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広域担当の普及員情報(野菜)

ページID:0056613 掲載日:2012年11月28日更新 印刷ページ表示

野菜の情報

イチゴの平成24年度は順調にスタート!(2012年11月)

 本県のイチゴは、全国第7位(平成22年産出額80億円)で、施設園芸での重要品目となっている。本年度作の育苗は、梅雨明け以降、好天で平年よりやや高温だったものの夜温は平年値に近い気象条件によって順調に進んだ。特に毎年問題となっている炭疽病の発生が少なく、各産地とも必要苗数が確保できた。花芽分化は若干のバラツキはあったものの概ね順調で、定植は平年並みの9月初旬から始まり、同月末までにほぼ終了した。
 なお、近年の夏期高温への対策として、梅雨明け以降の育苗期及び定植時の本ぽでの遮光資材の利用を各農業改良普及課が中心となって推進し、利用の拡大とともに生育の安定化が図られている。また、台風17号(9月30日)の影響も軽微であった。
 出荷は、平年並みの10月中旬から始まった。栽培品種の動向は、「とちおとめ」38%、「章姫」31%、「紅ほっぺ」14%、「ゆめのか」14%、「さがほのか」他3%で、「とちおとめ」が若干減少し、「紅ほっぺ」がやや増加した(農業改良普及課調べ)。
 農業総合試験場では、本県産イチゴの生産性向上及びブランド化推進を図るため、JAあいち経済連との共同研究で、早生性、連続出蕾性、高設栽培適性を有したオリジナル品種の育成を平成27年登録を目標に実施しており、本年度は三次選抜を行う。また、生産性の向上対策として炭酸ガスの効率的施用による光合成促進技術の確立と普及を目指し、農業総合試験場と農業改良普及課を中心に生産部会、JAなどと連携して検討している。こうした取組を通じて、収益性の向上と担い手の育成が図られることによって本県イチゴ産地の維持と発展が期待される。

写真 順調な出蕾状況

写真 順調な出蕾状況

 

安全・安心なナス生産を目指すための研究会開催(2012年9月)

 本県の施設ナスは出荷量全国第4位の大産地であるが、近年は消費量の減少に伴って単価が低迷しており経営環境は厳しくなっている。そこで、安定生産技術の普及と併せて安全・安心を目指す産地のアピールを目的に、ナスの総合防除に関する研究会を8月7日に開催した。研究会は県農業大学校の研修の一環として開催され、県内のナス生産者、JAを始めとした関係機関の指導者など 102名の参加があった。
研究会では、まず農総試病害虫研究室の三宅主任研究員が総合防除の基礎知識についての講義を行い、栽培期間が長く薬剤防除回数も多いナス生産における総合防除の重要性について解説した。次いで、講師にアリスタライフサイエンス株式会社製品開発本部の山中聡氏を迎え、「天敵を利用したIPMプログラム」について講演を行った。山中氏は、ナスの害虫補食性天敵として近年導入が進んできたスワルスキーカブリダニの効果的な使い方について、動画等も用いてわかりやすく説明された。成功のポイントとして、(1)天敵の放飼前までに害虫防除を確実に行っておく「ゼロ放 飼」の徹底、(2)ナス定植後の適切な時期に放飼すること(定植後2週間以内)、(3)放飼のタイミングを逃さないこと(厳寒期は天敵の増殖が悪くなるため10月上旬までに放飼する)、(4)天敵放飼後の適切な農薬の使い方等が具体的に示された。さらに、九州、高知など他産地のナス栽培における先進事例が紹介され、生産者の関心が高まった。
研究会の後半では、愛知県内における事例紹介として西三河および東三河普及課管内におけるスワルスキーカブリダニ利用の実証結果を各々の担当普及指導員が報告した。続けて、病害虫担当の大野広域指導員が尾張・海部地域における実証成果の報告と県内全体の利用状況について講演した。この中では各地域の成功例・失敗例をまとめて解説しながら県内における効果的な利用方法を示し、最後に野菜担当の広域指導員の司会による質疑応答とまとめを行った。
研究会の終了後、生産者から講師への相談や各地域の普及指導員同士の情報交換がなされ、IPMへの意識の高まりが期待された。今後、広域指導室では病害虫担当と野菜担当が連携しながら、総合防除と環境保全に配慮した生産に関する支援・助言を通じて“愛知のナス産地”の活性化を図っていきたい。
写真 熱心に講演に耳を傾ける参加者

写真 熱心に講演に耳を傾ける参加者

写真 ナス葉上のアザミウマ幼虫(害虫)を補食するスワルスキーカブリダニ(天敵)

写真 ナス葉上のアザミウマ幼虫(害虫)を補食するスワルスキーカブリダニ(天敵)

施設果菜栽培の生産性向上を目指して ~環境制御に関する技術の向上~(2012年7月)

 愛知県の施設果菜生産は、トマト、イチゴ、キュウリ、ナスなどの果菜類を中心に、新技術を積極的に導入しながら発展してきた。以前から栽培技術の高さが評価されてきたが、近年はさらに収量を飛躍的に向上させる方策として「環境制御技術」への農業者の関心が高まっている。県内産地では、新技術の導入に伴って若手生産者等による研究会を実施しており、普及課も普及課題に取り上げて積極的に活動している。
 そこで広域指導室では、環境制御に関する知識の共有化と指導技術の向上を目的に、6月26日に野菜に関する農業技術体系化促進会議を開催した。農業改良普及課、農総試の研究担当者、あいち経済連の17名が参加し、現地調査及び検討を行った。
  現地調査では、(1)先進トマト農家における高圧ミスト利用状況、(2)トマトにおける超微粒ミストの現地実証、(3)農総試園芸研究部内の研究状況を確認した。その後、広域指導室から、(1)ミストの基本技術、(2)県下で普及している装置の特徴、(3)超微粒ミストの効果、(4)普及実証の経過について情報を提供した。野菜研究室は、新技術であるマルチモーダルセンサシステム及びトマトの短期収量予測について紹介し、ミストを用いた加湿試験、炭酸ガス施用試験の研究概要を解説した。さらに、各普及課管内のミスト利用や炭酸ガス施用に関する事例発表を行い、討議をしながら理解を深めた。
 普及課の事例調査結果をとりまとめたところ、野菜栽培におけるミスト導入面積は18.5haに達しており、そのうち4.5haが高圧ミストやミストファンなどの革新的技術であった。炭酸ガス施用は、トマト、イチゴ、ナスなど130haに普及しており、積極的な利用の状況が確認された一方で、期待どおりの効果が得られない等の事例も紹介された。特に、生育が盛んな春期や秋期についてはミスト、炭酸ガスともに知見が不足しており、課題解決が急務である。
 今後は、生産性をさらに向上させるために、制御機器の活用マニュアルや導入上の留意点などを早急に取りまとめる必要がある。広域指導室では、まず今年度中にトマト・イチゴ栽培のミスト利用の普及導入マニュアルを作成する予定である。また、増収と品質向上に向けて、普及課と協力しながら環境制御技術の確立・普及に積極的に取り組み、「愛知の園芸」を支える施設野菜生産地の発展を図っていく。

写真 先進農家における調査(豊明市)

写真 先進農家における調査(豊明市)

写真 生産者圃場での超微粒ミスト実証における噴霧の様子(豊明市)

写真 生産者圃場での超微粒ミスト実証における噴霧の様子(豊明市)

イチゴの生産安定と販売促進に向けた研修会を開催(2012年8月)

  本県のイチゴは産出額(平成22年)80億円で全国第7位である。また、県産野菜の中では、第3位の産出額をあげる主要な施設野菜である。イチゴの消費量は比較的安定しているが、単価の伸び悩みと生産コストの高止まり等で経営環境は厳しい状況にある。また、主要県外産地はオリジナル品種によるブランド化を進めており、今後は産地間競争が益々激化するものと思われる。生産においても、温暖化によって育苗期や定植後の初期生育が不安定となっている。そこで、農業大学校の専門高度化研修として安定生産と販売促進をテーマに、7月26日(水)午後、愛知県いちご生産組合連合会との共催で生産者を始め約180名の参加を得て、農業大学校にて開催された。
  講演では、農業総合試験場から、(1)生産性と品質の向上をねらいとした環境制御に関する研究動向として、炭酸ガスの長期長時間施用と湿度(加湿)制御による光合成促進、冬期における昼高温夜低温管理による省エネ技術など、(2)JAあいち経済連との共同研究による早生性、連続出蕾性、高設栽培適性を有した本県オリジナル品種の育成状況、(3)イチゴの消費者意識調査の結果から、購入時の選択要因として価格、品種、産地の順で優先され、品質では甘さ、傷み(鮮度)の有無、色(赤さ)の順で重視されること等が報告された。続いて、交配用ミツバチの情勢と飼養管理のポイントなどが愛知県養蜂協会長から解説され、最後にJAあいち経済連青果販売課から販売情勢について報告がされた。
  また、温暖化対策の現地実証成果として、(1)遮熱資材を利用した定植時の高温対策(海部)、(2)細霧冷房による本ぽ高温対策(西三河)について各産地の担当普及指導員が報告した。
  研修会のまとめとして、生産性及び品質の向上、地元消費者へのPRや協調販売などの販売促進対策を積極的に講じることによって経営の安定化を図り、担い手を確保すること、さらに本県オリジナル品種を中心とした“愛知のイチゴ”としてのブランド化を推進することなど、生産者を始め関係機関、団体等が連携、協力して産地の活性化を図っていく必要があることを広域指導員が述べて締めくくりとした。

写真 現地導入が進む遮熱資材による高温対策

写真 現地導入が進む遮熱資材による高温対策

写真 昇温抑制効果が認められるミストファン

写真 昇温抑制効果が認められるミストファン

フキの生産安定に向けて~優良種苗の配付~(2012年7月)

 本県のフキは出荷量、産出額ともに全国一であり、特に10月から翌3月までの約6か月間は京浜を始め全国の主要市場において高いシェアを誇る重要な特産物となっている。ビニルハウス栽培によって高い生産性と品質を図っているが、栄養繁殖性の作物であるフキは優良種苗の確保が極めて重要である。本県では平成4年から優良無病苗を園芸種苗センターで生産し、生産者団体である愛知県ふき主産地協議会を通じて知多地域を始め県内産地へ供給している。なお、温暖期での品質向上対策として新品種「愛経2号」を農業総合試験場とJAあいち経済連が共同で育成し、平成19年から栽培に供している。
 本年の優良種苗配付は6月21、27日に行われ、愛知県ふき主産地協議会(平成23年度:107戸、65.4ha)に加入する3JAの生産組織に対して、2品種、計3,000株が配付された。品種別では、「愛経2号」62.7%、「愛知早生」37.3%の内訳であった。配付に当たっては、事前に品種特性や病害虫の有無等の検定を農総試の関係職員で実施しているが、本作は順調に育成され、根株の充実度も優れていた。配付された優良種苗は地域増殖ほにおいて生産部会とJAが主体となって管理、運営されているが、農業改良普及課も栽培指導を行うとともに、農業総合試験場においても現地巡回調査及び指導会を実施し支援している。
 なお、県は愛経2号への全面切替を当初目標としていたが、愛知早生に比べて初期生育がやや遅く、収量性も若干劣るとの現地での評価があり、当面は各品種の特性を活かした作型利用(愛経2号:抑制主体、愛知早生:促成主体)による併用の意向である。
 また、フキ産地の縮小傾向が進んでおり、その背景として消費量の減少による販売単価の低迷が大きな要因となっている。消費拡大対策として新たなレシピや加工品等の開発をJAが主体となって実施しているが、今後においても生産者、関係機関及び団体等が連携、協力して生産安定と販売促進を図り、産地の維持と活性化が必要性である。

写真 フキ優良種苗の育成状況(6月7日検定時)

写真 フキ優良種苗の育成状況(6月7日検定時)

イチゴ、ジネンジョの生産安定に向けて~優良種苗の配付~(2012年4月)

 県及び(社)愛知県園芸振興基金協会が主体となり、主要な栄養繁殖性の園芸作物であるイチゴ、キク、フキ、ジネンジョの4品目について優良無病苗を園芸種苗センターで生産し、生産者団体を通じて県内各産地へ供給している。生産性の向上と品質の安定化において、優良無病苗の供給は極めて重要である。3月上・中旬にはイチゴとジネンジョの2品目について平成23年度の優良種苗が配付されたので、その状況を紹介する。
 イチゴは、愛知県いちご生産組合連合会(平成23年度:702名、152.8ha)に加入する13組織と委託苗生産協議会に対して、4品種、6,400株が配付された。品種の構成は、「とちおとめ」45.8%、「章姫」22.1%、「紅ほっぺ」18.1%、「ゆめのか」14.0%で、前年度に比べて「とちおとめ」が微減し、「章姫」と「紅ほっぺ」が微増した。配付にあたっては、事前に品種特性や病害虫の有無等の検定を実施しており、23年度も種苗が順調に育成された。また、配付時には各産地における地域増殖ほ管理を徹底するため、ほ場衛生を始め施設内の環境改善、栽培管理、生育障害対策について広域指導室から資料提供し、説明を行った。
 ジネンジョは、愛知県じねんじょ主産地協議会(平成23年度:314名、888a)に加入する17部会に対して、無病ムカゴ12万粒が配付された。品種別配布量は、「P-16」が2万粒、「稲武2号(夢とろろ)」10万粒であった。3月1日の配付時には、広域指導室が無病ムカゴの栽培管理上の留意点として、保存や催芽の方法、初期管理のポイントについて指導を行った。
 地域増殖ほは、生産部会とJAが主体となって管理、運営されている。農業改良普及課と農業総合試験場が連携をとり、現地巡回調査及び指導会を実施し支援している。
 なお、優良種苗の供給事業は、産地の維持、発展において重要かつ不可欠であり、地元産地からの要望も強い。しかし、近年では助成金等の減少や園芸種苗センターの老朽化等、優良種苗供給体制の継続が難しい状況となっている。当面は、コスト削減や配付価格の値上げ等で対応するが、将来的な供給体制のあり方を検討する必要性に迫られている。
配付用イチゴ優良種苗

配付用イチゴ優良種苗

問合せ

愛知県 農業総合試験場

電話: 0561-62-0085

E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp