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東海自然歩道の設楽ダム水没&森林鉄道跡区間を歩いてみよう!

ページID:0612923 掲載日:2025年11月12日更新 印刷ページ表示

東海自然歩道の設楽ダムに水没する区間には、森林鉄道の軌道敷を歩ける区間があります。

ダムに沈む前の今しか歩けない、更に森林鉄道のロマンも感じられる素敵なこの区間を紹介します。

(歩道はダム完成までに新しいルートに変わります。)

 

まずは設楽警察署付近から、県道33号瀬戸設楽線を豊川まで下ります。

この付近の東海自然歩道はもともと未舗装の歩道でしたが、現在はダム工事のため、アスファルトの県道を進んでください。

 

川の中に横倒しになったコンクリートと工事用道路

豊川を横断する工事用道路の橋脚付近(写真中央下)をよく見ると、コンクリートが倒れています。

これは森林鉄道の橋脚だったものです。

 

森林鉄道が豊川を横断する様子

(提供:奥三河郷土館)

現役当時の様子です。

設楽町田口と田峯に施設されたこの森林鉄道は皇室所有の木材を運ぶための鉄道で、当時の林野管理局は森林鉄道段戸山線と呼びました。

これからたどる路線はそのうちの本谷線と呼ばれた本谷、宇連、大名倉を通り田口線三河田口駅へと伸びる路線です。

昭和初めから中頃にかけて敷設され、1960年頃に廃止されたそうです。

 

松戸橋の様子

仮設橋でダムの工事用道路をまたぐと、左手に松戸橋があります。

松戸橋を渡って右折し、舗装路を進みます。

 

アスファルト舗装された軌道敷の様子

ここからの道は森林鉄道の軌道敷跡です。

車が通れるよう拡幅・舗装されているため、しばらくはあまり面影がありません。

 

通行止め看板の様子

1kmほど進むと、少し広いスペースが現れ、この先一般車は通行止めになります。

 

豊川の様子

豊川の流れに沿って進みます。

 

豊川に架かる大きな工事用道路の様子

森を抜けると巨大な仮設橋が豊川を横断しています。

この付近では設楽ダムの水没付替道路である県道瀬戸設楽線・大洞橋の建設が進んでおり、これはその作業道です。

ダムに水没しない高さに橋を造るため、作業道も高い位置にできています。

 

作業道が斜面から張り出している様子

上流側にも巨大な仮設作業スペースが組まれています。

大洞橋はこの付近から川を横断します。

 

東海自然歩道の案内標識

同地点にある標識には、松戸橋からここまでは20分、ここから大名倉までは45分とあります。

 

東海自然歩道の橋とその横に大きな作業道の橋がある様子

東海自然歩道はこの先舗装路と別れ、写真左の小さな橋を渡ります。

実はこの橋、この周辺イチバンの見どころです。

 

東海自然歩道の橋の様子の拡大

その理由は、森林鉄道の橋脚がそのまま使われているからです。

地面の高さと揃っていないのは、当時はこの橋脚の上に木製の橋が載っていたから。

森林鉄道はこの川の合流点で分岐し、大名倉方面へ伸びる田口本谷線と西へ伸びる田口椹尾(さわらご)線に別れていました。

東海自然歩道はこの橋脚跡を渡り、田口本谷線の軌道敷跡を進みます。

 

山の中の軌道敷跡

山の中で軌道敷が左へカーブしている様子

森林鉄道は勾配を利用しエンジンを使うことなく山を下りたと言われています。

急な勾配は無く、歩きやすい道が続きます。

 

盛り土とはしごの様子

平坦な土地とその上にトンネルが見える様子

山が開け、梯子を上ると広い工事現場に出ました。

写真上部に見えるのは付替瀬戸設楽線の日掛(ひかげ)トンネルです。

既に貫通しており、この日は作業が行われていない様子でした。

東海自然歩道はしっかり看板と柵で分かりやすく示され、間違って工事現場内に入ってしまないよう管理されています。

 

東海自然歩道の看板

工事現場を横断し、再び山の中に入ります。

 

崖と川の僅かな土地に軌道敷が伸びる様子

山を切り、川のすぐそばを通した区間もあります。

川まで高低差があり、難工事だったのではないでしょうか。

 

大名倉地区内をまっすぐ緑の軌道敷が伸びる様子

森を抜けて視界が開けました。

写真中央を軌道敷がまっすぐ伸びています。

この周辺は設楽ダム事業で全戸移転となった大名倉地区です。

左手には付替瀬戸設楽線の建設が進んでおり、公園の整備も予定されています。

 

大名倉橋の様子

東海自然歩道は道なりに伸びており、右手には豊川に架かる大名倉橋(右側)と工事用仮設橋(左側)が見えます。

この大名倉橋は一般車の通行が可能です。

県道33号瀬戸設楽線をきららの森方面から、または国道257号を川向の坂の途中で曲がり、町道川向大名倉線からアクセスできます。

 

真新しい水没付替え道路の橋の下を東海自然歩道が伸びる様子

集落跡を過ぎ、付替瀬戸設楽線をくぐります。

この付近でダムに水没する区間は終了です。

また東海自然歩道の新ルートも、この付近で今のルートと合流することが検討されています。

 

 

水没区間は終わりましたが、まだ軌道敷は続きます。

ここまで来たらついでに必見!

すぐ近くにある見どころを紹介します。

苔むした高さ3mほどのコンクリート擁壁

ここから5分ほど進むと現れる高い擁壁!

これは森林鉄道が急な高低差を緩い勾配で進むために造られたヘアピンカーブの跡です。

 

1952年の大名倉の地図

『地図田口ノ八1952年・大名倉付近』(提供:奥三河郷土館)

当時の地図を見ると、左上隅にヘアピンカーブ4つを確認できます。

 

ヘアピンカーブを進む機関車

(提供:奥三河郷土館)

こちらは当時のヘアピンカーブを進む機関車の様子です。

 

擁壁によりヘアピンカーブの様子がわかる写真

崖を切った切通しの様子

木々が伸びていますが、今でも軌道敷がはっきり分かります。

この付近はカエデが多く、秋には紅葉が楽しめそうです。

 

橋脚跡だけが残り、その横に東海自然歩道の階段がある様子

さらにここから15分ほど進むと、橋脚の遺構も残っています。

 

東海自然歩道はこの先も大阪府箕面市に至るまで、ずっと伸びています。

その中でも設楽ダムに水没するこの区間の魅力が伝わったでしょうか?

訪問の際は愛知県自然環境課のホームページ等で通行止め情報をご確認のうえお越しください。

https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shizen/shizenhodo.html


独立行政法人水資源機構豊川用水総合事業部https://www.water.go.jp/chubu/toyokawa/

豊川総合用水土地改良区http://www.toyosou.jp/index.html

牟呂用水土地改良区

https://muroyousui.or.jp/

松原用水土地改良区

https://matsubara-yousui.jp/