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令和元年度 第1回愛知県幼児教育研究協議会の概要
令和元年度第1回愛知県幼児教育研究協議会を開催しました。
本会は、本県の幼児教育に関する諸問題について、研究協議会を行う協議会です。今回の協議会では、令和元年度の協議題である「『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』につながる学びの芽を捉える―『自然との関わり・生命尊重』の姿に視点を当てて―」について、御意見と御助言をいただきました。その内容を報告します。
研究協議会の概要
日時:令和元年5月24日(金曜日)午後2時から4時
場所:愛知県東大手庁舎 研修室A
1 開会
2 愛知県教育委員会挨拶(学習教育部長)
3 委員等紹介
4 会長・副会長選出
5 会長・副会長挨拶
6 議事
【報告事項】
令和元年度愛知県幼児教育研究協議会協議題について
「『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』につながる学びの芽を捉える
―『自然との関わり・生命尊重』の姿に視点を当てて―」
【協議事項】
(1) 子供が動物や植物等の自然を用いて遊ぶ様子から、どのように学びの芽を捉えていくか。
・ 自然が少なくなってきている。インターネットを見たり、ゲームをしたり等室内で遊ぶことも多く、心が育ちにくくなっている時代だと思う。
・ 自園は比較的自然に恵まれているが利用できていない。虫を触れない職員がおり、自然を設定して保育をするというような現状がある。
・ 自然の大切さとは反対方向に世の中が進んでいる感じがする。保育所は、待機児童対策で園庭がなくても認定されている。子供の育ちと自然との関わりは大事なものだが、現状はそうではないということも切り口になるのではないか。
・ うちの子が通う保育園では保育の中に栽培を取り入れ、水をあげる、収穫をする等の体験をさせてもらえている。玉ねぎの収穫時、年上の子が年下の子に収穫の仕方を教えていた。年上の子を見て学び、それを受け継いでいく姿から、収穫という自然のことだけでなく人との関わりも育っていたので、リーフレットを見て、全てのことに関わっていることが分かった。
・ 子供と農業体験をした。見たことのない虫を、子供は触れられなかった。先生の中にも昆虫が触れられない方がいるということだが、それは触った経験がないためだと思う。経験を通して育っていくと思う。田んぼの虫を写真に撮って子供と一緒に図鑑で調べた。こうした時間が親と子供のコミュニケーションにもなり、このコミュニケーションを通して、学びの芽が育つのではないか。
・ 我が子の幼稚園時代は、あえて外に連れて行かなくても、道端の草やダンゴムシやカタツムリ、鳥などを見ることができていた。「なんでこの花はこの時期に咲くのか」等の発見がたくさんあった。
・ 世の中で一番変わったと思うことはインターネットの普及である。時代が変わったら時代に合った保育も必要であると最近の子供を見て思う。
・ 学校もICT 教育をしている。虫を捕ってきては、インターネットを活用し、腹はどこで胸がどこかなどを調べている。その情報が正しいかどうかは分からないので、もう一度本で調べるということをやっている。情報が正しいかどうか確かめるには本の方がよい。
・ 自然環境が以前に比べると減少しているからこそ、自然と向き合い、園生活を豊かにすることが、いろいろな体験やコミュニケーションにつながっていく。今の時代の情報の取り入れ方等から、子供の姿がつながって見えてきた。今年度は自然を中心にいろいろなつながりの姿を含めて捉え、学びを明らかにしていくということでどうか。
(2) (1)のようにして捉えた学びの芽が小学校教育につながることを保育者にどのように伝えていけばよいか。
・ 子供の成長は自然に限らず、いろいろな学びの積み重ねである。「こういうことを学んでいる」「こういう発達段階だよね」「力を伸ばすようにするためにはどういうことが必要か」と保育者は日常的に話をしたり、保育の反省や打合せで職員が共有をしたりしている。また、年間指導計画や月案・週案でどういう計画で進めるか考えている。
・ 学びの芽が小学校教育につながることが、小学校教育の理科の教科につながるイメージをもってしまうことに気をつけたいと思う。幼児期の学びの芽とは、非認知的な力や総合的な力、不思議だなあと思う力や好奇心であって、それが直接理科につながるわけではない。
・ リーフレットには自然のことが三つの姿で書いてあるが、一つの切り口というところで「自然との関わり・生命尊重」と自然という視点から捉えた事例もある。同じ自然でも数量のことに関係している事例もある。言葉による伝え合いを言いたい気持ちもある。小学校の理科や算数、国語等、教科に直接つながるものではない。
・ リーフレットの中には、いずれは小学校学習要領の中にある目標とか内容という文言につながっていくキーワードがたくさん散りばめられていた。保育者が「小学校学習指導要領を知らずに保育を行ってもよいのか」ということに視野を広げて、互いの教育・保育に関心をもつべき。「学び」というものを捉えていくことが大事だと言われているのでそこも意識していく。
・ 園で受ける刺激が家庭に生きてくる。そして、家庭でのいろいろな体験が園につながり、自分の中の視野が広がっていくというよい循環ができていくために園というものが真ん中にある。子供の生活の中で保護者の担う役割は本当に大きい。保育者が「小学校での生活科とか他のことにもつながっていく」というまなざしをもち、日々の保育をするための参考になるものを作らなければいけないと思っている。保育者を対象にするということは、子供の学びを保護者の皆様に伝えていくことも視野に入れながらヒントとなるようなものを作っていきたい。
・ 遊びながら子供は、数を数えたり、繰り返したり、試したりして学んでいる。こうして育ちつつあるところや気付きや発見を保護者に伝えることで子育てが楽しいということにつながる。育ちつつある姿を捉えるのは難しいが保護者に伝えることで保育者も楽しいと感じる。
・ 小学校の学習指導要領を意識することはお願いしたいことである。連携を見据えながらやってきていてもなかなかできなかった。来年度以降、小学校、中学校の新学習指導要領の実施がされる中で、「主体的で対話的で深い学び」につながる体験は大きなことである。
・ 子供も先生も「見つけ出す」ことをキーワードにして考えていくと、自らの学びにつながっていく。このことを分かりやすい事例で示すことができれば、乳児から幼児、小学校そして保護者まで全部がつながり、学びという柱の中で見ることができる。
・ 「主体的で対話的で深い学び」というのは幼稚園教育要領の中でも示されている。保育所保育指針の中にも同じ言葉では示されていないが、「主体的で協働的な活動を充実する」という文言は解説の中に示されている。「主体的で対話的で深い学び」ではないが、「主体的で協働的な活動の充実」は同じことだと思う。文言は違えども自分の課題として、自然との関わりの中で考えたこと、調べたこと、確かめたことが子供自身の学びにつながる。
・ 子供たちの学びが理科の教育に直結したり、生活科にすぐ活用できたりするわけではない。しかし、学びの芽は必ずあるので、その学びをいかに保育者がつかむかが大切だと思う。
・ 「こういう学びとして捉えられる」と読み取ったことを、保護者にどう伝えると子供の学びとして受け止めていただけるか。また、小学校の先生方のこれからの教科の特質に応じた学習に生かしていくことができるのか、というところにつながるようにしたい。
(3)令和元年度専門部会について
(4)令和元年度開催計画等について
7 連絡・依頼事項
8 閉会の言葉(義務教育課長)
9 閉会