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平成30年度第1回愛知県義務教育問題研究協議会の概要
平成30年度第1回義務教育問題研究協議会を開催しました。
本会は、本県の義務教育に関する諸問題について、研究協議を行う協議会です。今回の会議では、平成30・31年度の協議題「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方」について、多方面から御意見と御助言をいただきました。その内容を報告します。
研究協議会の概要
日時:平成30年5月24日(木曜日) 午後2時から午後4時まで
会場:愛知県庁西庁舎 教育委員会室
1 開会
2 愛知県教育委員会挨拶(学習教育部長)
3 委員等紹介
4 会長・副会長選出
5 会長・副会長挨拶
6 議事
【報告事項】
(1) 愛知県義務教育問題研究協議会の歩みについて
(2) 平成30・31年度愛知県義務教育問題研究協議会協議題について
「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方」
【協議事項】
(1) 学校教育におけるプログラミング教育の必要性について
・ 学校教育におけるプログラミング教育の必要性について、やはり必要であると思う。子供たちにとって機械が身近な存在であって、必要なときに使って、何かを解決できるような、そういう力は必要である。また、論理的な思考を育む上でも必要である。
・ 大学のゼミでは、関心のある学生にはパソコンを使わせ、プログラミングしたい学生にはそれを教えている。関心のある学生は楽しんでやっているが、関心のない学生には強制しない。義務教育の中でプログラミング教育を一律にやっていくのはどうかという意見もある。
・ プログラムのスモールステップ、簡単なことの積み重ねやできる成功体験を重ねていかなくてはいけない。全員がやることなので、全員がやりたくなるような準備をしていかなければいけない。
・ 義務教育だから、いろいろなことを学んでいく必要がある。いろいろな教科で体験することが大切だ。コンピュータを使って論理的に考えるということを学ばせるということが大切だ。子供たちの興味が湧くような体験がよい。
・ 心配ごととして、各市町村の財政状況は違う。必要な道具やソフトを2年後に整備しないといけない。子供の65%が現在存在する職に就けないと言われる。どんな環境でもフレキシブルに対応できるという意味でも、非常に重要である。
・ これまでも研究指定でやってきているが、使い方指導だけではいけない。目指すところに、対話的で深い学びにつながるような学びにもっていくようなことが大切だ。
・ なぜ、プログラミングなのか、もともとは論理的思考をいかに育むかである。国語でも論理的思考を育んでいる。コンピュータは、プログラミングが正しければ思ったように動く。正しくなければ動かない。国語などで、言葉を使って伝えるときに難しいのは、相手が人間なので、この言葉を使ったら相手がどう受け止めるかまで考えないといけない。それをうまくやるために授業をやっている。言葉を扱うとか、学びを扱うことが苦手だという子供にとっては、初歩的な訓練として、イエスかノーで返ってくるので、プログラミングは分かりやすい。
・ 目的や目標があって、それに対してどのようなアプローチ、段取りをしていくかということだと思う。文科省から手引も示されている。愛知県では、子供や先生により分かりやすくリーフレットで示していくことが大切だ。
・ 2016年3月からNHKにおいて「Whyプログラミング」という番組をやっている。デジタルネイティブな子たちが、コンピュータがこんなふうに動いているのだという体験をしていく。イロハのイとして、学ぶ場を設けていくことが大切である。
・ 当然のことながら、コンピュータの利活用は避けられないところだと思う。論理的思考力を育てるためのツールとしてプログラミング的思考が大切であるということは、今までの御意見のとおりである。教科のところでプログラミング教育を進めていくわけだが、教科の学びは担保した上でのプログラミング教育でなければ意味がなくなる。
・ A市では、タブレットを使った教育の研究を研究指定校で進めている。スマホより大きなタブレットで、子供たちが数人で一つの画面をのぞいて生き生きとしている姿はやはりよい。先生方は、これを使いこなすのにどれだけ苦労しているのか。先生が振り回されているのではないかと心配だ。
・ プログラミングの授業の中で、みんなで「これにしましょう」と問いながら、コミュニケーションを図っていくということならいいが、個人で一つ作り、他の人としゃべらなくなると、ねらいが違ってくるのではないかと思う。
・ 文科省からの改正のたびに、先生方が振り回されていることはある。パソコンがあれば指導者はいらないということでは対話的な学びと逆方向ではないかという心配もある。
・ 仕事の段取りを考えることもプログラミングである。アンプラグドプログラミングに当たる。プログラミングのもう一つのよさは、自分にフィードバックすることである。話合いをしながら解決していくところが、実はプログラミング教育の中での一番の学びらしいところかとも考える。
・ 現場では、不安な声がたくさん出ている。この不安を解消するために、プログラミング教育の課題を一つ一つ解決することが大切である。一つは、主体的・対話的で深い学びであるアクティブ・ラーニングの考え方をどのようにプログラミング教育と関連させるかである。現場の先生方が使いやすいものにしていく必要がある。
・ プログラミング教育は、子供たちに物事をきちっと順序立てて思考することを大切にしているので、先生方に研究を重ねてもらいたい。多忙化の問題はあると思うが、プログラミング教育を進めることを前提として考えていきたい。
・ 情報支援員を活用するなど、必ず先生方がやらなくてもよいかもしれない。内容によっては、担任が扱うものや支援員が扱うものがあってよいと考える。
・ 先生方が明確に考えを持ってほしいのは、なぜ、プログラミングの体験をしないといけないのかということだ。裏返すと、「プログラミングの体験を通じて、こんないいことがあるよ」ということをはっきり示せば、先生方のやる気が向上するのではないか。そこが、必要性である。全体の教育の中での位置付けをしておかないといけない。
(2) 学校教育として実施するプログラミング教育は何を目指すのか
・ 正直に言うと、プログラミング教育とは何だろうという疑問は解消していない。聞けば聞くほど分からなくなった。パソコンの勉強ではない。論理的思考力を高めることだけで考えれば、国語の勉強をもっとやればいいのではないか。しかし、パソコンもスマホもどんどん小学生が触れられるようになっている。タブレットとかがなければ仕事にならないというくらい、当たり前になっている。小学生のうちから家で、パソコンがないからできないというよりは、学校でほんの少し教えてもらう成功体験やさわりの部分だけやって、楽しさを知るというところから勉強をしていくことが大事ではないか。
・ 論理的思考力を付けるために、このプログラミング教育を進めていくことで、あえて、プログラミング教育を取り入れることの良さを、はっきり教える側が分かったときに、じゃあやろうかなということが出てくる。国語や日常生活も、とても大切だが、対人関係の中でやるとすごく時間がかかるが、短い時間の中で成功体験を積んでいくことで、論理的思考力を早く、確実に育むというところを表していきたい。論理的思考もそうだが、成功体験だとか達成感、自己肯定感、これらのよさもきちんと伝えていくとよい。
・ 教科を学ぶ中で、アクティブ・ラーニングの手法の一つに使えるのではないかということ、みんなで一緒に学び合い、助け合う中で、何かきっかけが見えたら、みんなで喜べるような教育、嫌いになってしまう子供をつくらないようにする努力が必要である。
・ 教科の中で問題を解決していく手段として、プログラミングを使っていくのだなと分かって、これなら授業として成り立つのかなと思った。パソコンなしでもやっていけるということを聞いてよかった。
・ いろいろなソフトが出ている中で、業者が出している物を簡単に使うのは余りよくないのではないか。先生方が教育課程の中で学んでくる中で、外から入ってきたもので、「はいやってね」というのは、それでいいのかなということもある。偏りがないようにしたい。
・ 今、ソフトが自由にダウンロードできて自宅でもできる。どんな特徴があるかというのをこの義務教育問題研究協議会専門部会で練ってもらって、学校の先生がすぐにダウンロードできるというものに結び付けられるようになることが大切だ。できている既存のソフトで十分にプログラミング教育というのが実施できる段階まできている。はじめからよく分からなくて心配で不安でという部分を取りのぞき、必要感や「これならできる」という気持ちにさせていくことが大事かと思う。
・ 本日は、小学校で論じているが、中学校へ進学すると技術・家庭で、当然のことながらプログラミング教育をやっていく。そういうところを見据えて小学校のプログラミング教育を行わないと意味がない。そこは、確認しておきたい。
・ 専門部会には、中学校の技術・家庭の先生方もみえる。教科教育の中で、プログラミング教育の大切さを伝えていただく。
・ 今の環境で、小学校でできることは多くある。コンピュータに無料でインストールしてできることは確かだ。算数は、フリーソフトに取り上げられている例が多くある。しかし、教科としての目標と上手にリンクしないと何をやっていいのか分からない授業になる。算数以外の教科との結びつきをつくるのは一体どうしたらいいか考えたい。専門部会の中で、具体的に地に足をつけた1年にしたいし、前向きに盛り上がることをしていきたい。
(3) 協議のまとめ(会長)
<指導面について>
・ 義務教育で扱うということで、教科等への位置づけに配慮し、全ての子供たちが取り組めるようにしていかなければならない。
・ 体験をさせることを中心にして、余り専門的にならない方がよい。
・ プログラミング科があるわけではない。教科の学びがずれてしまってはいけない。
・ 子供にとってプログラミングが身近であるという意識が大切である。
・ パソコン、タブレット等のICT環境の整備も必要である。
<リーフレットについて>
・ プログラミング教育の必要性だけでなく危険性についても述べ、その不安の解消に向けた取組も取り上げていきたい。
・ 文科省手引にも「プログラミング体験を通して」とある。そのよさも理論編では訴えていく必要がある。
・ リーフレット理論編を出すことによって、プログラミングのよさや、プログラミングが教科の特性を生かせるということを知らせていきたい。
・ いろいろな懸念をいかに解消するか理論編の中で、大事にしていきたい。教科の目標といかにリンクさせることがプログラミング教育のよさであり、「やってみよう」ということにつながる。協働的な学び、学びに向かう力もキーワードとして出てきた。そこにもつながる理論編となるよう専門部会で議論してほしい。
(4) 専門部会の設置について
(5) 平成30年度愛知県義務教育問題研究協議会の事業計画について
7 連絡事項
8 閉会の挨拶(主幹)
9 閉会