○拡声機による暴騒音の規制に関する条例の施行

平成5年7月12日

備警発甲第35号

このたび、拡声機による暴騒音の規制に関する条例(平成5年愛知県条例第27号。以下「条例」という。)が制定され、平成5年7月7日に公布、同年7月14日から施行されることとなったので、下記のとおり適正な運用に努められたい。

第1 条例制定の趣旨

この条例は、近年、拡声機を使用した大音量による街頭宣伝活動が社会問題となっていることから、県民の日常生活の平穏を確保するために制定されたものである。

第2 概要

1 目的(第1条関係)

本条は、条例制定の趣旨を踏まえて、「県民の日常生活を脅かすような著しい騒音を生じさせている拡声機の使用について必要な規制を行うことにより、地域の平穏を保持し、もって公共の福祉の確保に資する」ことを目的とすることを規定したものである。

なお、生活環境の保全を目的として拡声機の使用を規制する県民の生活環境の保全等に関する条例(平成15年愛知県条例第7号)とは、この目的において明確に区別されるものである。

2 定義(第2条関係)

本条は、音を生じさせる装置から10メートル以上離れた地点において測定したものとした場合における音量が、85デシベルを超える音を「暴騒音」と定義するとともに、音量の測定方法等について規定したものである。

3 適用上の注意(第3条関係)

本条は、拡声機の使用に対する規制は、表現の自由等日本国憲法の保障する基本的人権と密接な関連を有することから、条例の適用に当たっては、国民の自由及び権利を不当に侵害しないように留意しなければならないことを明記したものである。

4 適用除外(第4条関係)

本条は、公共性、公益性の高い拡声機の使用形態については、その社会的有用性に着目し、条例の適用から除外することとしたものである。

なお、現在のところ、第8号の規定により適用を除外される拡声機の使用については、公安委員会規則で規定していない。

5 拡声機により暴騒音を生じさせる行為の禁止(第5条関係)

本条は、拡声機により暴騒音を生じさせる行為を禁止したもので、第6条(停止命令等)及び第7条(勧告及び移動命令)の権限行使の根拠となる規定であり、本条に違反する行為を直接処罰の対象としているものではない。

6 停止命令等(第6条関係)

(1) 本条は、次条の規定とともに、拡声機により暴騒音を生じさせている者に対する警察官の措置について規定したものである。

(2) 第1項は、現に暴騒音を生じさせている者がある場合に、現場の警察官が行政処分として当該違反行為の停止を命ずることができることとしたものである。

なお、停止命令に従わない場合は、第10条の定めるところにより処罰の対象となる。

(3) 第2項は、第1項の停止命令を受けた者が違反行為を中断するなどした後、更に反復して違反行為を行った場合に、警察署長が時間及び区域を指定して、拡声機の使用停止を始めとする違反行為を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずること(以下「防止措置命令」という。)ができることとしたものである。

なお、当該防止措置命令に従わない場合は、第10条の定めるところにより処罰の対象となる。

(4) 第3項は、2以上の者が近接した場所で拡声機を使用することにより複合して暴騒音が生じた場合の措置に関する規定で、これらの者が共同して拡声機を使用している場合については第1項の規定が適用され停止命令を行うことができるが、共同して拡声機を使用していない場合には第1項は適用しないこととしたものである。

7 勧告及び移動命令(第7条関係)

(1) 本条は、前条第3項により停止命令の適用を除外された者に対する警察官の措置について規定したものである。

(2) 第1項は、前条第3項により停止命令の適用を除外された者に対し、警察官が暴騒音の発生を防止するために必要な措置をとるべきことを勧告することができることとしたものである。

なお、この措置に従わなかったとしても処罰の対象とはならない。

(3) 第2項は、第1項の勧告を受けた者がその場所にとどまり、かつ、引き続き暴騒音が生じているときに、これらの者に対し、その場所から移動することを命ずることができることとしたものである。

なお、移動命令に従わない場合は、第10条の定めるところにより処罰の対象となる。

8 立入り等(第8条関係)

(1) 本条は、第6条の規定による停止命令又は第7条の規定による勧告を行うに当たって、対象となる相手方を特定し、又は暴騒音を生じさせている機器等を確認する必要がある場合に、警察官が拡声機が所在すると認められる自動車、建物等に立ち入って必要な物件を検査し、又は関係者に質問することができることを規定したものである。

(2) 本条の立入り等の権限は、相手方が拒否した場合に実力でその抵抗を排除してまで行える即時強制ではなく、相手方の承諾を前提とするものである。

なお、立入り及び検査の拒否、妨害及び忌避並びに質問に対する答弁の拒否及び虚偽の答弁は処罰の対象となる。

9 公安委員会規則への委任(第9条関係)

本条は、条例の施行に関して必要な事項を公安委員会規則で定めることを明らかにしたものである。具体的には、拡声機による暴騒音の規制に関する条例施行規則(平成5年愛知県公安委員会規則第4号)において、立入り等を行う警察官の身分を示す証明書を「警察手帳」とすることを規定している。

10 罰則(第10条関係)

(1) 本条は、第6条の規定による停止命令及び防止措置命令、第7条第2項の規定による移動命令並びに第8条の規定による立入り、検査及び質問の実効性を確保するため、これらの行政措置に従わなかった者に対し罰則を科すこととしたものである。

(2) 第6条の規定による停止命令及び防止措置命令違反並びに第7条第2項の規定による移動命令違反にあっては6月以下の懲役又は20万円以下の罰金を科することとし、第8条の規定による立入り、検査及び質問に対する拒否等にあっては10万円以下の罰金を科することを規定したものである。

〔平17備警発甲122号平28備総発甲98号・本項一部改正〕

第3 運用の基本方針

条例の運用に当たっては、制定の趣旨、第1条の目的及び第3条の適用上の注意を十分に踏まえ、国民の自由及び権利を不当に侵害しないよう適正かつ妥当な運用に努めること。

第4 教養訓練の徹底等

1 指導、教養の徹底

条例の適正な運用を図るため、条例制定の趣旨及び解釈並びに運用の基本方針及び留意事項、取締要領等について指導、教養の徹底を図ること。

2 広報活動の徹底

広報活動を積極的に行い、条例の趣旨、内容等の周知に努めること。また、第4条において適用除外とされているものであっても、不必要な音量による拡声機の使用は自粛するよう、市町村等の関係機関に働き掛けること。

3 その他

この条例の施行(運用)に関する事務は、警備総務課事件指導係において行うこととする。

〔平21務警発甲40号平27務警発甲90号平28務警発甲70号・本項一部改正〕

拡声機による暴騒音の規制に関する条例の施行

平成5年7月12日 備警発甲第35号

(平成28年1月1日施行)

体系情報
第8編 備/第2章 備/第1節 治安警備
沿革情報
平成5年7月12日 備警発甲第35号
平成17年 備警発甲第122号
平成21年 務警発甲第40号
平成27年 務警発甲第90号
平成28年 備総発甲第98号
平成28年 務警発甲第70号