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県議会知事提案説明

平成23年9月定例県議会 知事提案説明要旨

このたびの定例県議会に提案をいたしました諸議案の説明を申し上げるに先立ちまして、県政を取り巻く最近の状況などについて申し述べ、議員の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げたいと存じます。
 
 まず初めに、今月初めの台風12号により被害を受けられました皆様方に対し、改めて心からお見舞いを申し上げます。
 本県でも、道路や農作物の被害などがございましたが、全国的には、紀伊半島を中心に甚大な被害となっており、平成以降最大の台風被害と言われております。
 先の東日本大震災による地震災害とともに、自然災害の恐ろしさと日頃の備えの大切さを、改めて心に刻んだところでございます。
 本県では、これまで、伊勢湾台風や東海豪雨などの被害による貴重な教訓を踏まえ、河川改修や防災情報システムの整備など、ハード・ソフト両面の防災対策を強化してまいりました。
 今後も、県民の皆様が安心して暮らせるよう、風水害対策の充実を図るとともに、現在進めております地震防災対策の充実強化にもしっかりと取り組んでまいる所存であります。
 なお、10月29日に、本県では初めて、三連動地震及び大津波を想定した防災訓練を南知多町で実施いたします。できるだけ多くの皆様にご参加をいただき、防災意識のさらなる高揚を図ってまいります。
 そして、今また、台風15号が日本列島に接近しております。明日昼から夕方にかけて東海地方に最接近との予報であり、引き続き、全庁を挙げて、厳重な警戒と万全な対応を図ってまいりたいと考えております。

 さて、国政の動きについてでございますが、9月2日に野田新内閣が発足いたしました。
 我が国は、今、東日本大震災からの復興と、急激な円高への対応という、かつてない困難な課題に直面しており、まさに待ったなしの事態であります。新首相が強いリーダーシップを発揮され、こうした未曾有の国難に迅速かつ的確に対応され、日本再生への道筋をしっかりと示されることを望むものであります。
 また、これから本格化する国の来年度予算編成では、地方交付税を始めとする地方財政措置、見直し後の子ども手当に係る地方負担、さらには社会保障と税の一体改革など、地方団体の運営に影響を及ぼす制度や施策が議論されることになります。今後の国政の動向をしっかりと注視し、的確に対応していかなければならないと考えております。

 そこで、最近の経済情勢についてであります。
 我が国の景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、生産や輸出の回復により持ち直してまいりました。しかしながら先行きにつきましては、電力供給の制約や、原子力災害の影響、海外景気の減速、為替相場の変動などの下振れリスクがございます。
 とりわけ、震災前から続いている円高は、企業の想定レートを大きく上回る水準となっており、こうした行き過ぎた円高が続けば、今後、企業の採算悪化や国際競争力の低下、さらには、産業の空洞化が進み、ひいては、我が国の経済活力や雇用が失われることが強く懸念されるところであります。
 国においては、為替介入及び追加的な金融緩和を実施するとともに、円高対応緊急パッケージなどの政策を打ち出されましたが、為替レートは、厳しい水準が続いております。
 また、我が国は、依然としてデフレから脱却しておらず、経済成長に重要な役割を果たす消費や設備投資などは低調に推移しております。
 こうした円高・デフレ傾向は、日本一の産業県である本県への影響が特に大きいことから、7月下旬には、政府及び日本銀行に対し、名古屋商工会議所、中部経済連合会、愛知県経営者協会及び連合愛知の皆さんとともに、円高の是正に向けた対策を早期に実施するよう、要請をいたしました。
 さらに、8月には、全国知事会において、私が座長となり、プロジェクトチームを立ち上げ、「円高の是正及びデフレからの脱却に向けた緊急アピール」として、具体的な政策をとりまとめ、政府及び日本銀行に対し、為替政策、産業空洞化対策及び雇用対策、金融緩和政策の強化などの対応を強く要請したところであります。
 このように、円高の是正について国の責任ある対応を求める一方で、本県独自の取組として、今回の厳しい円高が、この地域の産業・経済、とりわけ中小企業に及ぼす影響を緩和するため、去る9月5日に、「最近の為替レートを踏まえた緊急円高対策」をとりまとめたところでございます。
 まず、資金繰りの支援といたしまして、9月12日から、県単独の融資制度である「サポート資金円高対応緊急枠」の利率を0.1%引き下げるとともに、今月末日までの取扱期間を来年3月31日まで半年間延長いたしました。
 また、中小企業の新商品開発、販路開拓や技術開発を支援するため、財団法人あいち産業振興機構に基金を造成するとともに、「知の拠点」の高度計測分析機器を前倒しで整備することとし、9月補正予算に所要額を計上いたしました。
 このほか、専門家による経営・金融・雇用等に関する緊急相談会を開催するなど、できるかぎりの対策を講じたところであります。
 
 このような行き過ぎた円高への対応など国際競争力の維持・強化、人口減少や少子高齢化の中での地域活力の向上、そして半年を経て、いまだ道筋の見えない東日本大震災の復興対策等々、我が国には極めて重大な課題が山積しております。
 一方で、海外に目を向けてみますと、上海やシンガポールなどの大都市地域が広く世界から企業や人材を呼び込み、国の経済をけん引するのみならず、世界の経済に対しても大きな影響を与えております。
 我が国においても、大都市地域が、それぞれの強みをフルに活かし、また、知恵と工夫を凝らしながら世界と伍して闘っていくことが不可欠であり、そのためには大都市地域の自立的な地域経営を可能とする新しい国のかたちを創っていくことが、ぜひとも必要であります。
 そこで、去る7月31日に、私を含め、我が国の現状への強い危機感と問題意識を共有する大阪、新潟、愛知・名古屋の知事・市長が、ここ愛知の地に集い、大都市制度のあり方について議論を深め、それを踏まえて大都市の自立に向けた思いを「愛知宣言」としてとりまとめました。
 そして、8月26日には、この5人の知事・市長がそろって、「愛知宣言」を当時の片山総務大臣に手渡し、各大都市地域が国から自立して自ら稼ぐことのできる制度の必要性を訴え、8月24日に発足した第30次地方制度調査会において十分議論し実現していただくよう、強く要請したところであります。
 今後、国において本格化する議論も見据えながら、愛知・名古屋における中京都構想についての議論を積み重ね、停滞している地方分権議論の加速、大都市地域の自立に向けて積極的に取り組んでまいります。

 さて、私は、8月9日から12日まで、韓国と中国に渡航し、東日本大震災に伴う風評被害を払拭し、本県の安全情報や観光の魅力を発信するとともに、中部国際空港のエアポートセールスを行ってまいりました。
 韓国では、本県の観光関係事業者の方々と、政府機関や大手旅行社を訪問するとともに、私自身、街頭に立って観光パンフレットを配布するなど、愛知の魅力と安全性をしっかりとPRしたところであります。
 また、中国では、中国共産党中央対外連絡部や大手旅行社の方々と面談し、本県が安全・安心で観光面でも魅力ある地域であることをPRするとともに、中国国際航空を訪問して中部国際空港への路線の増便を要請いたしました。
 昨年は、愛知県を訪れる外国人の7割が中国、台湾、韓国、香港などの東アジアからでありましたが、東日本大震災の影響を受け、この地域からの訪日外国人の数は、全国ベースで4割近く落ち込んでいる状況にあります。今回の訪問が、韓国、中国からの観光客の回復・増加につながることを大いに期待しております。

 次に、交通安全対策についてであります。県内の交通事故死者数は、残念ながら、昨年よりも増加しており、高齢者の方々が犠牲になる事故や交差点での事故が依然として多発するなど、現時点で全国ワースト2位という厳しい状況が続いております。
 そこで、明日から始まる秋の全国交通安全運動におきまして、高齢者の方々への事故防止の呼びかけに力を入れるとともに、例年、交通事故が多発しております年末にかけて、事故多発交差点における街頭活動や飲酒運転の根絶に向けた啓発活動などを重点的に実施いたしまして、交通事故の抑止に全力で取り組んでまいります。

 さて、これまで申し述べてまいりましたように、今、我が国は、東日本大震災という未曾有の国難と、過去最高水準の円高による景気の先行きの不透明感などから、重苦しい閉塞感に覆われております。
 こういう時こそ、愛知県民としての一体感を高めて愛知の活力を一層喚起し、そして、かつての「日本一元気な愛知」の輝きを取り戻さなければなりません。
 そこで、このたび、愛知県名誉県民条例に基づき、本県の発展に卓絶した功績があり、県民の敬愛を受けるにふさわしい方として、元内閣総理大臣 海部俊樹氏、元愛知県知事 鈴木禮治氏、トヨタ自動車株式会社名誉会長 豊田章一郎氏、ノーベル化学賞受賞者 野依良治氏の4氏に、名誉県民の称号をお贈りし、広く県民の皆様とともに称えることで、愛知の元気を呼び戻してまいりたいと存じます。

