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令和4年度外部評価結果
令和4年度愛知県農業総合試験場外部評価会議の開催状況
1 日時
令和4年10月28日(金曜日)午後2時から午後5時まで
2 場所
愛知県農業総合試験場 中央研究棟 第1会議室・研修ホール
3 評価委員(敬称略)
所属・職名 | 氏名 |
---|---|
名古屋大学大学院生命農学研究科 教授 | 浅川 晋(座長) |
株式会社CBCテレビ 報道・情報制作局報道部 専任部長 | 伊藤 博康 |
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 基盤技術研究所 所長 | 井上 孝司 |
生活協同組合コープあいち 参与 | 平光 佐知子 |
4 評価内容
「愛知県農林水産業の試験研究基本計画2025」に基づき実施した試験研究(研究課題)に関する評価について
5 報告
会議座長の浅川 晋氏から次のとおり評価結果票が提出されました。
令和4年度農業総合試験場外部評価結果票
評価結果の総括
高齢化と担い手減少が進む中、経営革新と産地強化、環境保全を図りつつ、安全・安心・良質な農畜産物を安定供給するという使命に応えるため、日々地道な努力と工夫を重ね試験研究・技術開発に取り組まれていることに敬意を表します。従来からの多収・高品質化、高収益・省力化に加え、スマート化、気候変動への対応、持続的農業の推進、ブランド力の強化と、農業には多種多様な課題への対応が求められています。加えて、コロナ禍とウクライナ情勢に伴う物流停滞や輸出規制は肥料・飼料・燃料などの生産資材費の高騰あるいは供給不足を招いており、それらの多くを輸入に依存する国内農業はさらに難しい課題への対応が迫られています。このような状況下、今回の評価対象課題は、それぞれのニーズと背景に対し適切な目標を定め計画を策定して試験研究を実施し、着実に成果を上げていると概ね評価できます。
産学等との共同研究により関連分野の知見や技術を積極的に取り入れる取り組みが順調に進んでいる点を評価します。さらに、必要に応じ場内の他部門との連携にも取り組まれることを期待します。新技術の実装化・普及には生産者・消費者等のニーズとのマッチング、効果的な普及方法や広報活動の検討も重要と考えます。農業技術開発には長年にわたる地道な研究活動が必要であり、また、以前にも増して高度化・複雑化した内容に取り組むべき試験研究課題が多くなっていると思います。それらを支える基盤的な試験研究予算の継続的な確保とともに、専門性にも配慮した人材養成・配置が重要になっていると思います。
(研究テーマ) 農作業の身体負荷軽減に向けたパワーアシストスーツの開発
研究テーマの設定について
担い手減少や高齢化の中、重量野菜の収穫など重労働の農作業における身体負荷軽減、さらには新たな担い手確保や大規模化にも貢献する重要なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
大規模キャベツ栽培を対象に、人体への負荷調査結果をもとに、市販既製品をベースとして開発元企業との共同研究で農作業向けの製品開発を進めている点は合理的であり、適切に研究に取り組んでいると評価します。
今後の計画について
テスト販売の成功、さらには長く使われる製品としていくためには、マーケティング調査による価格設定の妥当性の検討が必要かと思います。他の重量野菜の収穫作業等への適用拡大により製品を汎用化し、さらなる低コスト化を目指す方向もあるかと思います。今後は高齢者等の若手以外の従事者向けの製品開発も期待します。
総合評価:B(A~Dの4段階評価)
(研究テーマ) 未利用資源(エゴマ搾り粕)を活用した豚の飼養管理技術の開発
研究テーマの設定について
これまで廃棄(堆肥化)されていたエゴマ油製造副産物の脂肪酸組成の特性を利用し、健康面でアピールできる豚肉生産を目指す課題であり、未利用資源を飼料に有効活用する適切なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
搾り粕の保存方法の検討、添加飼料の給与による肥育試験を実施し、発育、産肉、脂肪酸組成のデータを着実に得ており、社会実装に向け適切に研究に取り組んでいると評価します。
今後の計画について
消化率の調査を行う計画は妥当と評価します。ネーミングやブランド化により、健康面で付加価値のある豚肉生産の普及とプロモーションを進められることを期待します。加えて、美味しく食べるメニュー開発や食味のアピールも期待します。
総合評価:A(A~Dの4段階評価)
(研究テーマ) イノシシへの効果的な豚熱経口ワクチン摂取方法の開発
研究テーマの設定について
豚熱は未だ全国的に大きな問題です。感染防止の決め手となる野生イノシシへの免疫付与を効率的に行う方法を開発する課題であり、極めて重要かつ適切なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
イノシシの体格や行動の特性をうまく利用したユニークなアイデアを用い、しかも市販のブロックを使って安価で容易に実施できる方法を考案し、効果を実証しており、極めて優れた取り組みと高く評価します。
今後の計画について
県内他地域で現地試験を行う計画は妥当と思います。公知化し特許とせずに広く普及を図る方針にも賛同します。愛知県発の技術として、県内に限らず全国の必要な地域に普及し、豚熱の発生防止に大きく貢献することを期待しています。
総合評価:A(A~Dの4段階評価)
(研究テーマ) 名古屋コーチン始原生殖細胞の凍結保存技術の確立
研究テーマの設定について
近年、自然災害の頻発や激甚化、新興伝染病の流行が続く中、貴重な遺伝資源の消失に備え、愛知県のブランド地鶏名古屋コーチンの生体以外での保存方法を開発する重要な課題であり、適切なテーマ設定と評価します。
研究の取り組み状況について
関連技術を有する協定研究先と連携し、年次計画に従い着実に研究を進め、細胞培養技術を確立しており、保存技術の確立に向けて適切に研究に取り組んでいると評価します。
今後の計画について
保存した始原生殖細胞から名古屋コーチンを復活させる技術に取り組む計画は妥当と思います。可能であれば、難易度が高いあるいはブレークスルーが必要な検討項目については早めに着手されることが望ましいと思います。また、保存体制の確立や技術の伝承、専門家の育成への取り組みも必要と思います。
総合評価:A(A~Dの4段階評価)
問合せ先
愛知県農業総合試験場
研究戦略部企画調整室
電話: 0561-41-8963(ダイヤルイン)
E-mail: nososi@pref.aichi.lg.jp