○愛知県警察内部公益通報対応要綱の制定

令和5年2月16日

務監発甲第20号

この度、公益通報者保護法(平成16年法律第122号)の規定に基づき、本県警察における内部公益通報制度を適切に運用するため、別記のとおり愛知県警察内部公益通報対応要綱を制定し、実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、愛知県警察内部通報処理要綱の制定(平成27年務監発甲第23号)は廃止する。

別記

愛知県警察内部公益通報対応要綱

第1 趣旨

この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)、公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号。以下「指針」という。)に基づき、愛知県警察において、内部公益通報等を適切に取り扱い、及び通報者又は相談者(以下「通報者等」という。)の保護を図るため、愛知県警察が取り組むべき基本的事項を定めるものとする。

第2 用語の定義

この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 内部公益通報 次に掲げる通報であって、不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的でないものをいう。

ア 職員、本県警察と契約関係にある事業者の労働者及び役員並びにこれらに該当する者であったもの(以下「職員等」という。)が、他の職員等による法令違反行為又はその疑いのある事実を内部公益通報受付窓口に通報すること。ただし、公安委員会に対しても、当該事実を通報することができる。

イ 職員等が、職員についての愛知県警察職員の職務倫理及び服務に関する規程(平成12年愛知県警察本部訓令第3号)の規定に違反する行為又はその疑いのある事実を内部公益通報受付窓口に通報すること。ただし、公安委員会に対しても、当該事実を通報することができる。

(2) 内部公益通報受付窓口 内部公益通報並びに内部公益通報に関連する相談(匿名又は仮名の者からのものを含む。以下同じ。)を受理するために監察官室に置かれた窓口をいう。

第3 内部公益通報受付窓口の設置等

1 内部公益通報受付窓口の設置

首席監察官の下に、内部公益通報受付窓口を置く。

2 内部公益通報等の方法

(1) 内部公益通報並びに内部公益通報に関連する相談(以下「内部公益通報等」という。)は、内部公益通報受付窓口において専用電話及び専用メールアドレスにより受け付けること。

なお、内部公益通報等は、口頭又は文書(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下同じ。)により受け付ける。

(2) 公安委員会執務官は、公安委員会に対する内部公益通報等があったときは、公安委員に報告するとともに、4の措置を講ずること。

3 内部公益通報対応業務従事者の指定

(1) 内部公益通報対応業務に従事する者のうち、当該業務に関して通報者を特定する情報を取り扱うもの(以下「従事者」という。)は、首席監察官並びに内部公益通報対応業務に必要な適性及び能力を有する者として首席監察官が指名するものとする。ただし、首席監察官は、自らが関係する内部公益通報等への対応に関与してはならない。

(2) 従事者は、内部公益通報対応業務に必要な知識及び技能の向上に努めること。

4 内部公益通報受付窓口への連絡

職員は、内部公益通報等を受けたときは、遅滞なく、内部公益通報受付窓口への連絡その他適切な措置を講ずること。

5 秘密保持等の徹底及び範囲外共有等の防止

(1) 内部公益通報等への対応に関与した職員は、内部公益通報等に関する秘密を正当な理由なく漏らしてはならない。

(2) 内部公益通報等への対応に関与した職員は、知り得た個人情報(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。以下同じ。)の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

(3) 首席監察官は、職員が通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有すること(以下「範囲外共有」という。)を防ぐための措置をあらかじめ講ずること。

なお、範囲外共有が行われたことを認知したときは、首席監察官は適切な救済及び回復の措置を講ずること。

(4) 職員は、通報者を特定しようとする行為(以下「通報者の探索」という。)をしてはならない。ただし、首席監察官が必要と認めたときは、この限りでない。

6 利益相反関係の排除

(1) 職員は、自らが関係する内部公益通報等への対応に関与してはならない。

(2) 首席監察官は、受理した内部公益通報等に関して行われる内部公益通報対応業務について、当該内部公益通報等に関係する者を内部公益通報対応業務に関与させないための措置を講ずること。

(3) 首席監察官は、内部公益通報等への対応の各段階において、内部公益通報対応業務に関与する職員が内部公益通報等に係る事案に利益相反関係を有していないか否かを確認すること。

第4 内部公益通報等への対応要領

1 内部公益通報の受理等

(1) 首席監察官は、内部公益通報等を受理したときは、法、指針等の趣旨を踏まえ、誠実かつ公正に対応すること。

(2) 首席監察官は、文書によって内部公益通報等がなされたときは、速やかに通報者等に対して当該内部公益通報等を受理した旨を通知すること。この場合において、匿名又は仮名により当該通報等がなされたときは、この限りでない。

(3) 首席監察官は、職員等から受け付けた各種通報が内部公益通報に該当すると認めたときは、当該通報を内部公益通報として受理するとともに、通報者に対して内部公益通報として受理した旨を遅滞なく通知すること。この場合において、不利益な取扱いは行われないこと、当該内部公益通報に関する秘密は保持されること、個人情報は保護されること、内部公益通報の受理後の手続の流れ等について併せて説明すること。ただし、通報者が説明を望まない場合、匿名又は仮名である場合その他やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

(4) 首席監察官は、職員等から内部公益通報として通報がなされた事案が、内部公益通報に該当しないと認められるときは、通報者に対し、当該通報について内部公益通報として受理しないこと及びその理由を遅滞なく通知しなければならない。この場合において、匿名又は仮名により当該通報がなされたときは、この限りでない。