 次に、最近の経済情勢の中で、本県の財政見通しについてであります。
 県税収入につきましては、東日本大震災で大きく落ち込んだ企業の生産や輸出は持ち直しつつあるものの、企業の想定レートをはるかに超える円高が続いており、企業の業績が下押しされる懸念もあることから、引き続き厳しい税収状況が続くものと考えております。
 このため、本年度内の歳入の確保や経費の節減に最大限努力するとともに、来年度に向けましても、地方財政措置の充実確保を国にしっかりと働きかけてまいります。
 また、本県では、愛知県第五次行革大綱に基づき、毎年度、徹底した事務事業の見直しなどに取り組んでまいりましたが、厳しい財政状況が続く中、第五次行革大綱をさらに深掘りして、取組をさらに具体化・加速・拡大していくことといたしました。
 8月には、重点的に改革を検討していく項目案と論点を公表し、県民の皆様や市町村から広くご意見をお寄せいただいたところであり、今後、できるだけ早期に「重点改革プログラム」としてとりまとめ、行財政改革の取組を一層強力かつ速やかに推進してまいりたいと考えております。
 
 それでは、今回提案をいたしております補正予算案及びその他の議案につきまして、その概要を申し上げたいと思います。
 まず、補正予算案についてであります。
 補正予算の総額でございますが、107億6,162万余円でございまして、会計別では、一般会計で102億8,195万余円、特別会計で4億7,966万余円であります。
 一般会計補正予算案の主な内容でございますが、まず、国の第2次補正予算関連事業といたしまして、東日本大震災で被災された方々の生活再建を支援するため、全国の都道府県とともに、被災者生活再建支援基金に拠出をいたします。
 また、放射能に対する県民の皆様の不安を解消するため、大気中などの放射能を測定するモニタリングポストやサーベイメータを県内5か所に追加配備し、監視体制を強化いたします。
 次に、円高緊急対策事業といたしまして、財団法人あいち産業振興機構に新たに「あいち中小企業円高対応支援基金」を造成し、中小企業が行う新製品の開発などを支援するとともに、「知の拠点」における高度計測分析機器の整備を一部前倒しすることにより、中小企業の研究開発環境の早期整備を図ってまいります。
 このほか、国からの交付金を受けて積み増しを行う地域医療再生基金を活用し、小児集中治療学などの寄附講座を設置いたしますとともに、県内の交通死亡事故の厳しい状況を踏まえ、通学路の歩道や標識・標示などの交通安全施設の整備に要する経費を追加計上することにいたしました。
 また、国庫補助の確定に伴う公共事業などについても、地震防災対策に重点を置いて、計上したところでございます。

 次に、補正予算以外の議案についてでありますが、今回提案いたしております案件は、条例関係議案4件、その他の議案17件及び先般の6月定例県議会以降におきまして専決処分をいたしました事案1件でございます。
 主な案件につきまして、ご説明を申し上げます。
 まず、条例関係議案のうち、愛知県港湾管理条例及び愛知県入港料条例の一部改正についてでございます。
 これは、県管理港湾として唯一のコンテナターミナルを有している三河港におきまして、新規のコンテナ貨物定期航路が開設された場合に、初入港から6か月間、入港料及び岸壁使用料を全額免除するもので、新規航路を誘致し、コンテナ取扱貨物量を増大させるなどの港湾振興を図ろうとするものでございます。
 次に、その他の議案についてであります。
 まず、町を市とすることについてでありますが、平成24年1月4日に市制施行が予定されております長久手町から申請がありましたので、議決をお願いするものであります。また、この市制施行に伴い、改正が必要となります愛知県県営住宅条例始め12条例を一括して改正するための条例制定もお願いしております。
 次に、人事案件といたしましては、教育委員会の委員の任期満了に伴いまして、その後任者を選任するものでございます。
 また、先程もお話いたしましたとおり、名誉県民の選定につきましては、愛知県名誉県民条例に基づき、名誉県民の称号をお贈りすることについて、同意をお願いするものでございます。
 次に、専決処分でございますが、東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するため、地方税法の一部を改正する法律が8月12日に公布されたことに伴い、その施行に合わせ、愛知県県税条例を改正する必要があり、専決処分を行ったものでございます。
 その主な内容は、警戒区域内にある不動産に代わる不動産の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例措置を創設するもの等でございます。
 ここにご報告を申し上げ、ご承認をお願いするものであります。

 以上、提案をいたしております案件の主なものにつきまして、その概要をご説明申し上げましたが、詳細につきましては議事の進行に伴いまして、ご説明を申し上げたいと存じます。
 なお、平成22年度一般会計及び特別会計並びに公営企業会計決算につきましては、監査委員の審査意見を付しまして提出いたしております。
 どうかよろしくご審議の上、適切なご議決を賜りますよう、お願いを申し上げます。

<参考>
 平成23年度9月補正予算の概要