愛知県衛生研究所

中国における乳製品へのメラミン混入について

2008年9月25日(10月1日更新)

概要

中国で有害物質メラミンが混入した粉ミルクを飲み、多数の乳幼児が腎臓結石になった事件が報道されています。中国国家品質監督検験検疫総局によれば、9月17日までに調査した原料粉乳メーカー109社のうち22社の製品からメラミンが検出されたとのことです。また、香港政府食品安全センターは、9月21日に中国製の牛乳からメラミンが検出されたと発表しました。

日本国内においては、9月26日に高槻市及び大阪府から、丸大食品(株)が自主回収した加工食品の一部よりメラミンが検出されたとの発表がありました。

今回食品への混入が認められた工業用化学物質メラミンは、窒素含量が高い(分子量あたりの窒素割合66.7%)ため、低品質原材料(牛乳)の見かけの蛋白質含量を多く偽装する目的で添加されたものと推測されます。近年、メラミンの混入が問題となった事例は、昨年5月の北米に輸出された中国製のペットフード原材料への不正添加で、その概要については当サイトのページ「メラミン添加によるペットフード原材料の擬装」(平成19年6月7日掲載)で情報提供しています。

参考リンク
厚生労働省報道発表資料
「中国における牛乳へのメラミン混入事案への対応について(第3報)」
内閣府食品安全委員会ページ
「中国における牛乳へのメラミン混入事案に関する情報について」

我が国の対応

厚生労働省は、9月26日食品衛生法に基づき、輸入者に対し、中国から輸入される乳及び乳製品並びにこれらを原材料とする加工食品についての検査命令を通知しました。

また、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の原材料にもメラミンが混入した乳が使用されていたおそれがあるとして、医薬品等の製造販売業者に対し、原材料に中国産乳の使用が認められた場合には検査を実施する等、医薬品等の品質と安全性の確保を図るための必要な措置を講ずるよう指示しています。

参考リンク
厚生労働省ページ
「食品衛生法第26条第3項に基づく検査命令の実施について」
厚生労働省報道発表資料
「中国産乳由来原材料を使用した医薬品等の品質及び安全性確保について」

メラミンについて

用途は、特殊な医薬品原料を除き、多くはホルマリンと反応させてメラミン樹脂として用いられます。このため、食品衛生法の規制対象ではありません。動物実験での毒性は低いですが、ラットやイヌで利尿作用や結晶(シアヌル酸メラミン)尿が認められています。

米国食品医薬品庁(FDA)の設定しているメラミンのTDI(耐容一日摂取量)『0.63mg/kg体重/日』をあてはめると、体重60kgの人が1日当たり許容できる摂取量は、0.63×60=37.8mg となります。

TDI(耐容一日摂取量):耐容摂取量は、意図的に使用されていないにもかかわらず、食品中に存在したり、食品を汚染する物質(重金属、かび毒など)に設定される。耐容一日摂取量は、食品の消費に伴い摂取される汚染物質に対して人が許容できる一日当たりの摂取量である。

参考リンク
内閣府食品安全委員会ホームページ
メラミン及び関連化合物の構造式