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育成品種 野菜22
トマト 「サンドパル」
愛知県農業総合試験場は、多様な用途・需要に対応した農業技術開発の一つとして、トマトの消費動向に沿い、生産現場の負担軽減に役立つ新品種「サンドパル」を開発しました。
「サンドパル」は、果色が特徴のある赤色で、200g程度の大玉となり、サラダやサンドイッチ等向けのカットやスライス用に適する特性を持っています。また、単為結果性※を持っているため、生産者は着果のための労力やコストを軽減できます。
※ 単為結果性とは、受粉・受精がなくても果実が形成される性質をいいます。
「サンドパル」の特徴
- 果色は朱色に近い赤色です。子室数が多く、スライスしたときにゼリー部が落ちにくく、果汁が液だれしにくいため、サラダやサンドイッチなどの需要に向いています。
- トマト栽培では、生産者が植物成長調節剤(植物ホルモン剤)処理やマルハナバチ(訪花昆虫)を使った受粉で着果させています。本品種は、単為結果性を持っているため、これらの処理や作業が不要です。
- 果実の重さは200g程度で、平成13年に(株)サカタのタネと共同開発した単為結果性品種「ルネッサンス」より約20%重くなります。
- 空洞果の発生は極めて少なく、花落ち部は小さいため、果実の外観が優れます。
- 糖度(Brix)は、一般的な海外品種より高く、慣行品種と同等以上です。
- 果形は豊円です。なお、低温期を経過する栽培では着果果実に果頂部の突出がみられる場合があります。
- トマトモザイクウイルス(Tm-2a型)、萎ちょう病(レース1、レース2)に抵抗性です。
- 平坦地での促成栽培と半促成栽培、中山間地での夏秋栽培に適しています。
「サンドパル」の開発の経緯
近年、トマトの消費では、サラダ、サンドイッチ等向けのカットやスライス用途の需要が伸びています。一方、生産者からは、多用途に対応できるとともに、植物成長調節剤処理やマルハナバチによる受粉が不要となる単為結果性品種が求められています。そこで、農業総合試験場では、平成17年から新品種の開発に取り組み、消費者と生産者の双方のニーズに応えるトマト「サンドパル」を開発しました。
サラダやサンドイッチ等向けのカットやスライス用に適する「サンドパル」
問合せ先
愛知県農業総合試験場
園芸研究部野菜研究室
電話: 0561-41-8967(ダイヤルイン)
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp