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「課税自主権に関する検討」の報告書について

ページID:0236700 掲載日:2014年3月19日更新 印刷ページ表示

「課税自主権に関する検討」の報告書について

 愛知県地方税制に関する研究会(座長:立教大学経済学部教授 池上岳彦)では、地方自治確立のために地方税財源を充実させるという観点から検討を行ってきました。
 研究会では、これまでに、外形標準課税や税源移譲について検討した結果を報告書として公表してきましたが、その後、課税自主権について検討を行い、平成15年11月、「課税自主権に関する検討-環境関連税制を中心として-」と題する報告書を取りまとめました。
 この報告書は、各種の施策が必要とされる場合、それに適応可能な課税の仕組みを検討した結果を示したものです。
 なお、この報告書では、愛知県における課税自主権の活用のあり方について考える場合、「自然の叡智」をテーマとした愛知万博の開催を控えていることや自動車NOx・PM法の対策地域に指定されたことなど環境への配慮が注目されていることから、環境関連税制について検討することが考えられるとしています。
 その上で、県政世論調査の結果から県民の関心の高かった次の4つの環境対策に関する税制について研究会で具体的に検討したものです。

「課税自主権に関する検討」の報告書の要旨

課税自主権に対する基本的な考え方

1 課税自主権の活用の種類

(1)法定外税
 法定外税には、(ア)主に特定の政策を推進するために設けられるものと、(イ)主に一般的な財源確保を目的とするために設けられるものがある。主に特定の政策を推進するために設けられるものには、規制・抑制の効果を目指すものと、特定の政策のための財源を確保するものとがある。規制・抑制の効果を目指すものは必ずしも税収の使途を特定する必要はない。

(2)超過課税、不均一課税
 超過課税を導入すれば一般的な財源確保を目的とするタイプの法定外税と同様の効果が得られ、不均一課税の導入又は超過課税と不均一課税を組み合わせて導入すれば特定の政策を推進するタイプの法定外税と同様の効果が得られる。
  

2 課税自主権の活用の課題

 課税自主権の活用に当たっては、自助努力と住民への説明、税以外の手法との選択、国の関与の明確化、超過課税の弾力化が課題となる。

愛知県における課税自主権の活用の視点

1 愛知県における課税自主権の活用の状況

 法人県民税法人税割と法人事業税の超過課税を行っており、県民の福祉の向上や災害の未然防止などの事業に充てられている。
 地域産業の活力の維持・活性化と雇用機会の拡大を図るため、産業立地促進税制として不均一課税を行い、不動産取得税の軽減を図っている。

2 愛知県における課税自主権の活用の考え方

 「自然の叡智」をテーマとした愛知万博の開催を控えていることや自動車NOx・PM法の対策地域に指定されたことなど環境への配慮が注目されていることから、環境関連税制についての検討が考えられる。
 東海地震に関連する防災事業の財源に充てるため、住民の暮らしと安全を守るという観点から、法人、個人に広く負担してもらうという考え方に基づいて、法人県民税若しくは個人県民税の超過課税の導入も考えられる。
 さらに、一般的な財源確保を目的とするタイプの法定外税を今後検討していくことも必要である。

環境関連税制に対する考え方

1 基本的な考え方

 環境保全対策としての税制措置の内容としては、(ア)それぞれの地域における生活環境や自然環境に対する負荷を抑制する手法、(イ)それぞれの地域の状況に応じた環境施策を講ずるために必要となる財源を確保するという捉え方、(ウ)更にその2つの組合せがある。
 その一方で、環境に対してプラスになるものに対しては、税を軽減するという誘導的な税制も幅広く検討する必要がある。

2 県民の意識

 環境関連税制を考える上では、県民の環境問題に対する意識を基盤として検討することが必要であるが、県政世論調査によると、県民が県の環境施策に望むことは、「地球温暖化対策」、「大気の環境保全」、「海や河川などの水質保全」、「廃棄物の減量化やリサイクルの推進」が多い。

環境関連税制の具体的検討

1 地球温暖化対策

 化石燃料に課税する炭素税については、地方税として流通段階や消費段階で課税することが考えられるが、この場合は負担の公平性の観点から全国一律に課税することが適当である。
 森林の持つ二酸化炭素吸収・酸素供給といった地球温暖化防止にも資する機能に着目して、森林整備、里山の保全、都市の緑化といった緑の保全のために課税自主権を活用することも考えられる。

2 大気環境対策

 愛知県は自動車保有台数が全国1位であり、自動車排出ガスに起因する大気汚染が懸念されていることから、自動車税のグリーン化税制の施策効果を見極めながら、さらなるインセンティブ型のグリーン化について検討することが適当である。

3 水環境対策

 健全な水環境による伊勢湾・三河湾と流域の浄化の施策を行うための財源を確保するために、法人・個人県民税均等割の超過課税や水の利用者に課税する水環境保全税を検討することが考えられる。ただし、負担者の理解、既存の税以外の手法(基金)との調整、他県との広域的な取組など解決しなければならない課題がある。

4 産業廃棄物対策

 資源循環型社会の構築を目指して、リサイクルを推進する観点などから、産業廃棄物に係る税の導入の検討が考えられる。ただし、産業廃棄物に係る税の導入に当たっては、地方自治体間で二重課税にならないよう調整が必要である。

その他の法定外税の具体的検討

1 プレジャーボート税

 愛知県はプレジャーボートの保有隻数は全国で2番目に多いことから、財産課税的なプレジャーボート税を検討することが考えられる。ただし、小型船舶登録制度が全てのプレジャーボートに適用されるまでの間は、プレジャーボートの所有者の把握に問題があり、小型船舶登録制度による不法係留の改善状況などを見ながら更に検討していく必要がある。

2 自動販売機税

 省エネ、地球温暖化、散乱ごみなどの観点からその使用を抑制するという環境に配慮して自動販売機の設置に対する法定外税の導入が考えられる。ただし、自動販売機に対する課税は、良好な都市景観を創出する上でその阻害要因になっている自動販売機の設置に対して負担を求めるものとも考えられるので、市町村税としての課税がふさわしい。

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問合せ

愛知県 総務局 財務部 税務課

E-mail: zeimu@pref.aichi.lg.jp