○告訴・告発取扱要綱の制定

令和7年3月19日

刑総発甲第32号

この度、告訴及び告発の適切な取扱いを図るため、別記のとおり告訴・告発取扱要綱を制定し、令和7年4月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、告訴・告発事件取扱要綱の制定(平成元年刑総発甲第17号)は、令和7年3月31日限り廃止する。

別記

告訴・告発取扱要綱

第1 趣旨

この要綱は、告訴及び告発を迅速かつ適正に処理するため、その取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。

第2 準拠

告訴又は告発(以下「告訴等」という。)の取扱いについては、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)、犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)及び愛知県警察捜査指揮規程(平成12年愛知県警察本部訓令第6号)の定めによるほか、この要綱に定めるところによる。

第3 基本的心構え

告訴等をする者(告訴等を前提とした相談をする者を含む。以下同じ。)があったときは、管轄区域を問わず、直ちにその内容を聴取し、告訴権又は告発権の有無、告訴期間、犯罪構成要件の充足の有無、処罰意思等の要件を確認する等した上で、可能な限り迅速に受理又は不受理の判断を行い、要件を満たす告訴等は速やかに受理するものとする。

第4 体制

1 告訴・告発センター

(1) 告訴・告発センターの設置

刑事総務課に本部告訴・告発センター(以下「本部センター」という。)を、警察署の刑事課(生活安全刑事課を含む。以下同じ。)に警察署告訴・告発センター(以下「署センター」という。)を設置する。

(2) 総括責任者

ア 本部センターに総括責任者を置き、刑事総務課の次長をもって充てる。

イ 総括責任者は、告訴等に関する事務を総括する。

(3) 対応責任者

ア 署センターに対応責任者を置き、刑事課長(生活安全刑事課長を含む。)をもって充てる。

イ 対応責任者は、自所属における告訴等に関する事務を総括する。

(4) 対応担当者

ア 本部センター及び署センター(以下「告訴・告発センター」という。)に対応担当者を置き、本部センターにあっては刑事総務課の課長補佐の職にある者のうちから総括責任者が指名する者を、署センターにあっては刑事課の係長の職にある者のうちから対応責任者が指名する者をもって充てる。

イ 対応担当者は、自所属における告訴等に関する事務を行う。

(5) 対応補助者

ア 本部センターに対応補助者を置き、刑事総務課の係長の職にある者のうちから総括責任者が指名する者をもって充てる。

イ 対応補助者は、本部センターの対応担当者を補佐する。

2 指導体制

(1) 指導担当者

ア 警察本部の捜査を主管する課(以下「本部主管課」という。)に指導担当者を置き、別表に掲げる係の課長補佐の職にある者をもって充てる。

イ 指導担当者は、自所属が主管する事件に係る告訴等の受理、受理後の捜査及び告訴等の届出(告訴等を前提とした相談の申出を含む。以下同じ。)の状況を的確に把握し、告訴等の処理等について具体的な指導を行う。

(2) 指導担当補助者

ア 本部主管課に指導担当補助者を置き、別表に掲げる係の係長の職にある者のうちから当該課の課長が指名する者をもって充てる。

イ 指導担当補助者は、指導担当者を補佐する。

(3) 取扱責任者

ア 警察署に取扱責任者を置き、告訴等に係る事件の捜査を担当する課(以下「警察署担当課」という。)の課長をもって充てる。

イ 取扱責任者は、所属する課における告訴等の受理、受理後の捜査及び告訴等の届出の状況を的確に把握した上で、本部主管課の指導担当者に報告し、及び連携して、告訴等の処理等について具体的な指導を行う。

第5 告訴・告発センターの事務

告訴・告発センターは、次に掲げる事務を行うものとする。

(1) 告訴等の引継先の調整

(2) 告訴等の処理担当所属への引継ぎ

(3) 告訴等の受理又は不受理の判断までの進捗状況の管理

(4) (1)から(3)までに掲げるもののほか告訴等の管理及び取扱いに関し必要な事務

第6 告訴等への対応等

1 対応

告訴等の届出があったときは、当該告訴等の捜査を主管する本部主管課又は警察署担当課(以下「主管課等」という。)が対応するものとする。ただし、当該告訴等について、主管課等が不明確又は複数の主管課等が関連するときは、警察本部における告訴等の届出にあっては本部センターが、警察署における告訴等の届出にあっては署センターが主管課等と連携した上で、対応するものとする。

2 調整及び引継ぎ

告訴・告発センターは、主管課等が不明確又は複数の主管課等が関連する告訴等に対応したときは、当該告訴等の主管課等を調整し、指導担当者又は取扱責任者に引き継ぐものとする。

