする。
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