愛知県衛生研究所

医薬品成分が検出された
違法「健康食品」について

(平成18年4月1日から平成19年3月31日までの検出状況)

2007年5月14日

注意ください!!  いわゆる「健康食品」

食生活を通じた健康づくりに対する関心の高さから、いわゆる「健康食品」が、栄養補給や健康増進を目的として店頭販売だけでなく新聞・雑誌やインターネット広告による通信販売を介して広く流通しています。製品の多くは民間療法として伝承されているものですが、なかには効果を増強させるため医薬品成分が添加された事例があります。2002年には、中国で製造されたいわゆるダイエット用食品を購入、摂取した800名を超える消費者が、肝臓障害など健康被害を引き起し、このうち女性3名が死亡しました。後の調査から、多くの中国製ダイエット食品に甲状腺末、N-ニトロソフェンフルラミンなど医薬品成分が作為的に添加されていることが明らかになりました。この時の愛知県内健康被害者は、118人と全国で最多でした。また2005年にもダイエット用食品摂取者の死亡が報告され、同様な消費者の健康被害事例はあとを絶ちません。これまで「健康食品」の購入は販売店から購入するのが一般的でしたが、インターネットの普及により、国内のみならず海外からも個人が簡単に購入できるようになりました。これは個人の判断によって、「健康食品」を自由に摂取することができることを意味します。このため、今後も消費者自らが気付かないうちに健康被害の危険に晒される同様な被害事例の発生が、懸念されています。

愛知県は、このような違法な「健康食品」が社会に流通することによって引き起こされる健康被害を未然に防ぐため、効能などを暗示あるいは標ぼうしている製品に関し、その内容から添加を疑われる医薬品的成分の含有について確認、調査を行ってきました。過去7年間では、ダイエット成分であるフェンフルラミンシブトラミン、強壮成分であるシルデナフィル、副腎ホルモン剤であるデキサメタゾン、抗炎症剤であるインドメタシンなどが混入された事例を公表し、消費者に注意喚起し、情報提供(最新版は、こちら)を行ってきました。

フェンフルラミン(fenfluramine):一部外国では、脳内セロトニン作動性の食欲抑制薬として肥満症の治療のため承認されているが、国内では未承認。副作用として血圧上昇、心臓疾患が報告され、米国では1997年に使用禁止。またN−ニトロソ−フェンフルラミンは、フェンフルラミンのニトロソ化合物であり、発がん性も予測される危険な成分。

シブトラミン(sibutramine):海外では医薬品としての承認があるが、国内では未承認。中枢性食欲抑制作用があり、肥満症の治療に使用される。副作用として血圧上昇、心拍数増加、頭痛、口渇、便秘が報告されている。

シルデナフィル(sildenafil):勃起不全改善作用を持つバイアグラの成分。副作用として血管拡張作用による頭痛、ほてり、視覚障害が報告されている。さらに重要なことは、狭心症や高血圧の薬として用いられるこれらの物質とは作用機序の異なる血管拡張剤である硝酸剤及び酸化窒素供与剤(ニトログリセリン等)との併用により血管拡張作用が増幅され、結果的に降圧作用が増強され、時としては死にいたる可能性がある。詳しくはこちらを参照してください。

国内における医薬品成分の検出状況

違法かつ健康に危害を及ぼす恐れのある少なからずの「健康食品」の流通事例が厚労省のウェブサイトで公表されています。そこで、平成18年4月1日から平成19年3月31日までの1年間に、国内において「健康食品」から検出された医薬品成分の検出状況について調べたところ、以下のとおり合計66件となりました。

表 医薬品成分の検出状況(平成18年4月1日から平成19年3月31日まで)
分  類検出された医薬品成分
シルデナフィル
及び類似成分
ダイエット系
成分
滋養、抗炎症
系成分
原産国表示中国1810
日本700
台湾、韓国、マレーシア601
米国、カナダ411
不明2070
形状カプセル3891
錠剤1200
液体501
合 計 (66件)5592

その内訳は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル及びそれらの類似成分(図1、2)55件、シブトラミン及び甲状腺末9件、生薬オウゴンとゲンチアナ(滋養作用)1件、インドメタシンとデキサメタゾン(抗炎症作用)1件でした。

薬の写真
図1.厚生労働省のホームページから転載
薬の写真
図2.厚生労働省のホームページから転載

このように、この1年間に「健康食品」に違法に添加された医薬品成分は多くがシルデナフィル等及びそれらの類似成分(83%)であり、勃起不全、強壮効果を期待させたものでした。残り9件がダイエット効果を期待させたもの(シブトラミン、甲状腺末)、その他2件ということになります。違法に添加された医薬品成分は、@強壮効果を期待させたもの、Aダイエット効果を期待させたもの、B精神安定効果を期待させたもの、C抗炎症効果を期待させたものが過去に出現していますが、今回も相変わらずの傾向を示しています。こうした医薬品の成分を含んだ食品は、「無承認無許可医薬品」に該当し、薬事法違反物として、販売停止、回収などの行政処置が全国レベルで取られています。

「健康食品」を上手に利用するために

今回検出された強壮効果、ダイエット効果を期待させ、不正に添加された医薬品成分は強い副作用が出現する可能性があるものばかりで、このような「健康食品」を摂取することは、1)薬事法上違法なものを口にしていること、2)「健康食品」ではなく、薬を飲んでいることになること、したがって、3)不必要な薬の作用が発現すること、4)「健康食品」と信じて、長期間摂取することにより、例え含まれている量が少なくても薬の副作用が出現する可能性があること、などが心配されます。もちろん全ての「健康食品」が違法なものでもなく、また、健康を害するものではありません。「健康食品」は病気の治療・予防を目的とするものではないことから、医薬品とは異なり、製造販売に関する許可制度や「健康食品」そのものに関する規格基準も厳しく規定されておらず、副作用や薬物相互作用などの臨床上注意すべき評価も十分に管理されているとは言えません。製造工程での不純物の混入や、ハーブ類と有毒植物の取り違えの事故も発生しやすいと考えられています。すなわち、「健康食品」はあくまで栄養補給や健康の維持など一般的な食品の範囲の目的しか持っていないものなのです。このような「健康食品」について、消費者は十分に理解し、健康は「健康食品」の摂取等により安直に得られるものではなく、バランスの良い食生活や運動等、日常の生活習慣全体から得られることも認識することが大切と考えられます。また健康食品等を個人輸入するときの注意事項については「健康食品の基礎知識」の「健康食品や外国製医薬品、化粧品等と上手につきあうために(厚生労働省作成2006年版)」を参考にして下さい。