○愛知県警察用船舶運用要綱の制定

平成27年4月22日

地総発甲第132号

この度、警察用船舶の適正な運用を図ることにより、効果的な水上警察活動を推進するため、別記のとおり愛知県警察用船舶運用要綱を制定し、平成27年5月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、愛知県警察用船舶広域運用要綱の制定(平成元年ら勤発甲第40号)は、平成27年4月30日限り廃止する。

別記

愛知県警察用船舶運用要綱

第1 趣旨

この要綱は、愛知県警察における警察用船舶(船内に推進機関を有するものに限る。以下「船舶」という。)の運用、水上警察活動に従事する警察官等の勤務等について、必要な事項を定めるものとする。

第2 準拠

船舶の運用については、海事法令の定めによるほか、この要領の定めるところによる。

なお、船舶の使用及び管理については、愛知県警察船舶管理規程(令和5年愛知県警察本部訓令第37号)及び愛知県警察船舶管理規程の運用(令和5年総装・地総発甲第223号)に定めるところによるものとする。

第3 用語の定義

この要綱における用語の意義は、次のとおりとする。

(1) 活動水域 愛知県警察が管轄する陸地から続く水面の船舶の可航水域をいう。

(2) 運用水域 船舶運用水域図(別図)により区分したそれぞれの水域をいう。

(3) 基本運用水域 活動水域のうち、船舶を配置された警察署(以下「配置警察署」という。)の管轄する陸地から続く水面が含まれる運用水域をいう。

(4) 広域運用 基本運用水域を越えて行う船舶の運用をいう。

第4 運用体制

1 総括船舶運用責任者

(1) 警察本部に総括船舶運用責任者(以下「総括責任者」という。)を置き、地域部長をもって充てる。

(2) 総括責任者は、船舶の運用に関する事務を総括し、他の警察部門と緊密な連携のもとに、効果的な水上警察活動を推進するものとする。

2 船舶運用責任者

(1) 配置警察署に船舶運用責任者(以下「運用責任者」という。)を置き、警察署長をもって充てる。

(2) 運用責任者は、配置された船舶の効率的な運用を図るものとする。

第5 運用の方針

1 総括責任者は、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 船舶の活動計画の策定等船舶の運用に関し、必要な事項について、運用責任者及び関係する警察署長間の調整を行うものとする。

(2) 災害、突発事案その他社会的反響が大きい事案が発生し、又はその発生が予想される場合は、船舶を一元的に指揮統制して運用することができる。

(3) 船舶の効力を発揮するため、運用責任者に対し、基本運用水域に限定することなく、広域運用を計画的に実施させ、警察官による広域的な水上警察活動(以下「広域活動」という。)を行わせる。

2 運用責任者は、船舶運用を計画するに当たり、次に掲げる事項を基本とする。

(1) 運用の基本は、基本運用水域とする。

(2) 総括責任者の方針による、広域運用を計画的に実施し、広域活動を行うものとする。

なお、その基準は、広域活動水域区分表(別表)の定めるところによるものとする。

3 基本運用水域であっても、船舶を係留する港を含む基本運用水域を越えた場合は、広域運用とみなす。

第6 運用責任者の留意事項

運用責任者は、船舶の運用に当たり、次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 水上警察活動を行うために船舶を運用する場合は、必ず警察官を乗船させるとともに、海技免許又は小型船舶操縦免許を所持する船舶の運航に携わる職員(以下「海技職員」という。)2名以上を乗船させ、事件、事故等への適切な対応及び水上交通の安全を確保させること。ただし、船舶のうち船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和26年法律第149号)第2条第4項に規定する小型船舶に該当するものについては、海技職員の配置状況や勤務状況を考慮し、運用責任者の判断により海技職員1名で運用することができる。この場合において、安全運航上必要な措置を講ずるものとする。

また、整備に伴う運航等水上警察活動以外の運用については、海技職員のみで運用できるものとする。

(2) 気象、海象状況等により、船舶の運航に危険が伴うと判断される場合は、必要な安全措置を講ずること。

(3) 夜間の運用に当たっては、照明装置、レーダー等の装備資器材を有効に活用させ、事故防止に努めること。

(4) 海上保安庁、税関等の関係機関と常に連携を図るとともに良好な関係を保持すること。

第7 任務

1 水上警察活動に従事する警察官

犯罪の取締り、水難事故防止等を期すため船舶による警戒、警ら等を行うなど水上における各種警察活動に従事し、事件又は事故の処理に当たっては、犯人の追跡逮捕、危険防止等の第8において準用される範囲における初動的な措置を行うものとする。

2 海技職員

(1) 水上警察活動に従事する警察官が適切に任務を遂行できるよう、安全かつ的確な船舶運航を行うものとする。

(2) 水上警察活動に従事する警察官を補助するものとする。

3 留意事項

(1) 現場においては、海上保安庁、税関等の関係機関と連携を図り、協力して海上の安全を確保すること。

(2) 水難救助事案に適切に対応するため、日頃より船舶に配備された救助器具等必要な装備資器材を点検し、及び保管場所を把握するとともに、その使用方法を熟知しておくこと。

(3) 海事法令を遵守し、船舶の安全運航を確保するとともに、受傷事故防止に努めること。

第8 初動的な措置の範囲

1 地域警察官の業務処理基準の制定(平成12年地総発甲第12号)2の規定(船舶による水上警察活動において処理されるべき業務に限る。)は、水上警察活動における初動的な措置の範囲について準用する。この場合において、「地域警察官」を「水上警察活動に従事する警察官」と読み替えるものとする。

2 水上警察活動に従事する警察官は、事件、事故等の処理に当たっては、迅速かつ的確な初動的な措置を行うものとする。

なお、活動水域に係る配置警察署の管轄する陸地から続く水面での処理については、自署の主管課(係)員に引き継ぐものとする。

第9 配置警察署以外への事件、事故等の引継ぎ

運用責任者は、活動水域に係る配置警察署以外の警察署の管轄する陸地から続く水面において取り扱った事件、事故等については、必要な初動的な措置を講じた後、原則として、取り扱った場所から最も近い陸地を管轄する警察署長に引き継ぐものとする。ただし、次に掲げる場合は、それぞれに定める警察署長に引き継ぐものとする。

(1) 発生源が陸地にあることが明確である事案については、当該陸地を管轄する警察署長

(2) 関係警察署が複数あり疑義が生じ、関係警察署間で協議してその処理方針を定めた場合は、業務処理を担当することとなった警察署長

第10 警ら要点

1 運用責任者は、基本運用水域において次に掲げる場所をおおむねの基準として警ら要点を定めるものとする。

(1) 沿岸又は港湾における船舶(この1、第12の1のウ及び第12の2において、警察用船舶以外の船舶をいう。)の航行及び停泊が多い場所

(2) 密出入国、密貿易、密漁事犯等の発生するおそれのある場所

(3) 海水浴場等において遊泳する者、スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその他の船舶等が多く集まる場所

2 警察署長は、必要により1の(1)から(3)までに示す事項を基準とし、管轄する陸地から続く水面に係る活動水域における警ら要点を定め、関係する運用責任者に通知するものとする。また、通知を受けた運用責任者は、その警ら要点に係る場所において船舶を運用した場合は、当該警察署長に通知するものとする。

3 1又は2により警ら要点を定めた運用責任者及び警察署長は、その警ら要点について常に検討を加え、情勢に応じ適宜変更するものとする。

4 1又は2により警ら要点を定めた場合及び3により変更した場合は、総括責任者(地域総務課長経由。以下同じ。)に報告するものとする。

第11 水上警察活動に従事する警察官等の勤務

1 勤務制及び勤務時間

船舶の運用に従事する警察官及び海技職員の勤務制及び勤務時間は、愛知県警察職員の勤務時間等及び勤務管理に関する規程(令和5年愛知県警察本部訓令第22号)の定めるところによるものとする。

2 水上警察活動に従事する警察官に係る勤務方法

(1) 通常基本勤務

通常基本勤務は、船舶警ら、訪船連絡及び待機により行うものとする。

(2) 特別勤務

特別勤務は、通常基本勤務以外の活動で、次に掲げる特別な活動を行う必要がある場合に行うものとする。

(ア) 緊急配備のための活動

(イ) 現場出動、捜索救助その他事件、事故等の処理のための活動

(ウ) 雑踏警備のための活動

(エ) 各種教養の受講等組織管理上必要と認められる活動

(オ) (ア)から(エ)までに掲げるもののほか水上警察活動を行うため、必要と認められる場合に行う活動

3 勤務基準及び勤務例

(1) 運用責任者は、次表に基づき、水上警察活動に従事する警察官に係る通常基本勤務別の勤務時間の割り振りの基準(以下「勤務基準」という。)を策定するものとする。

勤務方法

勤務時間

当務日

日勤日

船舶警ら

11時間~13時間

5時間~6時間

待機

2時間~4時間

1時間~2時間

特別勤務(通告教養に限る。)

