○使用者に対する道路交通法令違反通知取扱要領の制定

昭和54年1月8日

交企・交指発甲第3号

道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第108条の4(現行法第108条の34)の規定に基づく使用者に対する道路交通法令違反通知については、別記のとおり「使用者に対する道路交通法令違反通知取扱要領」を定め、昭和53年12月1日から実施することとしたから誤りのないようにされたい。

なお、雇用者に対する道路交通法令違反の通知等の取扱い(昭和39年10月21日交庶発甲第313号)は廃止する。

〔平4交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲46号平6交総・務警・交指・交駐・交免発甲44号平10交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲27号・制定文一部改正〕

1 制定の趣旨

法第108条の34の規定に基づく使用者に対する道路交通法令違反の通知(以下「違反通知」という。)制度は、法第74条(車両等の使用者の義務)と対応するものであり、業務に関してなされた違反を使用者に通知することによつて、その管理下にある運転者をはじめ、安全運転管理者、副安全運転管理者その他車両の運行を直接管理する地位にある者に対する監督指導を合理的に行わせるほか、道路交通に関する使用者責任の自覚を促し、更に使用者が自動車運送事業者等である場合には、監督行政庁に対して通知することにより行政指導の参考に資する目的で行うものである。

この制度の趣旨を踏まえ、その事務の迅速かつ適正な処理を図るため、次の使用者に対する道路交通法令違反通知取扱要領を定めたものである。

〔平2交免・交企・交指・務警発甲29号平4交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲46号平6交総・務警・交指・交駐・交免発甲44号平10交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲27号・本項一部改正〕

2 解釈及び運用上の留意事項

(1) 第1(目的)関係

「使用者」とは、車両等を使用する権原を有する者で、かつ、その車両等の運行を総括的に支配することができる地位にあるものをいい、法人であると自然人であるとを問わない。

ア 前記「車両等を使用する権原を有する者」とは、車両等の所有権、賃借権等を有する者であり、一時的に使用する使用賃借関係の当事者も含まれるが明らかに不法に占有している者は含まれない。

イ 前記「車両等の運行を総括的に支配することのできる地位にある者」とは、法律上又は事実上具体的に車両等の運行を総括的に管理し、支配することのできる地位にある者をいい、賃借に係る車両等については賃借権を有する者が、所有権留保に係る車両等については現に使用する権原を有する者がこれに当たるといえる。

また、車両等の使用者には、道路運送法(昭和26年法律第183号)の規定による自動車運送事業者、貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者又は軌道法(大正10年法律第76号)の規定による軌道の事業者も含まれることになる。

(2) 第2(違反通知の対象)関係

ア 違反通知の対象となる「使用者の業務に関して行つた道路交通法令違反」とは、車両等の運転者の行つた法令違反の行為が使用者の業務の内容をなすものとして車両等を運転している場合に行われたことを意味し、一見して業務に関してなされた違反であることが明らかなものをいう。

したがつて、運転者が使用者の業務以外の私用等のため、車両等を運転している場合に行つた違反行為は含まない。

イ 通知の対象となる交通事故のうち、「使用者の労務管理が適正でないことに関係する交通事故」とは、道路運送法又は労働基準関係法令に定められている事業者又は雇用者の義務規定

(例:健康状態の把握、無理な輸送計画、長時間勤務、整備不良車両の運行等)の違反と関連があると認められる道路交通法令違反、その他乗務距離の過重、賃金のノルマ制等による運転者の過労に起因したと認められる道路交通法令違反に伴う交通事故をいう。

ウ 「その他重大又は特異な交通事故」とは、5人以上の死傷者を出した交通事故、乗客のある乗合自動車(乗車定員11人以上の自動車で貨物自動車及び特殊用途自動車以外のものをいう。)又は荷台乗車(乗用代用)の貨物自動車の交通事故で負傷者を出したもの、汽車又は電車の転覆を招いた交通事故等をいう。

(3) 第3(違反通知の手続)関係

ア 取締警察官の措置

第2の1から7に該当する違反を検挙した警察官は、交通(反則)切符6枚目の取締原票裏面の備考欄に画像と記載し、業務に関してなされた違反であることを明らかにしておくこと。

イ 自動車運送事業者等の通知手続

違反通知は、使用者が県内の場合に限り行うこと。ただし、使用者が自動車運送事業者等である場合には、県外のものについても行うこととするが、この場合は監督行政庁についてのみ主管課を経由して行うものとする。

(4) 第4(取扱上の留意事項)関係

ア 「審査責任者」とは、交通反則通告センター運営要綱の制定(昭和45年交指・交免発甲第60号)に定める審査責任者をいう。

イ 「分析責任者」とは、交通事故分析要綱の制定(平成12年交総発甲第60号)に定める分析責任者をいう。

〔平6交総・務警・交指・交駐・交免発甲44号平10交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲27号平14交総・交指・交駐・交規発甲143号・本項一部改正〕

