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育成品種 作物17
稲 「もみゆたか」
国民1人当たりの米消費量は昭和30年代をピークに減少が続き、米の需給バランスの変動から米の価格は低迷しています。このことから、愛知県では水田農業の担い手の経営安定のために、主食用米に麦・大豆・新規需要米を組み合わせた生産に取り組んでいます。 そこで愛知県農業総合試験場は、従来の品種に比べ格段に収量が多く、米粉麺に向き飼料用米にも利用できる新品種「もみゆたか」を開発しました。本品種の導入により、米粉麺用・飼料用米の安定生産が可能となります。
上:「もみゆたか」 下:「あいちのかおりSBL」穂長の比較
「もみゆたか」の特徴
- 「もみゆたか」は、愛知県で最も多く作付されている主食用米の「あいちのかおりSBL」に比べ穂が非常に長く、収量は3割程度多くなります。
- 米粉麺の食味は、麺用品種としてよく用いられている「越のかおり」に比べ、粘りがあり優れています。
- 多収であることから、飼料用米としても利用できます。
- 玄米の形は、一般の主食用米に比べて細長粒です。
- 稲の重要病害であるイネ縞葉枯病に抵抗性があります。
開発の経緯
水田を有効に利用し生産者の経営を安定するため、米粉麺用米や飼料用米の作付要望が高まっていますが、製麺に適し、安定的に収量が多い品種はありませんでした。 そこで、農業総合試験場では、平成18年から米粉麺に適する特徴を持ち、収量の多い品種開発に取り組みました。平成24年度からは、農林水産省の農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業を活用しさらに開発を進め、新たに「もみゆたか」を開発しました。
関連説明
米のデンプン成分には、アミロースとアミロペクチンがあります。このうちアミロースを多く含む品種が、製麺に適しています。主食用品種のアミロース含量は、16~18%程度ですが、本品種のアミロース含量は、26%程度です。米粉麺用品種「越のかおり」のアミロース含量は33%程度です。アミロースが少ない「コシヒカリ」などの主食用品種では、粘りすぎて麺にできません。一方、アミロースが多い米は、炊飯するとパサパサした粘りが少ない食感になります。
「もみゆたか」の登熟期の草姿
左:「もみゆたか」 右:「あいちのかおりSBL」
玄米の外観
「もみゆたか」の米粉麺
問合せ先
愛知県農業総合試験場
作物研究部作物研究室
電話: 0561-41-9517(ダイヤルイン)
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp