愛知県衛生研究所

中国における乳製品へのメラミン混入について

2008年9月25日(更新日:2025年12月16日)

2008年、中国で乳児用粉ミルクに有害物質「メラミン」が混入し、多数の乳幼児が腎臓結石などの健康被害を受ける事件が発生しました。

当時の中国国家品質監督検験検疫総局(現・国家市場監督管理総局)の発表によると、9月17日までに調査した原料粉乳メーカー109社のうち、22社の製品からメラミンが検出されたとのことです。

日本国内の対応

日本国内の対応は素早く、厚生労働省は9月12日に中国国内の報道を入手し、同日には中国から輸入される乳及び乳製品の輸入手続きを保留しました。 国内メーカーも自主的に点検および自主回収を開始しました。

厚生労働省は9月20日にも、中国から食品を輸入する者に対し、メラミンの混入がないか点検・検査すること、メラミンが検出された場合は輸入を認めないことを指示しています。

9月26日、高槻市及び大阪府から、メラミン混入が確認された製造者の牛乳を使用していたため自主回収となっていた加工食品のうち、一部の製品からメラミンが検出されたと発表がありました。これを受けて厚生労働省は食品衛生法第26条第3項に基づき、中国から輸入される乳及び乳製品、並びにそれらを原材料とする加工食品に対して検査命令を出しました。 最終的に全国で36品目の食品からメラミンが検出されました。

併せて、医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器の原材料にも中国産乳が使用されていた可能性があるとして、乳由来原材料を使用する製造販売業者に対し、原材料の確認と必要な検査の実施が指示されました。

メラミンとは

メラミンは、主にホルムアルデヒドと反応させてメラミン樹脂を作る原材料として使用される工業用化学物質です。

通常は食品に使用されることはありませんが、 分子量あたりの窒素含量が高いため、低品質な乳原料における見かけ上のタンパク質含量を増加させる目的で、不正に添加されたと考えられています。

動物実験では、メラミン単独での毒性は比較的低いとされていますが、シアヌル酸と同時にばく露することにより強い腎毒性を示すことが確認されています。

2008年12月、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)はメラミンとシアヌル酸の毒性に関する国際的専門家会合を開催し、メラミンの耐容一日摂取量(TDI:人が一生涯にわたって摂取し続けても健康に悪影響が出ないと推定される一日量)を0.2 mg/kg体重/日と設定しました。 これは、体重60 kgの成人であれば、1日あたり12 mgまでの摂取が許容されるという計算になります。

そのほかメラミンの混入が問題となった事例として、2007年5月の北米に輸出された中国製ペットフード原材料へのメラミン不正添加がありました。 その概要およびメラミンの詳細情報については当サイトの 「メラミン添加によるペットフード原材料の擬装」のページで情報提供しています。

参考資料・リンク