第7 告訴等の受理

1 受理の判断

告訴等の届出に対応する者(以下「対応者」という。)は、告訴等の受理又は不受理の判断に当たっては、次に掲げる要件を満たしているか確認すること。

ア 形式的要件

(ア) 告訴人に告訴権又は告発人に告発権があること。

(イ) 公訴時効が完成していないこと。

(ウ) 親告罪の告訴期間が徒過していないこと。

(エ) 親告罪につき、取消し後の再告訴でないこと。

イ 実質的要件

(ア) 犯人に対する処罰意思があること。

(イ) 犯罪事実が特定されていること。

2 受理又は不受理の告知

対応者は、告訴等の受理又は不受理の判断をしたときは、速やかに、当該告訴等をする者に対し、受理又は不受理を告知すること。

3 受理手続

(1) 告訴等は、司法警察員である警察官(司法警察員巡査を除く。以下同じ。)が受理するものとする。

(2) 司法巡査又は司法警察員巡査である警察官が告訴等の届出に対応したときは、直ちに司法警察員である警察官にその旨を報告し、司法警察員である警察官に対応を引き継ぐこと。

(3) 司法警察員である警察官は、告訴等を受理したときは、告訴・告発事件受理索引簿(様式第1。以下「索引簿」という。)に登載すること。

(4) 司法警察員である警察官は、告訴状又は告発状を受領したときは、これらに受付印(様式第2)を押し、索引簿の番号を記入すること。

(5) 司法警察員である警察官は、(3)又は(4)の措置を執ったときは、本部主管課の長(以下「本部主管課長」という。)に報告すること。

4 不受理又は保留したときの措置

(1) 安全相談取扱票の作成

対応者は、告訴等を不受理としたとき又は告訴等の受理若しくは不受理の判断を保留したときは、速やかに、警察安全相談等・苦情取扱票(警察安全相談等及び苦情の取扱いに関する規程の運用(平成24年務住発甲第27号)に定める警察安全相談等・苦情取扱票をいう。以下「安全相談取扱票」という。)を作成し、告訴等の届出の内容及び対応の経過を明らかにすること。特に告訴等を不受理としたときは、その理由を確実に記載すること。

(2) 報告

対応者は、(1)の安全相談取扱票を作成したときは、所属の長(以下「所属長」という。)に報告し、指揮を受けた上で、警察安全相談等・苦情取扱システム(警察安全相談等・苦情取扱システム運用要綱の制定(平成25年務住・総情発甲第2号)に定める警察安全相談等・苦情取扱システムをいう。)により、本部主管課長に情報提供(本部主管課の対応者が安全相談取扱票を作成したときを除く。)すること。

なお、警察署の対応者が、安全相談取扱票を作成したときは、対応責任者に告訴等の届出の内容及び対応の経過を報告すること。

(3) 継続対応

所属長は、告訴等の受理若しくは不受理の判断を保留した報告を受けたときは、迅速に判断するために必要な指揮を行うこと。

第8 告訴等の処理

1 送付

(1) 告訴等を受理した事件(以下「告訴等受理事件」という。)は、警察署において処理することを原則とし、速やかに必要な捜査を遂げ、検察官に送付するものとする。

(2) 所属長は、告訴等受理事件の被告訴人又は被告発人(以下「被告訴人等」という。)が判明している場合において、被告訴人等が所在不明等のため、取調べを行うことができず、事件の真相を明らかにすることができないときは、必要な捜査を遂げ、検察官と協議した上で、公訴時効が完成する1年前までに検察官に送付すること。

(3) 所属長は、告訴等受理事件の被告訴人等が判明しないときは、必要な捜査を尽くし、検察官と協議した上で、公訴時効が完成する6か月前までに検察官に送付すること。

(4) 所属長は、告訴等受理事件を検察官に送付したときは、告訴人又は告発人(以下「告訴人等」という。)に、送付年月日及び送付先を通知すること。

2 移送

(1) 所属長は、告訴等受理事件が次に掲げる事項に該当するときは、当該事件を処理する所属長に移送すること。

ア 当該事件の犯罪発生地、被告訴人等の住居又は会社の所在地等が他の都道府県警察又は県内の他の警察署(以下「他の都道府県警察等」という。)の管轄区域内にあり、当該他の都道府県警察等において処理することが適当と認められるとき

イ 不動産侵奪罪又は境界損壊罪に係る告訴等が、当該告訴等に係る不動産所在地を管轄する警察署以外になされたとき

ウ 当該事件について他の都道府県警察等が既に捜査に着手しており、移送することが適当と認められるとき

エ アからウまでに掲げるもののほか、他の都道府県警察等に移送することが適当と認められるとき

(2) 所属長は、告訴等受理事件について、他の都道府県警察に移送することが適当と認めたときは、本部主管課長に報告した上で、警察本部長の指揮(本部主管課長経由)を受け、移送すること。

なお、県内の他の警察署に移送することが適当と認めたときは、本部主管課長に報告した上で、移送すること。

(3) 本部主管課長は、(2)の報告を受けたとき又は自所属の告訴等受理事件を移送するときは、告訴・告発事件移送指揮簿(様式第3)を作成した上で、他の都道府県警察等と必要な調整を行うこと。

