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「税源移譲に関する検討」の報告書について

ページID:0236609 掲載日:2014年3月19日更新 印刷ページ表示

「税源移譲に関する検討」の報告書について

 地方税制に関する研究会(座長:立教大学経済学部教授 池上岳彦)では、地方分権の確立に向けて、国から地方への税源移譲のあり方について検討し、平成14年4月、「税源移譲に関する検討」と題する報告書を取りまとめました。
 この報告書の中では、国と地方を通じた歳入中立を前提とした上で、地方税ばかりでなく、地方交付税や国庫補助金などについても、国と地方の配分のあり方について検討し、国と地方の税配分の比率が1:1となるようにシミュレーションをした結果を報告しています。

「税源移譲に関する検討」の報告書の要旨

1 地方税財政制度の改革の必要性

(1) 税源移譲の必要性

 地方の財政的な自立を図るためには、その歳出は、できる限り自主財源である地方税によって賄われることを基本とすべきであり、地方税源の充実により財政面における自己決定権と自己責任がより拡充される。また、受益と負担の関係が明確になることにより、国・地方を通ずる行政改革や財政構造改革の推進にもつながることとなる。

(2) 国庫補助負担金の見直し

 国庫補助負担金は、全国的・広域的に便益が及ぶものや、国が国民に最低限保障すべき行政サー ビス水準の維持達成など国の負担が特に必要なものに限定し、地方団体に固定化した事務事業への交付金、奨励的・財政支援的補助金、建設事業に係る負担金については、極力縮小し、地方税などの地方一般財源に振替えていく必要がある。

(3) 地方交付税の見直し

 国の財政事情等による地方交付税の一方的な削減は容認できないが、地方分権を進める上では、税源移譲や国の関与の見直しと一体となった地方交付税の見直しが進められるべきである。

2 地方税財政改革の方向(税源移譲を中心に)

(1) 基本的な考え方

 税源の地域的偏在が少ないという意味での普遍性、税収が景気の変動から受ける影響が小さいという意味での安定性のある税目を対象とすべきである。

(2) 税源移譲に適する主要税目

1 個人住民税

地域社会で使用する費用を住民が能力に応じて広く負担をするという個人住民税の性格から個人住民税が地方税の中心となると考える。これを拡充し、この分だけ国の所得税率を引下げる必要がある。

2 地方消費税

地方消費税は地域的な偏在が小さい税である。しかも税収が比較的安定的であることを考慮すれば、消費者による購入行為が行われた地方団体の収入とするのが適当である。

(3) 地方特例交付金の廃止

 地方特例交付金制度については、恒久的な減税に伴う地方税の減収の一部を補てんするため、地方税の代替的性格を有する財源として創設されたもので、抜本的な税制改正が行われるまでの時限的なものであるので、税源移譲に伴い、その制度を廃止し、地方交付税に一本化するべきである。

3 税源移譲シミュレーション

 今回のシミュレーションでは、現在58:42となっている国と地方の税配分が1:1となるよう税源移譲の規模を約7兆円とした上で、地方全体として「歳入中立」となる税源移譲及び地方交付税と国庫補助負担金の減額が、各都道府県の歳入に与える影響を試算した。

(1) 税源移譲 (約7兆円 都道府県3兆円、市町村4兆円程度)

1 個人住民税(所得割)については、道府県民税で3%、市町村民税で7%のフラット税率を適用するかわりに所得税率を軽減。

2 地方消費税については、現行の消費税の20%(消費税率5%のうち1%)を地方消費税としているが、この比率を50%(消費税率5%のうち2.5%)まで引上げ市町村交付金制度も存続。(※都道府県、市町村:1.25%づつ)

3 地方特例交付金は、税源移譲に伴い制度を廃止し、地方交付税に一本化する。

(2) 国庫支出金の削減 (約3.5兆円 都道府県1.5兆円、市町村2兆円程度)

 国庫支出金は、奨励的補助金と投資的補助負担金を想定し国庫補助負担金を約3.5兆円程度削減。

(3) 地方交付税の削減 (約3.5兆円 都道府県1.5兆円、市町村2兆円程度)

 地方交付税は、算定に使用される基準財政需用額と基準財政収入額の算定方法を見直し、約3.5兆円程度削減。

4 税源移譲シミュレーション結果

(1) 税源移譲額について

[表-1] 税源移譲額(単位:億円)
 区分 都道府県 市町村
 個人住民税(道府県税:3%、市町村税:7%)  10,898  21,297  32,195
 地方消費税(現行 4:1 → 移譲後 1:1)  18,595  18,595  37,190
 合計  29,493  39,892  69,385

(2) 歳入全体について

(ア) 基準財政収入額の算入率を変更しない場合

歳入全体で増加は13都府県、減少は34道県。愛知県は203億円増加。

(イ) 基準財政収入額の算入率を75%に変更する場合

歳入全体で増加は12都府県、減少は35道県。愛知県は447億円増加。

[表-2]歳入の増減 基準財政収入額の算入率を据置(80%)(単位:億円)
 

 道府県民税増収額
(税率3%)

 

A

 地方消費税
増収額
(税率2.5%)

B

 移譲による
増収額計

 

C=A+B

 特例交付金
の廃止
(12年度ベース)

D

 補助金の
減少額

 

E

 交付税の
影響額

 

F

歳入の増減

 

 

G=C+D+E+F

 愛知県  692  1,107  1,799  △46  △487 △1,063  203
 都道府県計  10,898  18,595  29,493  △2,219  △15,000 △12,274 0
[表-2]歳入の増減 基準財政収入額の算入率を変更(80%→75) (単位:億円)
   道府県民税増収額
(税率3%)
A
 地方消費税
増収額
(税率2.5%)
B
 移譲による
増収額計

C=A+B
 特例交付金
の廃止
(12年度ベース)
D
 補助金の
減少額

E
 交付税の
影響額

F
 歳入の増減


G=C+D+E+F
愛知県  692  1,107  1,799 △46 △487 △819  447
都道府県計  10,898  18,595  29,493  △2,219  △15,000  △12,274  0

5 おわりに

 地方全体としての「歳入中立」という前提のもとでは、税源移譲に伴い、団体によっては全体としての財源が減少することから、新たな財源調整の仕組みを検討するなど、望ましい改革の内容を引き続き検討していきたい

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問合せ

愛知県 総務局 財務部 税務課
E-mail: zeimu@pref.aichi.lg.jp