1時間以内

1時間以内

合計時間

15時間30分

7時間45分

(2) 運用責任者は、(1)の勤務基準に基づき、水上警察活動に従事する警察官に係る勤務例(通常基本勤務及び休憩の割り振りの例をいう。)を策定するものとする。

なお、1回の船舶警らは3時間以内とする。

第12 水上警察活動

1 船舶警ら

船舶警らは、運用水域を巡航し、次に掲げる事項に留意して、犯罪の予防、被疑者の検挙、水上交通の指導取締り、危険の予防、災害事故の防止、運用水域における実態掌握等に当たるものとする。

ア 船舶の持つ通信、レーダー等の装備資器材を活かした活動を行うこと。

イ 開局中は、通話内容に注意して、必要事項の確実な受信に努めること。

ウ 必要に応じて船舶に停船を求め、犯罪の予防、被疑者の検挙、水上交通の指導取締り等に努めること。

エ 必要により、下船して徒歩等による沿岸警らを行うこと。

2 訪船連絡

訪船連絡は、停泊中の船舶を訪問し、必要な指導連絡、困りごと、意見、要望等の聴取に当たるとともに、その協力を得て実態を掌握するものとする。

なお、訪船連絡は、必要に応じ、船舶警らの勤務時間に行うものとする。

3 待機

待機は、事件又は事故が発生した場合において直ちに出動することができる態勢を保持しつつ、船舶、無線機器その他装備資器材の点検整備及び書類の作成、整理等に当たるものとする。

4 職務質問

水上警察活動に従事する警察官は、次に掲げる事項に留意して、不審船舶に乗船する者等に対し、積極的な職務質問を行うものとする。

ア 基本的人権を最大限尊重すること。

イ 納得がいくまで不審点を究明するとともに、容疑が解消した場合は直ちに打ち切り、相手方に謝意を表すること。

ウ 職務質問を行う場所、相手方との位置等について細心の注意を払うこと。

エ 任意同行又は所持品の提示を求める場合は、相手方の承諾を得て行うこと。

5 出航及び帰航の報告

船舶の運航に際しては、本部通信指令室及び配置警察署通信室(以下「通信指令室等」という。)に対して、次に掲げる事項を報告するものとする。

ア 出航又は帰航の旨

イ 出航の理由及び運用水域

6 現場出動

通信指令室等から、事件、事故等への現場出動の指令を受けた場合又は総括責任者による一元的な運用が必要と認められる事案が発生した場合若しくはその発生が予想される場合は、直ちに出動しなければならない。

なお、次に掲げる基準を満たす場合は、赤色灯を点灯し、サイレンを吹鳴させて現場等に出動するものとし、その場合は、通信指令室等に報告するものとする。ただし、基準を満たす場合であっても、赤色灯を点灯し、サイレンを吹鳴させることが適当でないと認められるときは、この限りではない。

ア 人命又は負傷者の救護

イ 被疑者の検挙

ウ 重要事件及び重大事案(愛知県警察初動捜査規程(昭和50年愛知県警察本部訓令第12号)に定めるものをいう。以下同じ。)の初動措置

エ 急訴事案(事件、事故等受理時において早期に警察官が現場に到着し初動措置が必要と認められる事案をいう。)の処理

オ アからエまでに掲げるもののほか、総括責任者、通信指令官等が必要と認める事件又は事故

7 現場到着時の報告

事件、事故等の現場に到着した場合は、通信指令室等に到着した旨及び現場の状況を即報するとともに、次に掲げる事項に留意し、速やかに事案の概要及び処理状況を報告しなければならない。

ア 現場の状況に関する報告は、六何の原則に基づき、速やかに行うものとする。

イ 重要事件及び重大事件の発生に伴う緊急配備等により、現場に到着した場合は、犯人の人数、人相、着衣、特徴、逃走手段、逃走方法、凶器所持の有無等について通信指令室等に即報するほか、当該事件に関する情報等について逐次報告するものとする。