(4) 所属長は、告訴等受理事件を移送するときは、事件引継書(犯罪捜査規範(昭和32年国家公安委員会規則第2号)第78条第2項に規定する事件引継書)により移送すること。

(5) 所属長は、告訴等受理事件を移送したときは、告訴人等に、移送先、移送年月日及び移送理由を通知すること。

3 取消し

(1) 告訴等の取消しは、当該取消しに係る告訴等を取り扱う司法警察員である警察官が受理するものとする。

(2) 司法警察員である警察官は、告訴等の取消しを受けるときは、取り消すことのできる者であることを確認した上で、取り消す意思及び理由を聴取すること。

(3) 司法警察員である警察官は、書面による告訴等の取消しを受けたときは、当該書面に受付印を押し、取消しに係る告訴等の索引簿の番号の枝番号を記入すること。

(4) 所属長は、検察官に送付する前の告訴等の取消しを受けたときは、必要な捜査を遂げ、速やかに検察官に送付すること。ただし、当該告訴等が親告罪のときは、捜査を取りやめ、同様に送付すること。

(5) 所属長は、移送した告訴等の取消しを受けるときは、直ちにその旨を移送先の他の都道府県警察等の長に連絡し、必要な措置を執ること。

4 報告

取扱責任者は、告訴等を処理したときは、所属長及び本部主管課長に報告すること。

5 処理上の留意事項

(1) 所属長は、被告訴人等の個々の者について犯罪が成立しないときであっても、これらの者全員について、必要な捜査を遂げ、送付すること。

(2) 所属長は、告訴等のあった数個の事実の一部について犯罪が成立しないときであっても、全ての事実について、必要な捜査を遂げ、送付すること。

(3) 所属長は、親告罪について、いまだ告訴がない場合において、直ちに捜査を行わなければ事後の捜査が困難となるおそれがあるときは、直ちに必要な捜査を行うこと。

第9 進捗状況の管理及び指導

1 索引による管理

所属長は、告訴等を受理したときは、犯罪事件管理システム(犯罪事件管理システム運用要綱の制定(令和4年刑総発甲第2号)に定める犯罪事件管理システムをいう。)に登録した上で、索引簿により管理すること。

2 告訴・告発センターによる管理

(1) 本部センター

対応担当者は、自所属において対応した告訴等の届出のうち、本部主管課に引継ぎをしたものについて、対応状況を把握した上で、迅速に受理又は不受理の判断が行われるよう管理すること。

(2) 署センター

対応責任者は、自所属において対応した告訴等の届出及び自所属で引継ぎを受けた告訴等について、対応状況を把握した上で、迅速に受理又は不受理の判断が行われるよう管理及び指導すること。

3 本部主管課による管理等

(1) 指導担当者は、警察署から告訴等に係る報告又は情報提供を受けたときは、当該告訴等について、対応状況を管理するとともに、必要に応じて告訴等の受理又は不受理の判断、処理の方針、捜査要領等について指導すること。また、自所属において対応した告訴等の届出、自所属で引継ぎを受けた告訴等及び処理すべき告訴等受理事件があるときは、その対応状況を適切に管理すること。

(2) 指導担当者は、(1)の管理に当たっては、告訴・告発センターと緊密に連携すること。

(3) 指導担当者は、(1)により管理する告訴等について、警察署担当課が告訴等を不受理としたときは、その判断が適切か否かを確認し、必要な指導を行うこと。

(4) 指導担当者は、(1)により管理する告訴等又は自所属において対応した告訴等の届出のうち、次に掲げるものについては、その都度、総括責任者に報告すること。

ア 初回の対応から2か月を経過しても受理又は不受理の判断がされていないもの

イ 不適切な取り扱いが疑われるもの

第10 その他

この要綱の実施に関し必要な細目的事項は、刑事部長が別に定める。

別表

本部主管課

所属名

係名

生活安全総務課

指導教養係

人身安全対策課

ストーカー・DV対策係

少年課

少年事件第一係

保安課

風俗環境浄化対策室 指導情報係

生活経済課

対策係

サイバー犯罪対策課

高度サイバー犯罪捜査室 脅威情勢対処係

生活安全特別捜査課

痴漢対処支援係

刑事総務課

捜査指導室 指導第二係

捜査第一課

事件情報係

捜査第二課

指導企画係

捜査第三課

指導企画係

組織犯罪対策課

指導企画係

捜査第四課

指導企画係

薬物銃器対策課

指導企画情報係

組織犯罪特別捜査課

指導企画係

国際捜査課

指導企画係

交通指導課

指導企画係

交通捜査課

捜査指導係

警備総務課

事件指導係

公安第一課

第一係

公安第二課

事件係

公安第三課

事件係

外事課

事件第一係

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告訴・告発取扱要綱の制定

令和7年3月19日 刑総発甲第32号

(令和7年4月1日施行)

体系情報
第6編 事/第1章 査/第3節
沿革情報
令和7年3月19日 刑総発甲第32号
令和7年3月31日 生戦発甲第66号