別記

使用者に対する道路交通法令違反通知取扱要領

第1 目的

この要領は、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)第108条の34の規定に基づく監督行政庁又は使用者(以下「使用者等」という。)に対する道路交通法令違反の通知(以下「違反通知」という。)について必要な事項を定め、もつて迅速かつ適正な事務処理を図ることを目的とする。

第2 違反通知の対象

使用者等に対する違反通知の対象は、車両等の運転者がその使用者の業務に関して行つた道路交通法令違反(法第75条第2項の規定による自動車使用制限の対象事由となる違反を除く。)で次に掲げるものとする。

1 無免許運転(免許効力停止中の運転を含む。)

2 最高速度違反(30km以上(高速道路は40km以上)の超過に限る。)

3 酒気帯び運転(酒酔い運転を含む。)

4 過労運転等(麻薬等運転を含む。)

5 大型自動車等無資格運転

6 積載物重量制限超過(積載物の重量制限として定められた数値の2倍以上の重量の積載をして大型自動車等を運転する行為に限る。)

7 無車検・無保険車運行

8 駐停車違反(法第44条第1項の規定によるものに限る。)

9 妨害運転(法第117条の2第4号及び第117条の2の2第8号に規定する違反行為)

10 法第72条第1項(交通事故を起こした運転者の救護・報告義務)違反

11 次の交通事故のいずれかを伴つた違反

(1) 死亡又は重傷事故

(2) 使用者の労務管理が適正でないことに関係する事故

(3) その他重大又は特異な事故

第3 違反通知の手続

1 通知書の様式、送付先等

第一交通機動隊長、第二交通機動隊長、自動車警ら隊長、高速道路交通警察隊長及び警察署長(以下「警察署長等」という。)は、所属警察官から違反通知の対象となる事案の報告を受けたときは、車両等の使用者に対しては、道路交通法施行規則(昭和35年政令第270号)に規定する道路交通法令違反通知書(別記様式第22の12。監督行政庁に対しては、別記様式第22の13。以下「通知書」という。)によつて次の区分に従い通知すること。ただし、第一交通機動隊、第二交通機動隊及び自動車警ら隊において検挙した事案のうち所轄警察署長に引き継いだものについては、当該事案の引継ぎを受けた警察署長が通知するものとする。

区分

通知先

使用者が道路運送法(昭和26年法律第183号)の規定による自動車運送事業者、貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者又は軌道法(大正10年法律第76号)の規定による軌道の事業者

使用者及び当該事業を監督する行政庁

上記以外の場合

使用者

2 通知方法

(1) 違反通知は、通知書を交付して行うものとし、使用者に対しては原則として出頭を求めて行い、監督行政庁に対しては交通指導課(以下「主管課」という。)を経由して行うものとする。

(2) 通知書の交付は、原則として警部補以上の階級にある警察官が行うこと。

第4 取扱上の留意事項

1 交通(反則)切符の審査責任者又は交通事故の分析責任者は、違反通知の必要がある事案については、当該事案を送付(送致)する前に通知書を作成し、使用者に通知すること。この場合において、監督行政庁に対しても通知する場合は、別に作成した通知書を主管課に送付すること。

2 通知書の送付を受けた主管課長は当該通知書を当該使用者の本拠を管轄する監督行政庁に送付すること。

3 通知書「違反内容」の「種別」欄には、法令違反のみの場合にあっては「無免許運転」等と、交通事故を伴つた法令違反の場合にあっては「信号無視(死亡事故)」等と記入すること。

第5 報告

警察署長等は、毎月の通知状況を使用者通知状況報告書(別記様式)により、翌月10日までに警察本部長に報告(主管課の長経由)すること。

〔昭56務警発甲7号昭62交企・交指・駐対・交制・交管発甲16号平2交免・交企・交指・務警発甲29号平3務警発甲28号平4交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲46号平6交総・務警・交指・交駐・交免発甲44号平10交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲27号平14交総・交指・交駐・交規発甲143号令2交指発甲133号令3交指発甲101号・本別記一部改正〕

〔昭62交企・交指・駐対・交制・交管発甲16号・本別記様式一部改正、令2交指発甲133号・本別記様式全部改正、令3交指発甲101号・本別記様式一部改正〕

画像

使用者に対する道路交通法令違反通知取扱要領の制定

昭和54年1月8日 交企・交指発甲第3号

(令和4年10月1日施行)

体系情報
第7編 通/第4章 交通安全教育/第2節 運転管理
沿革情報
昭和54年1月8日 交企・交指発甲第3号
昭和56年 務警発甲第7号
昭和62年 交企・交指・駐対・交制・交管発甲第16号
平成2年 交免・交企・交指・務警発甲第29号
平成3年 務警発甲第28号
平成4年 交免・交総・交指・交規・交試・交東免・務警発甲第46号
平成6年 交総・務警・交指・交駐・交免発甲第44号
平成10年 交総・交指・交駐・交制・交免・務警発甲第27号
平成14年 交総・交指・交駐・交規発甲第143号
令和2年 交指発甲第133号
令和3年 交指発甲第101号
令和4年9月30日 交総・交指・交免発甲第138号