2 調査の実施等

(1) 首席監察官は、適正な業務の遂行に支障がある場合を除き、通報者に対し、調査を行うときにあっては、その旨及び着手の時期を、調査を行わないときにあっては、その旨及び理由を、それぞれ遅滞なく通知すること。ただし、通報者が説明を望まない場合、匿名又は仮名である場合その他やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

(2) 首席監察官は、内部公益通報を受理したときは、通報者に対し、当該内部公益通報を受理してからその対応を終えるまでに必要と見込まれる期間を遅滞なく通知するよう努めること。

(3) 首席監察官は、調査を行うときは、通報者が特定されないよう、当該内部公益通報に関する秘密の保持及び個人情報の保護に十分に留意しつつ、遅滞なく、必要かつ相当と認められる方法で調査を行うこと。

(4) 首席監察官は、利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等に留意しつつ、調査結果について速やかに取りまとめた上、通報者に対しその結果を通知すること。ただし、通報者が説明を望まない場合、匿名又は仮名である場合その他やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

3 是正措置等の実施等

(1) 首席監察官は、調査の結果、法令違反行為等の事実が明らかになったときは、警察本部長に報告すること。また、当該行為をした職員が所属する部署その他の内部公益通報の対応に関係する所属の長(以下「関係所属長」という。)に対し、速やかに是正措置、再発防止策等(以下「是正措置等」という。)を執らせるとともに、その内容及び経過を遅滞なく報告させること。

(2) (1)の報告を受けた警察本部長又は関係所属長は、必要があるときは、関係者に対し必要な措置を講ずるものとする。

(3) 首席監察官は、是正措置等を執ったときは、利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等に留意しつつ、通報者に対し、当該是正措置等の内容を遅滞なく通知するよう努めること。

第5 公安委員会への報告

首席監察官は、内部公益通報を受理したときは、当該内部公益通報の内容、その調査結果及び是正措置等の内容を遅滞なく公安委員会に報告すること。

第6 関係事項の公表等

1 関係事項の公表

首席監察官は、本県警察における内部公益通報等への対応に関する運用状況について、内部公益通報等に関する秘密の保持及び個人情報の保護並びに適正な業務の遂行及び利害関係者の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障のない範囲において、必要と認める事項を適宜公表すること。

2 運用状況の見直し

首席監察官は、内部公益通報対応体制の運用状況について、必要に応じて見直しを行い、当該内部公益通報体制等の改善を図ること。

第7 是正措置等の実効性評価

首席監察官及び関係所属長は、是正措置等が十分に機能しているかどうかについて適宜確認し、必要があると認めるときは、新たな是正措置等を講ずることにより改善を行うこと。

第8 通報者等の保護

1 不利益な取扱いの禁止等

(1) 首席監察官は、職員が通報者等に対し不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置を講ずること。

(2) 従事者は、通報者等の個人情報について、従事者以外の者に対し提供してはならない。ただし、首席監察官が内部公益通報の対応に必要と認めた場合で、かつ、通報者等の同意がある場合は、この限りではない。

(3) 警察本部長及び関係所属長は、次に掲げる行為を行った職員に対しては、行為態様、被害の程度その他諸般の事情を考慮した上で、適切な措置を講ずること。

ア 通報者等に対して不利益な取扱いを行った者

イ 範囲外共有や通報者の探索を行った者

ウ 内部公益通報等に関する秘密を正当な理由なく漏らした者

エ 知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用した者

2 通報者等のフォローアップ

首席監察官は、内部公益通報等への対応の都度、通報者等に対する不利益な取扱いが行われていないかどうかを確認するなど、通報者等の保護に係るフォローアップを行うこと。この場合において、不適切な取扱いが認められたときは、適切な救済及び回復の措置を講ずること。

第9 意見又は苦情への対応

首席監察官は、通報者等から内部公益通報等への対応に関する意見又は苦情の申出を受けたときは、適切に対応するよう努めること。

第10 その他

1 関係資料の管理

首席監察官及び関係所属長は、内部公益通報等に関して作成した行政文書については、愛知県警察行政文書管理規程(平成16年愛知県警察本部訓令第27号)に規定する方法により適切に保管及び保存すること。

2 上司への内部公益通報

通報者の上司である職員が内部公益通報を受けたときは、当該職員は、自ら行える範囲で必要に応じ調査を行うとともに、当該職員の上司への報告、内部公益通報受付窓口への通報その他適切な措置を遅滞なく講ずること。この場合において、上司とは、必ずしも職制上直接に指揮監督を行う地位にある者であることを要しない。

3 職員等以外の者からの相談の取扱い

従事者以外の職員は、職員等以外の者から内部公益通報に関連する相談を受けたときは、遅滞なく、内部公益通報受付窓口への連絡その他の適切な措置を講ずること。

4 協力義務

(1) 職員は、正当な理由がある場合を除き、内部公益通報及び内部公益通報に関連する相談に関する調査に誠実に協力すること。

(2) 職員は、内部公益通報について、他の行政機関から法の規定による調査等の協力を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、必要な協力を行うこと。

愛知県警察内部公益通報対応要綱の制定

令和5年2月16日 務監発甲第20号

(令和5年2月16日施行)

体系情報
第3編 務/第5章 察/第1節
沿革情報
令和5年2月16日 務監発甲第20号