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高度処理とは
高度処理を行うことで、普通の下水処理で取りきれない窒素やリンを取り除き、よりきれいな水に生き返らせることができます。
高度処理の目的
下水道において高度処理は、以下の4点を目的として実施しています。
- 閉鎖性水域である伊勢湾・三河湾の富栄養化防止、水質環境基準の達成・維持
- 河川の水質環境基準の達成・維持
- 水道水源水域の水質保全
- 下水処理水の再利用
用語解説
閉鎖性水域
湖沼・内湾・内海など水の出入りが少ない水域のことを閉鎖性水域といいます。
伊勢湾・三河湾は水深が浅く、湾口が渥美半島と志摩半島により狭くなっていることから、外海との水交換がうまくできない状況にあり、典型的な閉鎖性水域となっています。
富栄養化
富栄養化とは海水や川の水にふくまれる窒素や燐などの栄養分が増えすぎてしまう現象のことです。
富栄養化が進行すると、魚介類などに悪影響を及ぼす赤潮や青潮(苦潮)が発生します。
富栄養化が進行すると、魚介類などに悪影響を及ぼす赤潮や青潮(苦潮)が発生します。
なお、伊勢湾・三河湾の流域は、愛知、岐阜、三重の3県に広くまたがっており、これらの流域からは生活排水や産業排水のほか、畜産排水や農地からの排水も流入してきます。
赤潮
赤潮とは植物プランクトンの異常発生により海水が赤く変色する現象のことです。

赤潮が発生した様子(愛知県水産試験場提供)
青潮(苦潮)
青潮とは、海底付近に堆積したプランクトンの死骸などの有機物の分解に酸素が消費され、酸素が乏しくなった海水の水面近くに上昇し青白く見える現象のことです。

青潮(苦潮)が発生した様子(愛知県水産試験場提供)
赤潮・青潮(苦潮)の発生メカニズム

赤潮・青潮(苦潮)の発生メカニズム
水質環境基準
「人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」として定められたものであり、伊勢湾・三河湾をいくつかの水域に分けて、富栄養化の重要な指標となるCOD(化学的酸素要求量)、全窒素、全燐について環境基準が設定されています。水質環境基準達成状況については、下記Webページをご確認ください。
高度処理の種類
高度処理は、その目的(除去の対象とする物質)によって、数多くの方法がありますが、ここでは主な高度処理方法を紹介します。
凝集剤添加活性汚泥法
除去対象物質
リン
概要
凝集剤を添加し、化学的にりんを除去する方法です。既存の水処理施設で容易に実施できるので、りん除去法としては現在多く採用されています。

凝集剤添加活性汚泥法フロー図
嫌気無酸素好気法(A2O法)
除去対象物質
窒素、リン
概要
生物反応槽を3つに分け、それぞれを異なる状態に保つことで、活性汚泥の働きにより生物学的に窒素、りんともに除去するものです。

嫌気無酸素好気法フロー図
凝集剤添加ステップ流入式多段硝化脱窒法
除去対象物質
窒素、リン
概要
生物反応タンクを4つまたは6つに分け、それぞれを異なる状態に保つことで、活性汚泥の働きにより生物学的に窒素を除去するとともに、凝集剤を添加し、化学的にりんを除去する方法です。

凝集剤添加ステップ流入式多段硝化脱窒法フロー図
急速砂ろ過
除去対象物質
SS:濁り成分(同時にSS由来のBOD、COD,、リンも除去できる)
概要
砂などのろ材を充填した池(筒)内に処理水を通過させることで、処理水中の濁り成分を捕捉する。

急速砂ろ過フロー図