8 情報の収集

水上警察活動を通じて、警察活動上必要な情報の収集に努め、情報を入手した場合は、速やかに書面により運用責任者に報告するものとする。ただし、緊急を要する場合は、直ちに電話又は口頭により報告するものとする。

なお、運用責任者は、必要により収集した情報を関係警察署に通知するものとする。

第13 基礎資料の整備

1 運用責任者は、効果的な運用と船舶の安全運航を図るため、海図及び航路図を配備のうえ、広域活動水域基準表に示した運用水域について、次に掲げる内容を資料化するものとし、収集した基礎資料は配置警察署間で共有するものとする。

(1) 港湾施設の構造、配置状況等

(2) 自然災害発生時の退避場所

(3) 燃料の補給場所及びその燃料を取り扱う業者

(4) (1)から(3)までに掲げる内容のほか、船舶の活動に必要な事項

2 運用責任者は、基礎資料を綴る簿冊を作成して保管するものとする。

なお、保管する基礎資料に変更、追加等がある場合は随時更新するとともに、毎年1月に当該資料の点検を行うものとする。

第14 活動計画

1 年間活動計画

運用責任者は、翌年の年間活動計画を定め、年別船舶(広域)活動計画表(様式第1)により、毎年11月1日までに総括責任者に報告するものとする。なお、策定した年別船舶(広域)活動計画表は、配置警察署に備え付け、保管するものとする。

2 月間活動計画

運用責任者は、年間活動計画で定めた月別活動重点に即した、具体的な月間活動計画を定め、月別船舶(広域)活動計画表(様式第2)により、前月の25日までに総括責任者に報告するものとする。

なお、策定した月別船舶(広域)活動計画表は、配置警察署に備え付け、保管するものとする。

3 日(当務)別活動計画結果

運用責任者は、月間活動計画を効果的に推進するため、日(当務)別活動計画結果表(様式第3)により日(当務)ごとの活動計画を定めるものとする。

なお、水上警察活動に従事する警察官及び海技職員は、日(当務)別活動計画結果表に活動結果を記録するものとし、作成が完成したものは、運用責任者に報告するものとする。

第15 派遣要請

船舶の派遣を必要とする所属長は、警察用船舶派遣要請書(様式第4)により、総括責任者に要請するものとする。ただし、緊急を要し、これにより難い場合は、電話その他の方法により直接、運用責任者に要請した後、速やかに警察用船舶派遣要請書による手続を行うものとする。

なお、総括責任者が派遣を承認した場合は、運用責任者に通知するものとする。

第16 広域活動訓練

総括責任者は、海事に関する知識、操船技術、無線通信に関する技能、各船舶間における協力体制の確認等の習熟を図るため、年1回以上、船舶の広域活動訓練を実施するものとする。

第17 報告

1 月報

各月の活動結果を、船舶活動月報(様式第5)及び船舶事業別活動月報(様式第6)により、翌月の5日までに総括責任者に報告すること。

2 その他

船舶を点検、整備、修理等のため長期間運用を停止する場合は、総括責任者に報告すること。

〔平31務警発甲54号・本別記一部改正〕

別図

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別表

広域活動水域区分

運用水域

配置警察署

水域

常滑

半田

豊橋

第1運用水域




名古屋港港湾区域を含む知多半島北部西岸の伊勢湾

第2運用水域



常滑沖の知多半島中央部西岸の伊勢湾

第3運用水域


半田沖の知多半島南部西岸の伊勢湾

第4運用水域


衣浦港港湾区域及び知多半島東岸の三河湾

第5運用水域


三河湾中央部

第6運用水域



三河港港湾区域

第7運用水域



渥美半島南岸の太平洋

備考 表中の「○」は、配置警察署の広域運用時における広域活動範囲の基準を示す。

〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔平31務警発甲54号令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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〔令元務警発甲93号・本様式一部改正〕

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愛知県警察用船舶運用要綱の制定

平成27年4月22日 地総発甲第132号

(令和6年2月15日施行)

体系情報
第5編 域/第1章
沿革情報
平成27年4月22日 地総発甲第132号
平成31年 務警発甲第54号
令和元年 務警発甲第93号
令和5年11月22日 地総発甲第180号
令和5年12月13日 務警発甲第193号
令和6年2月15日 総装発甲第19号