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令和元年度外部評価結果

ページID:0274297 掲載日:2024年3月27日更新 印刷ページ表示

令和元年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況

1 日時

  令和元年11月21日(木曜日)午後2時から午後5時まで

2 場所

  愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第2会議室

3 評価委員(敬称略)

令和元年度愛知県農業総合試験場外部評価委員
所属・職名 氏名
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授 浅川 晋(座長)
株式会社CBCテレビ 参事 伊藤 博康
生活協同組合コープあいち 副理事長 平光 佐知子
東海漬物株式会社漬物機能研究所 所長 吉澤 一幸

4 評価内容

  「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2020」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について

5 報告

  会議座長の浅川 晋氏から次とおり評価結果票が提出されました。

令和元年度農業総合試験場外部評価結果票

評価結果の総括

 愛知県農業総合試験場は、農家の経営革新や産地強化を図り、環境保全、安全・安心な農畜産物の安定供給という要求にも応えるための試験研究・技術開発を、急速に変化し複雑化する社会的背景のもと、日々努力と工夫を重ね実施しています。今回の評価対象課題のいずれについても、それぞれの課題に対応するニーズと背景に対し適切な目標を定め、着実に研究に取り組み成果を上げていると概ね評価できます。

 一般に農業試験研究では、成果が形となり、技術として普及するまでには長時間を要し、長年にわたる地道な研究がその土台となっています。農業技術開発にはこのような基盤的研究活動が大切であり、試験研究予算の一層の充実を県行政サイドに求めます。また、普及技術の開発では、産学等との共同研究に加え、場内の関連部門との連携を一層進め、様々な条件に対応できる柔軟かつ堅固な技術として仕上げた上で普及できるよう期待します。さらに、高度情報化社会の中で、試験場の取り組みや成果を効果的にアピールできるような工夫を引き続き進めていく必要があると考えます。

(研究課題) カンキツ「夕焼け姫」の露地栽培における高品質安定生産技術の確立

研究課題の設定について

 果皮色の濃いカンキツ新品種「夕焼け姫」の高品質安定生産技術はブランド化には必須要件であり、ニーズに合致した適切なテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 被覆資材と植物成長調節剤の利用による糖度上昇で着実な成果を得ていると評価します。

今後の計画について

 処理継続が樹体へ及ぼす影響の把握と隔年結果の是正は安定生産に重要であり、栽培マニュアル作成も含め予定している計画は妥当なものと評価します。資材敷設の労力軽減、廃マルチの処理の問題、果重(大きさ)の確保に関わる取り組みも期待したいところです。また、樹体にストレスを与える栽培法と考えられますので、樹体の栄養状態の把握と維持の視点も重要かと思われます。さらに、今後の方向性として、気候変動への対応、機能性成分評価、行政・JA・消費者等と一体となったブランド化への取り組みも期待します。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) 「かがり弁ギク」の生産・供給体制強化と高付加価値化

研究課題の設定について

 新規需要の創出が見込まれるキク新品種の産地の形成・振興に寄与する研究課題であり、キクの生産全国第一位の県として積極的に取り組むべきテーマ設定と評価します。

研究の取り組み状況について

 高付加価値を維持した作型の設定や需要期に合わせた作期拡大について着実な成果を上げ、実際に生産者の拡大に繋がっており、高く評価します。また、市場拡大に向け、市場性、嗜好性の把握は重要であり、消費者・流通関係者への調査により十分なデータを収集している点も評価できます。

今後の計画について

 高品質生産・安定供給技術の確立は産地形成につながり、花色拡大の試みはさらなる用途の広がりにも寄与すると思われ、研究の方向性として適切と考えます。生産・供給体制強化のためには資金面など生産者支援の検討も必要かと思います。また、すでに高い評価を得ている品種ですが、認知度の高いネーミング、プロモーション、SNSの活用による若者向けPRなど、ブランド化や市場拡大に向けたさらなる取り組みに期待します。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) オンサイト小型バイオガス発電システムの要素技術開発

研究課題の設定について

 家畜排泄物からメタン発酵によりエネルギーを回収し有効利用することは資源循環という社会的ニーズに沿うものですが、その発酵残渣の処理には解決すべき問題が多く、発電システム開発の中で最も難しい課題を担当していると言えます。小規模酪農家に導入可能なシステムを開発するという視点は新しく、評価できます。

研究の取り組み状況について

 消化液の水稲、野菜、緑肥作物への液肥としての利用と曝気処理について、基礎的な試験データを集積していることを評価します。液肥利用のコストや曝気処理による環境負荷の評価が必要と思われます。

今後の計画について

 場内実規模施設を用いてより現場に近いデータを収集する計画は妥当と考えます。普及に際し、耕畜連携のあり方や農家への資金援助体制など幅広い視点での検討が必要です。また、SDGsに関連し教育関係でのアピールや海外展開などの取り組みも期待します。

総合評価:B(A~Dの4段階評価)

 

(研究課題) ブドウ・イチジク・ナシの本県オリジナル品種の育成(イチジクのオリジナル系統の開発)

研究課題の設定について

 日本一の生産県として、国の研究機関で行われていないイチジクの育種に取り組み、県オリジナル品種を開発することは生産者のみならず、消費者にとっても重要な課題であり、加速して進めるべき研究と高く評価します。

研究の取り組み状況について

 永年作物である果樹の育種には一般に極めて長い時間を要します。DNAマーカーの利用により育種工程の短縮化を行い、獲得個体数を増やし、得られた系統の特性評価も一部行うなど、着実に成果を得ていると評価できます。

今後の計画について

 さらなる効率化を図り、品種の開発を進める計画は妥当と評価します。その中で、食味や外観等の品質の客観的評価と、県独自の品種としての特徴や魅力につなげる品質特性の整理が必要かと思います。また、これまでの品種育成の取り組みと目標を県民に分かりやすくアピールすることも重要ではないかと考えます。県民のニーズに応える、愛知ブランドのイチジク品種の開発に期待しています。

総合評価:A(A~Dの4段階評価)

 

問合せ先

愛知県農業総合試験場
研究戦略部企画調整室
電話: 0561-41-8963(ダイヤルイン)
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp