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広域担当の普及員情報(畜産)

ページID:0056621 掲載日:2012年11月28日更新 印刷ページ表示

畜産の情報

豚の効率的繁殖技術をテーマにした養豚研修会を開催(2012年10月)

 10月1日に農業大学校で平成24年度の養豚に関わる実用化技術研究会を開催した。今回は、「豚の発情コントロールと人工授精を活用した効率的繁殖技術」をテーマに、養豚経営の根幹をなす豚の繁殖管理技術を中心とした4題の講演を企画した。鹿児島大学共同獣医学部の野口倫子先生からは、最新の雌豚の発情同期化技術と養豚生産農場での現地試験の結果について講演していただき、さらに畜産研究部養豚研究室からは(1)「精液の凍結保存技術」、(2)「受精卵の凍結保存及び移植技術」の2題、中央家畜保健衛生所からは「PRRSの検査法及び衛生対策」について発表が行われた。研修会は前日の台風の影響により急きょ参加を辞退された方もあったが、県内の養豚農家を始め約70名が参加した。会場では、講演後に養豚農家からのたくさんの質問があり、農家と講師の間で活発な情報交換が行われ、盛況な研修会となった。
 野口先生が発表された雌豚の発情同期化技術については、県内の養豚農家においてまだ馴染みがない技術ではあったが、雌豚を発情同期化し、子豚の出産を集中させることで、計画的な豚舎の利用と徹底した農場の衛生対策が可能となることから、関心を示す養豚農家が多くみられた。
写真 鹿児島大学野口先生の講演の様子  

写真 鹿児島大学野口先生の講演の様子  

新たな肉質基準でブランド化した「鳥取和牛オレイン55」について(2012年9月)

 広域指導室は、平成24年度公益財団法人愛知県農業振興基金助成事業で県畜産課とJAあいち経済連とともに、和牛肉の新基準を採用していることで全国的に注目されている「鳥取和牛オレイン55」(以下、オレイン55)のブランド化に至るまでの取組を調査した。以下に、オレイン55の概要について紹介する。
現在、全国の食肉卸売市場や食肉センター等では、「脂肪交雑」、「肉の色沢」、「肉の締まり及びきめ」、「脂肪の色沢と質」の4項目を用いて牛枝肉の肉質の評価を実施している。こうした中、近年、食べた時の舌触りに影響するといわれている一価不飽和脂肪酸の「オレイン酸」を評価基準に加えて差別化した和牛肉ブランドがいくつか誕生している。これらのうち、最もリードしている存在である鳥取県のオレイン55は、鳥取県畜産試験場が鳥取県の名種雄牛「気高」号の血縁関係をもつ和牛のオレイン酸含有率が高いという研究成果を受けて開発した鳥取和牛(鳥取県のブランド和牛)のプレミアムブランドである。鳥取県、全農、JA全農ミートフーズ鳥取営業所、JA西日本くみあい飼料鳥取営業所、県下JA、鳥取県畜産農協、生産者代表で構成された鳥取県牛肉販売協議会が、鳥取和牛のうちオレイン酸含有率55%以上で肉質等級が3等級以上、三代祖までに「気高」号との血縁を有する種雄牛が確認できること等の基準をすべてクリアしたものをオレイン55として認定している。
 オレイン酸を豊富に含んだオレイン55は、まろやかな脂肪の質が特徴であるが、ブランド化が順調に進んだ要因として、(1)鳥取県牛肉販売協議会を中心にして、関係機関が一丸となって鳥取和牛のプレミアムブランドの創出と推進に取り組んだこと、(2)ブランドに独自性や物語性があったこと、(3)オレイン酸含有率55%以上の基準が関係者だけの意見だけでなく、大学教授、レストランプロデューサー、地元ホテル・旅館の料理長等で構成された「鳥取和牛おいしさ認定基準設定委員会」の意見を取り入れて決定したこと、(4)ブランド名は斬新であり、消費者に商品のコンセプトを伝えやすく、さらに「55」を「ゴーゴー」と読む、語呂の良さもあったことなどがあげられる。
 一方、鳥取和牛の生産者は、オレイン55誕生後、(1)オレイン55に認定されると枝肉価格に反映されたこと、(2)オレイン55の認知度が上がったことで、相乗効果で鳥取和牛の認知度も高まったことなどのメリットが得られたため、オレイン55生産への機運は益々高まっている。
オレイン55の認定率は鳥取和牛全体の約2割程度であることから、安定的に供給できるだけの量が確保できていないことが最大の課題となっている。そのため、オレイン酸含有率55%以上の牛肉の発生率を高めるための和牛の改良や飼育技術の開発が急務となっている。また、鳥取和牛だけでなくオレイン55も県外バイヤーの認知度がまだ低いことから、県外への販路拡大も今後ブランドを定着させる上で重要な課題となっている。
 広域指導室としては、今後、鳥取県のオレイン55の取組を分析し、愛知県のブランド和牛である「みかわ牛」のブランド発展の取組に役立てていく。
写真 オレイン酸含有率を測定する機器

写真 オレイン酸含有率を測定する機器

写真 オレイン酸含有率測定の様子

写真 オレイン酸含有率測定の様子

県内の養豚農家で人工授精の普及が進む(2012年7月)

 県内の養豚農家では豚の人工授精の利用が進んでいなかったが、近年、精液の希釈液の改良により精液の保存性が改善されたことや精液の調達体制が整備されたこと、人工授精の機器・器具の開発が進んだこと、人工授精による繁殖成績の向上などにより、その普及が拡大している。
 今年5月に畜産研究部養豚研究室と広域指導室は、畜産課と愛知県養豚協会の協力を得て、養豚農家での豚の人工授精の普及状況をアンケート調査した。調査は県内の繁殖・肥育一貫経営を営む農家のほぼ半数にあたる92戸の協力を得た。その結果、57%の農家が人工授精を利用していることが分かった。さらに、人工授精を実施している農家の内訳をみると、67%は人工授精と自然交配を併用し、21%は人工授精だけで繁殖を行っていた。
 人工授精は、種付け作業の短縮化や雄豚頭数の削減、優良雄豚の精液の利用などの多くの利点があることから、今後も県内での普及が拡大すると期待される。
 今回、この他にも繁殖技術に関するアンケートを実施したので、今後、結果をまとめて、養豚研究室や広域指導室から研究会等を通じて各農業改良普及課を始め関係機関や県内の養豚農家に報告し、繁殖管理技術の向上に活用する。
表 人工授精の利用状況
表 人工授精の利用状況
表 人工授精実施農家の内訳
表 人工授精実施農家の内訳

みかわ牛出荷者協議会、発足一周年を迎える(2012年7月)

 7月5日に豊橋市明海町の東三河食肉流通センターにて、みかわ牛出荷者協議会総代会が開催され、発足一周年を迎えた。また、当日はみかわ牛枝肉共励会も行われた。
 「みかわ牛」は愛知県内の「みかわ牛生産農場」(現在70戸が認定)で1年以上肥育された黒毛和種のうち、肉質が特に優れたものに与えられるブランドで、愛知県産農産物ブランド化推進基本方策の中でも重点的に育成していくブランド品目に選定されている。
 みかわ牛出荷者協議会は、昨年6月25日に発足され、これまでに各種イベントによるPR活動を活発に実施してきた。その広報活動の効果が徐々に出始めており、牛肉を取り扱う購買者に「みかわ牛」が少しずつ知れ渡るようになってきている。
 平成23年度の「みかわ牛」取扱頭数は、最高級品質の「みかわ牛ゴールド」が417頭、一定以上の品質をもつ「みかわ牛」が2,321頭と合計で2,738頭であり、平成22年度の2,356頭より382頭増加した。
 広域指導室としては、平成24年度財団法人愛知県農業振興基金助成事業を活用して、「みかわ牛」のブランドの現状を解析し、今後の方向性を決めることで、ブランドの発展を支援していく
写真 みかわ牛枝肉共励会(7月5日開催)

写真 みかわ牛枝肉共励会(7月5日開催)

図 みかわ牛年間取扱頭数の推移

図 みかわ牛年間取扱頭数の推移

平成23年度の系統豚と平成23年次の名古屋コーチンの普及状況(2012年5月)

 平成23年度の系統豚と平成23年次の名古屋コーチンの普及状況が県畜産総合センター養豚課と同種鶏場によって集計された。

 愛知県は全国で唯一3品種(ランドレース種、大ヨークシャー種、デュロック種)の系統豚を供給しており、系統豚の県内普及率(平成22年度)は67%(農家戸数ベース)と非常に高く、一貫経営の養豚農家に普及している。平成23年度の譲渡実績は合計415頭(雌  259頭、雄156頭)で、宮崎県の口蹄疫発生の影響等で落ち込んだ前年の294頭(雌188頭、雄106頭)と比べ41.2%増となり、400頭台に回復した。平成23年度は、前年に農業総合試験場が開発したランドレース種系統豚「アイリスL3」(写真1)が8月から譲渡が開始された初年度であったが、合計86頭(雌65頭、雄21頭)が譲渡され、順調に普及している状況である。

アイリスL3

アイリスL3

 一方、愛知県を代表するブランド畜産物である名古屋コーチン(写真2)では、平成23年に生産された雛の総羽数は902,656羽(前年比8.1%減)で、うち肉用が836,589羽(同8.4%減)、卵用が66,067羽(同3.9%減)であった。前年と比べて、肉用、卵用ともに羽数が減少したが、卵用よりも肉用の雛生産の減少幅が大きかった。これは、近年、景気低迷の影響から名古屋コーチンの鶏肉の需要が落ち込んだのに加えて、平成23年2月に新城市にある名古屋コーチンの雛を販売する孵化場の農場で鳥インフルエンザが発生したため、該当孵化場での雛の生産が前年より落ちたためと思われる。しかしながら、卵用については県畜産総合センター種鶏場が種卵を代替供給したことから、生産羽数の減少幅は小さくすんだ。最近は名古屋コーチンの鶏肉需要も回復しつつあり、規模拡大を志向する生産者も現れているので、今後、肉用の生産羽数の増加が期待される。
名古屋コーチン

名古屋コーチン

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愛知県 農業総合試験場

電話: 0561-62-0085

E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp